議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

発注者が建廃を処理委託してもよいか?

2019年01月16日 18時42分18秒 | コンサル日誌
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皆さんこんにちは。

読者の方から、この記事についてのご質問を頂きました。
このテーマは難しいので、改めてご説明したいと思います。


丁寧にご質問をいただいたのですが、ポイントとしては、

「建設工事の発注者が建廃を処理すると、廃棄物処理法に抵触し、
 罰則対象となる」
と、多くの自治体で聞いたそうです。

そのため私が言っている
「発注者が処理委託しても廃棄物処理法違反にはなりません」
はおかしいのではないか、というご質問です。


少々ややこしいのですが、この話は
①発注者が建廃の処理をすると罰則の対象になる可能性はある
と同時に
②発注者が建廃の処理”委託”をしても罰則の対象にはならない
ということなのです。

もう少しかみ砕くと、
①は、他人の廃棄物を無許可で処理する(無許可営業)
②は、他人の廃棄物を処理”委託”していることになり、罰則がない
ということです。

②について、疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、
これはつまり、ある廃棄物を排出事業者ではない第三者が処理委託
しても構わない(禁止されていない)ということです。廃棄物処理法の
どこを探しても、それを禁止する規定はないのです。
例えば、自社の敷地に産廃を不法投棄された場合、仕方なく自社が
排出事業者として処理委託しても構わない(それを求める行政指導の
方が一般的でしょう)のと同じです。
この2つの話は、法律上の位置づけはほぼ変わりませんよね。

さて、法律の文言上の問題がないからと言って、法の趣旨に反していれば
そのようなことはすべきではないしょう。しかし、廃棄物処理法の元々の
考え方からすると、建築物の解体工事を発注する段階で、その建築物は
不要物=廃棄物なのですから、解体工事の発注者が建設廃棄物の排出者
になるはずです。解体業者は、廃建築物の解体をしただけですから。

ところがそうすると、個人が自宅の解体を業者に発注した場合でも、
個人が自宅を廃棄しようとした=事業活動に伴わない廃棄物=一般廃棄物
となってしまい、市町村の一般廃棄物処理に相当な負荷がかかります。
そのため通知などにより、建廃は元請業者(解体業者)
が排出事業者となって、産廃として処理することになったのです。
したがって、「発注者による建廃処理」は、本来問題がないはずの方法です。

法第21条の3で「排出事業者=元請業者」を法律で明文化したのは、
元請が下請け業者に排出者責任を押し付けないようにするのが主目的
です。
発注者が自ら処理又は処理委託することは想定していなかったため、
「発注者が処理しても良し」という規定も入れなかったのでしょう。

もちろん、排出事業者である元請が発注者に”処理を委託”するような
形であれば委託基準違反+無許可営業or受託禁止違反と言われるでしょう。
そのため”処理を委託”、”処理を受託”するのではなく、解体だけを発注し
その後の物(特定の物に限定しても可)は現地に置いておくように
指示(できれば書面化)しておくなど、取引内容を明確化するのが理想です。

こうすれば、発注者は、それを処理”委託”しても違反にはなりません。
処理をしてしまうと無許可営業説を完全否定できんあいので、少々微妙です。
でも、質問でもしない限り、誰も文句を言ってはこないでしょう。


こんなややこしいことまで念頭に置いて、その場で質問対応できる
自治体担当者はなかなかいないでしょう。仮に説明できるとしても、
質問をしている相手の知識レベル、コンプライアンス意識が分からない
状況で、ここまでの話をいきなりするとも思えません。
とりあえずの行政指導としては、「発注者は建廃を扱ったらダメ」という
ことになるでしょう。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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うう、寒いですねぇ。

今週は久しぶりに三重中央開発行きですが、出来れば車の中からの視察を
中心に、外に出たくないというのが本音です。

コメント (2)

今年は埋立再考の年?

2019年01月01日 23時33分33秒 | 政策提言
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新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年末にご挨拶を、と思ったのですが、読者が重複する方も多い
リバーのニュースレターで挨拶をしてしまったため、議論de廃棄物にて、
新年のご挨拶としたいと思います。

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さて、お題として
「埋立再考」としておりますが、時代背景を踏まえ埋立処分について
改めて評価をするタイミングではないか、という投げかけです。

現状は、3R(リデュース、リユース、リサイクル)があって、それも
できない場合は適正処分=焼却や埋立処分をする、という優先順位です。
つまり、サーマルリサイクル>埋立処分の順番です。(循環基本法より)

しかし、CO2を排出するサーマルリサイクルより、CO2を固定できる
埋立の方がよいのではないか、という話があります。これは、最近では
「プラスチック資源循環戦略小委員会」でも議論された話題ですし、
パリ協定を踏まえればむしろ当然ともいえる結論ではないでしょうか。
プラスチック資源循環戦略小委員会

もちろん、サーマルリサイクルで得られたはずのエネルギーを、どんな
方法で埋め合わせるのかという問題があります。
もし新たに掘り出した石油を燃やすのであればどうでしょうか。
私はそれでも、サーマルリサイクルよりマシだと思います。なぜなら、
地球にあるすべての石油を掘り出したとすると、完全に使い切る=CO2に
してしまうより、半分でも埋立になっているほうがトータルのCO2排出量は
少なくなるからです。
それにそもそも、発電専用の施設の方が効率はよいはずですから、ナンチャッテ
サーマルリサイクルをするくらいなら埋めたほうがいいと思いませんか?

もちろん、環境影響の評価は、社会的な評価や価値観、地域の特性によって
変わります。日本の場合は、埋立処分場の立地が難しく、その分焼却炉の数が
他の国より圧倒的に多いという事情があります。しかし、そろそろこの価値観が
通用しなくなるかもしれません。毎年の熱波、寒波、干ばつ、豪雨、超大型台風
など、いい加減受け入れ難くなってきています。

もしかしたら近いうちに、プラスチック専用の埋立処分施設=CO2固定貯留施設
という施設が廃棄物処理法か温対法の検討の俎上に上るかもしれません。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今年の元旦は穏やかな一日でした。

でも、今年はそれほど穏やかな年にはならないのだろうなぁ、
と思っています。
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