議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

環境問題より生活支援が先か?

2008年11月28日 05時27分06秒 | ベーシックインカム
 昨日ある会社での環境リスクセミナーで、役員の方がご挨拶で「少し前までは新聞で環境問題を取上げることが多かったが、最近は経済の話が多くなってしまっている」というお話をされていました。「だからと言って環境問題が解決したわけではない・・・」ということだったのですが、実は私は今の状況は悪くないと思っています。

 私は、すべての人々が環境問題に取り組む大前提として、「とりあえず安心して生活できる」という状態を作らなければならないと考えています。世間ではこれまでもワーキングプア等の問題が取上げられてきましたが、最近はさらに苦境に陥っている方たちへの支援の必要性が叫ばれています。定額給付金の話はその好例です(今は経済対策の色合いが強いですが)。
 この問題にだましだまし対症療法を続けるより、しっかり考え抜いた上で抜本的な対策を進める必要があると思います。ベーシックインカムに一足飛びに行くことはないでしょうが。

 それと、経済状況が悪いということは、環境負荷もどちらかというと下がるわけです。2007年~2009年の世界の温室効果ガス排出量の変化も見てみたいところです。
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収集と運搬

2008年11月26日 05時55分54秒 | コンサル日誌
●収集と運搬の違い
一般の国語辞典の表現を総合すると、
 収集=一箇所によせ集めること
 運搬=処理施設などに運ぶこと
と考えることが出来ると思います。

●廃棄物処理法においては、

収集=処理業の許可 必要
   運搬基準   必要
   委託基準   不要
   マニフェスト 不要
運搬=処理業の許可 必要
   運搬基準   必要
   委託基準   必要
   マニフェスト 必要

となります。具体的には、

*委託基準********
【法第12条第3項】抜粋
事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に委託しなければならない。
*************

*マニフェスト******
【法第12条の3第1項】抜粋
 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、産業廃棄物管理票を交付しなければならない。
*************

*業の許可********
【法第14条】抜粋
 産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
*************

■収集とは・・・委託基準、マニフェスト適用ナシ
 収集は、あちこちにあるものを集めさせるので、通常は引渡しという行為は発生しないはずです。もし発生させることが物理的に可能であっても、あちこちにバラバラにあるものを集めるのが目的の行為であるのに、いちいちマニフェストを交付するなどというのはナンセンスです。ただし、業の許可は必要とのことです。
 さて、ココでいう収集とは、いわゆる清掃作業とは別なのでしょうか。清掃はそこらじゅうに散らばっているゴミを掃除機やホウキなどで集める行為と考えられます。では、ゴミ箱(もしくはもう少し大きな部門レベルの一時保管場所)のゴミを集める行為はどうなのでしょうか。
 清掃業務の一環と考えていることが多いと思われますが、もしかするとこれは収集に当たるのではないでしょうか。もし、ゴミ箱のゴミ集めが収集でないのであれば、一体収集とは何を指すのでしょうか。分からなくなってきました。

■収集には業の許可が必要
 もしかしたら、ゴミ箱のゴミ集めには収集運搬業の許可がいるのではないでしょうか?(通常そんなものは取られていませんが)。なんとその場合、車両への表示も必要になります。。。ただ、排出事業者としては委託基準の適用がないので、現状のままでも法律違反にはならないでしょう。

 皆さん、いかが思われますか?
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三国コカ・コーラさんでのセミナー

2008年11月25日 05時49分33秒 | ウィークリー・トピックス
 先週は、月、水、木と三国コカ・コーラさんの環境セミナーで、温暖化問題、温対法、省エネ法と廃棄物処理法について80分間講演をしてきました。各地の新聞社やテレビ局が後援していた関係もあって、新聞、テレビのニュースでも取上げられました。
 このセミナーは毎年開催されているそうで今回で6回目となります。当初私はここまでのイベントだとは思わなかったのですが、県知事(代読でしたが)や三国さんの社長、常務、支店長と各営業の方が勢ぞろいし、参加者も各回150名前後と、会社を上げた大イベントでした。参加されたのは三国さんの取引先だそうで、このセミナーは結果として販売促進にもつながっているそうです。
 このようなセミナーでは、取引先として“付き合い”で参加している方が多いのですが、どちらの県でもかなり沢山のご質問を頂きました。主催者側も、参加者も、とても意識の高いセミナーだったと思います。
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厚生労働省OB殺傷事件

2008年11月21日 06時50分16秒 | ベーシックインカム
テロリズムとは、日本国内法では「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為」(自衛隊法81条の2第1項)などの定義があるそうです。何らかの主義主張のために行われるものだそうです。

私はこの定義を、今回の元厚生事務次官への連続殺傷事件を受けて初めて調べたのですが、皆さんご存知でしたか?

思うに、今回の事件はたいした主張があるわけではない、つまりテロなんかではないような気がします。厚生労働行政、特に社会保障周りに対する不満を持っていた人の犯行か、秋葉原の事件と同じような動機(これも社会に対する不満ですが)を持つ人が、その対象を社会の批判の矛先に向けただけなのではないかと思います。

言うまでもないかもしれませんが、社会保障制度に関する不満は、日本社会の行政に対する不満の代表格と言ってもいいでしょう。これだけやり玉にあがっているものに、今後どのような改革がもたらされるのか。政治の表舞台でも負の所得税の議論が出てきていますが、ベーシックインカムの論議を盛り上げていくよい機会だと思います。これからも継続的に取上げていきたいと思います。
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ノーアクションレター制度

2008年11月20日 06時08分45秒 | コンサル日誌
 以前にも一度ご紹介していますが、ノーアクションレターという制度をご存知でしょうか。日本の各省庁でこの制度が導入されており、環境省では「法令適用事前確認手続」と言っています。

 これは、ある行為が許認可を必要とするものかどうかについて、行為を行う前に確認するための制度です。必要かどうかよく分からないままある行為を行ってしまうと、事業者にとってリスクが高いため、これを事前に確認するという制度です。
 実際には、こんな制度を活用しなくても、口頭で確認することが多いと思いますが、書面で回答が得られるというメリットがあります。

 残念ながら、環境省の制度ですので、環境省の管轄部分のみがノーアクションレターの対象となっております。一方の都道府県は、廃棄物処理法の許可などの多くの事務を行うことになっています(法定受託事務)ので、こちらの方が対象は広いです。まだまだ少ないですが、一部の自治体でもノーアクションレターをやっているようですので、場合によっては確認されるとよいでしょう。

 環境省の制度について具体的な説明はこちらにありますので、一度目を通されてもよいかもしれません。
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環境税

2008年11月19日 06時00分47秒 | ニュースクリッピング
 環境税の話題がまた出てきました。今回は過去の議論より雰囲気が違う気がします。

環境税、09年度導入方針 道路財源の課税根拠変更

 環境省が政府与党に対し、2009年度にも導入を求めるとのことだそうです。炭素1トン当たりの税率を2400円との案です。

 そもそも、CO2の排出も、廃棄物の排出も、それらが環境に負荷を与えないように必要な処理コストを排出者が負担するべきだと思います。でないと、持続不可能ですよね。

 炭素1tで2400円とのことですが、CO2をCとO2に戻すだけのコストがまかなえるのであればそれでよいと思いますが、多分足りないんでしょうね。であれば、これから増やさなければならないはずです。これは「負担増」ではなく、「本来すべき負担」に戻す過程と考えなければならないのでしょう。

 皆さん、どう思われますか?
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マニフェストの研修方法

2008年11月17日 05時42分44秒 | ウィークリー・トピックス
 先週は、総合判断説(あるものが廃棄物かどうか)に関するちょっとした調査レポートの作成、セミナー資料の作成、そして大阪で契約書編、マニフェスト編のセミナーがありました。

 大阪の2つのセミナーは15名を越す参加者で、満席状態でした。参加者の皆様お疲れ様でした。2日連続開催だったので、参加者の方はかなり重複するのではないかと思ったのですが、重複は2名のみでした。この2つのテーマを分けてセミナーを実施していて、正解でした。

■セミナー内容について簡単に
 契約書編は、一般の契約実務の考え方からチェックポイントを演習方式で学んでいただきます。マニフェスト編は、記載方法、運用方法、返送されてきたマニフェストのチェック方法を演習形式で詳しくやっています。ここまで詳しくやっているセミナーは他にないはずです。

 いずれも質問が活発に出たのですが、特にマニフェスト編は多かったです。契約書と比較して、日々の運用に関わるのでより身近で疑問も多く湧くのでしょう。なにより、契約書実務に関わる方より、マニフェストに関わる方の数の方が絶対数としても多いからでしょう。

■その他のマニフェスト研修の良い方法
 マニフェストの研修でよい方法としては、工場などの交付担当者を集めて自分が作成したマニフェストを隣の方にチェックしてもらうというものです(これは不特定多数が参加する公開セミナーでは出来ませんが)。講師はチェック状況を見て回り、質問に適宜対応、よくあるミスや注意してもらいたい点については、参加者全員と共有します。このとき、マルチプロジェクタなどがあると、マニフェストを映し出すことが出来てよいでしょう。
 単に記載方法を説明するだけでは、皆さん飽きてしまいます。ワークが入った瞬間、確実に目を覚まします。しかも普段の自分の業務を、他の人がチェックするわけですから本気になりますし、何より実務に反映できる実践的な内容となります。
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定額給付金の手続き

2008年11月14日 06時41分43秒 | ベーシックインカム
■ベーシックインカムのイメージに悪影響??
 定額給付金のについては、所得上限の話が出たり、給付にかかる手間とコストと時間の問題があったり、効果に疑問の声が出ていたり、路上生活者には行き渡らない問題があったり、やたらもめています。スポット的なベーシックインカムといえなくもないため、ここでもめてしまうとベーシックインカムへのイメージが悪くなる恐れがあるので、心配ではあります。

■本当は・・・
 当然ですが、あんなに性急に、それも一回きりの仮ごしらえの給付方法であれば、行政コストがかかるのは当然です。ベーシックインカムは、おそらくは毎月給付されるもので、ちゃんとした仕組みを一度作ってしまえば後はかえって楽になるはずです。このことは、冷静に議論すれば明確なはずです。

■もっと冷静な議論ができれば大丈夫
 とはいえ、ベーシックインカム導入論議の中では、ここが焦点になることは少ないでしょうね。例えばもっと重要な「みんな働かなくなるんじゃないか」みたいな論点が先に問題になるはずで、ここがクリアできるくらい冷静な議論ができるのであれば、給付方法について変な誤解が生じてオジャンになることはないでしょう。まずはそんな冷静な政策論議ができるようにならなければなりませんね。
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引渡し時の立会いは法的義務か?

2008年11月13日 05時49分25秒 | コンサル日誌
■法的には立会いは必要ではないのでは?
産業廃棄物を引き渡す際の現場での立会いは法的に必要とされているのでしょうか。おそらくは、それを直接義務付ける規定はないと思われます。

■ところが、施行規則第8条の20第3号では、マニフェストの交付について「当該産業廃棄物の種類、数量、及び受託者の氏名又は名称がマニフェストの記載された事項と相違がないことを確認の上、交付すること」とされています。

 つまり、積み込む正に“その現場”に立ち会わなくても、マニフェストを交付する時には積み込んだ廃棄物の中身とマニフェストが一致していることを確認しなければなりません。“その現場”の立会いをしなくても、結局どこかで現物を確認する必要があります。当たり前といえば、当たり前ですが・・・。
 しかし実態としては、まだ従業員が来ていない早朝に運搬業者が来て、廃棄物の代わりにA票だけが残っている、といったケースは山ほどあります。であれば、社内規定として「立会いをすべし」としてしまったほうが、よいのかもしれませんね。みなさん、どうされていますか?
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マニフェスト通知に、実はこんなことが・・・

2008年11月12日 08時45分00秒 | コンサル日誌
 今日は寝坊して、アップの時間が遅れていますm(._.)m

 さて、マニフェスト通知と勝手に呼んでいますが、「産業廃棄物管理票制度の運用について(通知) 平成13年3月23日 環廃産116号」のことです。

 ここに、「最終処分を行う場所の所在地」についての説明があります。これはマニフェストの真ん中へんの、横に幅広い欄の2つ目で、普通は「委託契約書記載の通り」にチェックを入れている項目です。曰く、

「なお、最終処分の予定先が複数である場合など管理票に記載することが困難である場合には、別途委託契約書に記載されたとおりであることを記載し、これを省略して差し支えないこと。」

だそうです。

ということは、最終処分先が1箇所の場合は、「当欄記載の通り」にチェックをして、ちゃんと記載しなければならないということですよね。そんなことやっているマニフェストは、今のところ見たことがありませんが。。。

ちなみに、私がそのようなマニフェストを見ても、不備があるとして指摘することはありません。
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