議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

日経エコロジー最新(2017年3月)号

2017年02月23日 13時38分18秒 | 日経エコロジー
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今月号の日経エコロジーご覧になったでしょうか。
p.40のアスベスト対策の記事はよかったです。

産廃となってからの話しではなく、その前段階での課題について、
米英との取組の格差に驚きました。

まず、解体前の調査方法が徹底しています。
さらに、使用中の建物内でも空気中のアスベストを調査するという
考えてみれば当然の規制があります。ここは、環境省の管轄では
ありませんが。

記事を書かれた井部さんは、廃棄物についてもお詳しく、近年は
アスベスト問題を長く追いかけられている方で、色々な情報を
お持ちです。

掲載されている日米英のアスベスト対策の対比表も、ご覧ください。

日本の制度がここまでしっかりしたら、解体コストが増加し、
アスベスト廃棄物もたくさん増えるかもしれません。
過剰な規制は避けないといけませんが、もう少し強化して
しかるべきだと思います。

もちろん最も重要なことは、規制を実際に守る、守らせる仕組み
なんですが。


さて、私の記事
「“事件に学ぶ廃棄物処理”第21回 
  処理業者による再委託 排出事業者の対処法」
についてですが、当初の原稿から削除した内容をご紹介したいと
思います。

一言でいうと「行政になんとなく報告・相談に行ってはダメですよ」です。

+++++++++++++++++++++++
誰にも迷惑をかけていない法律違反について、行政に報告する目的は
なんであろうか。こちらから進んで報告しておけば、相手の心証が
良くなり、行政処分や刑事処分を受ける可能性が下がることを期待して
いるのだろうか。もしくは再発防止のためのアドバイスを受けるため
だろうか。

少なくとも、前者については、この事例(注:記事中の東急建設事例
のこと)から必ずしも期待できないことがわかるはずだ。収集運搬業の
許可の更新を忘れた業者に委託し続けていたことを行政に報告し、
同様の結果につながった排出事業者の話もある。

行政としても、報告してもらったことを理由に、何でもかんでもお目こ
ぼしできるわけでもなく、まして違反事実をなかったことにできる
はずがない。

刑事訴訟法第239条では、公務員は犯罪を発見した際には刑事告発を
する義務が”一応”課せられているのだから、もし告発されても文句を
いうことはできない。行政に報告に行く前には、その目的・効果と
リスクを天秤にかけるようにしたい。
+++++++++++++++++++++++
(引用終わり)

何か問題や疑問が発生した場合、「とりあえず行政に相談」という
対応をされていることが結構あります。排出、処分の各自治体にすべて
確認しなければならないと思っている方も多いようです。

自治体は万能ではありませんし、唯一の正しい答えを持っているわけでも
ありません。「相談したんだから、後で文句は言わないでよ」という
お墨付きを得たいのかもしれません。しかし自治体によってバラバラの
指導をされたのでは困ります。聞く必要がある自治体が多かったり、
聞きに行く社員の廃棄物処理法の知識に不安があることもあります。
特に、知識がない人に対しては、厳しめの指導になりがちです。

しかも、東急建設のように、報告に行ったがために刑事告発されてしまう
可能性もあります。

引用部分の最後にあるとおり、
「行政に報告に行く前には、その目的・効果とリスクを天秤に
 かけるようにしたい。」
ところです。


<本社で取りまとめる>
何十か所もの自治体で扱いがあるような場合は、本社が音頭を取って、
主要な自治体の意見を聞いてから、会社としての方針を定めたほうが
合理的でしょう。

会社方針が、一部の自治体の指導方針と違っていたとしても、違法でない
限り大丈夫です。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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旧木村メタルの埼玉にある工場を、グループ会社の中田屋が買い取って
います。
現在、中田屋熊谷工場として業務を行っています。

先日ここに見学に行ったのですが、ものすごいセキュリティーでした。
電機、電子、IT機器系のモノを廃棄(有価売却)を検討されている場合は、
是非ご検討ください。

下記ページの一番下にあります。
http://www.ndy.co.jp/corp/business.html

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パブコメ結果が出ました

2017年02月02日 14時37分15秒 | ニュースクリッピング
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廃棄物処理制度専門委員会が開催され、パブコメの結果が公表されました。

以下の委員会の開催案内の配布資料として、
 
パブコメの結果が出ています。
 

いつものことですが、これで何かが大きく変わります、という結論になることは
ほとんどないのですが、「意見に対する考え方(つまり回答)」としては


①「環境省において今後の施策の検討の参考にされるものと考えます。」

という「(委員会としての)考え方」が示されているものが大半です。

おっしゃる通りだと思うので、環境省も参考にするでしょう、ということを、
委員会の事務局として回答している、という立て付けです。

他には


②「報告書はその方向で記載済みです。」
   や
 「~可能となっています。」

気持ちを勝手に代弁すると「しっかり読んで(理解して)からコメントしてよ」
という“現状でもそうなっているよ的”な回答があります。
ただ、よく読むと、「現状のそれではダメなんだけど~」と突っ込みを入れたく
なるものもあります。

特に、25番の、
 「契約通りに処理しなかった処理業者には罰則を適用すべき」
というコメントがあります。これはつまり、
 「堆肥化を委託したのに、そのまま有価売却(横流し)されちゃった」
場合を念頭に置いたコメントだと思うのですが・・・

このコメントに対して
 「処理困難通知を出さなかったら罰則があるよ」
と回答しているところ、意図的にでしょうか、論点がずれてます。
もちろん、民民の契約違反についてそんな罰則を適用できるはずが
ないのですが。「ムリ」と回答するより優しいかもしれません。
気を使ってますね。

また、


③「されるべきものと考えます」
   や
 「~ないと考えています」

という、そうは思わない、意見が違うよ、という回答もあります。
特に、産業廃棄物と一般廃棄物の区分のところですね。とりあえずは、そう
回答せざるを得ないとは思いますが、5年後の大改正(?)に向けて重要な
テーマです。


私が挙げたいくつかのコメントへも回答されていました。
中でも「雑品スクラップは消防も巻き込んだ対応が必要」という趣旨の
コメントについては、

④「本専門委員会における議論は、廃棄物処理制度についての内容に
 限られて行われております」

と、ここではその話題は扱わないよ、というツレナイ回答でした。
「確かにそうだねぇ」的な、気の利いたコメントが欲しかったです。
お堅いなぁ。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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具体的にどう改正されるのか、さっぱりわかりませんでした。
現段階では、当然かもしれませんが。

今回実は気になるのは、218番目以降の「選別」を処分業で認める
かどうか、というテーマです。
現状、積替え保管の一貫として選別をするしかないのですが、選別後の
モノの行き先がバラバラだと、契約書もマニフェストも行先ごとに
運用することになります。

特に、マニフェストは面倒です。

例えば、
一体不可分のものを引き渡す場合でも、金属、プラ、ガラスに
選別する場合は、それぞれについてマニフェストが必要になります。
処分業になれば、1つで済みます。

管理コストの削減のためにも、是非とも実現してほしいです。
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