議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

廃棄物の委託にSDSは必要か?

2014年06月30日 17時41分08秒 | コンサル日誌
労働安全衛生法が6月25日に改正されました。これを受けて、2006年12月26日の記事に少しだけ手を加えたものを改めて新しい記事としてアップします。



****以下、以前の記事+ちょっと修正です*************
 先日、「排出物を販売する場合、化学品としての表示は必要なのでしょうか」という質問をいただきました。最近少し話題のテーマです。

■GHSとは
 さて皆さん、GHSというのをご存知でしょうか。化学品の表示を全世界的に統一しようという動きです。これに関係して最近労働安全衛生法が改正されました。詳しくは下記サイトをご覧ください。

改正労働安全衛生法(GHS関係)情報

 これによると、化学品の容器への表示とMSDSの内容が、GHSの関係で追加になったとのことです。つまり、表示しなければならない対象物は追加されていないのですが、表示内容が変わったのです。ところがこれを機に、「実は有価物にもこれの表示が必要なのではないか」という疑問を持つ方が出てきたようです。

■条文はどうなっているか
そこで、条文をあたって見ます。特に関係があるのが、見出しを赤字にした条文です。

労働安全衛生法より抜粋
**************
(製造等の禁止)
第五十五条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
(製造の許可)
第五十六条 ~省略~
(表示等)
第五十七条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 成分
ハ 人体に及ぼす作用
ニ 貯蔵又は取扱い上の注意
ホ イからニまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
2 前項の政令で定める物又は前条第一項の物を前項に規定する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。
(昭五二法七六・平一一法一六〇・平一七法一〇八・一部改正)
(文書の交付等)
第五十七条の二 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
一 名称
二 成分及びその含有量
三 物理的及び化学的性質
四 人体に及ぼす作用
五 貯蔵又は取扱い上の注意
六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、前二項の通知に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(平一一法四五・追加、平一一法一六〇・平一七法一〇八・一部改正)
**************

■通知はどうなっているか
 製剤とは何か、というところが課題となりそうです。厚生労働省に問い合わせたところ、下記の通知を紹介されました。
どうやら、現状ウェブ上で参照することはできなそうです。

・労働安全衛生法および同法施行令の施行について ◆昭和47年09月18日 基発第602号

***********
11 有害物に関する規制
(1) 第五五条関係
イ 本条の「製剤」とは、その物の有用性を利用できるように物理的に加工された物をいうのであり、利用ずみでその有用性を失つたものはこれに含まれないものであること。
ロ ただし書の特例が認められるのは、試験研究者がみずから製造等を行なう場合であること。
ただし、輸入について、輸入割当てを受ける事務等輸入に係る事務を輸入業者に代行せしめることは、輸入業者が輸入行為それ自体を行なうものではないと解せされるので認められること。
(2) 第五七条関係
イ 本条の「提供」とは、所有権等を留保したまま相手に渡して利用させるというような場合の「渡す」という事実行為を意味するものであること。
ロ 本条ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には、薬事法(昭和三五年法律第一四五号)に定められている医薬品、医薬部外品および化粧品が含まれること。
ハ 第一号の「名称」の表示は、商品名の記載でもさしつかえないこと。
***********

 有用性があるかどうかで判断するわけですから、廃棄物は対象外といえるでしょう。(廃棄物でも有用なものがある、有用性を利用できるように物理的に加工されている場合もある、という議論はここでは置いておきます。)

■こんなQ&Aもあります
中央労働災害防止協会で、「表示・文書交付対象物質を含む工場廃液を処理業者へ渡す場合にも表示やMSDSの交付が必要ですか。」という問いに対する回答で、廃棄物は対象外と解説してあります。

 廃棄物の処理は、所有権を放棄し、相手方に対価を払って最終処分を委託する
 ことであり譲渡提供に当たらず、 安衛法第57条及び第57条の2に基づく義務は
 生じません。


 廃棄物の処理委託は、あくまで譲渡提供ではない、ということですね。

ただ、有価物として売却する場合は、必要と言えるかもしれません。その場合も、その対象物質の有用性を利用する(たとえば蒸留して再利用するなど)のであれば必要ですが、燃料として有価売却するなら、その対象物質の有用性を利用するのではないため、不要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 SDSは不要だったにせよ、WDSやそれに準じた形で、廃棄物の情報提供はしっかりしましょう。
コメント (1)

小型家電で契約、マニフェストが必要な本当の理由

2014年06月25日 16時01分01秒 | はみ出しアドバイス
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7月1日配信のアミタのリサイクル通信(※)でも小型家電リサイクル法が企業に
与える影響を扱う予定です(ネタバレ?言っちゃっていいのだろうか??)。

※排出事業者を対象とした無料の情報提供サービスです、まだとっていない方は
 こちらからどうぞ。

施行後1年以上たっているのに、なんでこの時期に、と思われた方もいらっしゃる
かもしれませんが、何せ質問が多いのです。つまり、
「なんか、やらないといけないこと、あるの?」
という質問です。

詳細は通信をご覧いただくとして、結論としては、大してない、のですが、
注意すべきは、委託する側にとってなんら特例がない、という点です。

家電リサイクルも、自動車リサイクルも、パソコンリサイクルも
排出事業者にとって廃棄物処理法の特例が少しくらいあります。

しかし、小型家電(小電)はないのです。

家電はあるんですが、小電にはないのです。普通なら、なんでやねん、と思うでしょう。

審議会でもパブコメでも、「特例いるでしょ」という声が少なからずあったのですが、
通りませんでした。パブコメではこんな回答でした。

パブコメ結果はこちら
 
 「産業廃棄物については、排出者は排出事業者責任を全う
  する必要があるため、これまで通り産業廃棄物である小型
  電気電子機器は、マニフェストの交付が必要となります。」

こんな「ご意見に対する考え方(対応方針)」という名の、回答になってない
回答をするから、パブコメを出すのがバカバカしく(失礼!!)なるのですが
口に出せない理由があったのだと思います。

で、たぶんですが、その理由は以下のとおりです。他にも理由はあったかも
しれませんが、少なくともこれは理由の一つでしょう。


■小型家電リサイクルで、契約書もマニフェストも必要な理由

広域で小型家電回収をしないと、認定をもらえないというのがこの法律のミソです。

しかし、広域ではなく、これまでも小型家電を地域でリサイクルして来た実績の
ある業者がいるのです。この制度の設計にも、いろいろと貢献しているわけです。

その業者にとっては、
「認定事業者に委託するなら、排出事業者に特例をあげるよ」
という事態になったら、困るはずです。
お客さんが、そっちに流れかねないのです。

広域でやれる大規模な会社だけが特例の恩恵に浴することができるというのは、
確かにフェアじゃありませんしね。

ということで、
「排出事業者にとっては、どっちに出してもおんなじだね」
という形にしたのでしょう。


■だから、リサイクルは別の制度にしたほうがいい

よく考えると、これは本末転倒以外の何物でもありません。

ちゃんとリサイクルするなら、規制を緩くするよ、と言っているのに、既存の
リサイクル業者がいる領域は、不公平になるので規制はそのまんまにします、
ってことですよね。

結局、ちゃんとリサイクルする仕組みがある業者に委託するなら、規制を
緩和します=別の制度で回せるようにします、という形にするしかない
のだと思います。

リサイクル業法を作る、ということですね。もちろん、一廃も産廃も
区別なんかしません。皆さん、どう思われますか?

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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7月は、東京以外での公開セミナーがちょっと続きます。

7月11日 仙台で基礎編

7月17日 東京で現地確認編

7月29日 名古屋で基礎編

7月30日 名古屋で現地確認編

仙台、名古屋は、集客状況によっては、今年限りかもしれません。
ご検討ください。
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移動式がれき類等破砕施設に係る考え方及び設置許可申請に係る審査方法について

2014年06月13日 17時01分01秒 | ニュースクリッピング
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今日は、情報提供です。

■情報①
5月30日に、表題のような通知が出ました。

今のところ、東京都産業廃棄物協会でしか検索でヒットしないので、そっちに
リンクを貼ります。「【環境省】移動式破砕施設に係る考え方等について」
というリンクをクリックしてください。

審査方法について、ということで、この報告書を受けての通知のようです。

いわく、自治体によって審査基準が違うので、統一すべきだということだ
そうです。
移動式破砕機を設置される場合は、参考になると思いますが、すみません、
私は読み込んでません。。

■情報②
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、排出事業者に措置命令が
出されている不法投棄事件
についてです。

ほぼ終結するようですので、過去の経緯も含めて参考になると思います。

平川富士と言われている山で、千葉市内の事案です。

措置命令の要件として、以下が挙げられています。なお、自主撤去した場合は、
措置命令を受けていませんし、社名も公表されていません。

【契約書】
・作成義務違反
・法定記載事項記載義務違反
・保存義務違反

【マニフェスト】
・法定記載事項記載義務違反
・保存義務違反
・措置義務違反

措置義務違反の例として、
 返却されてきた産業廃棄物管理票の写し(E票)の最終処分場の
 欄に産業廃棄物中間処理業者であった株式会社千葉福祉建設公社
 の名称等が記載されていたにもかかわらず、処理状況を調査等の
 上千葉市長に報告しなかった。

法第12条の3第8項違反ということのようです。マニフェストの虚偽
記載を放置した、ということでしょうか。その中間処理業者では
最終処分にはならんでしょう、だから虚偽記載って分かるよね、
ということだと思います。
実態としては、中間処理業者で山積みで放置されていたらしいのです。

虚偽記載であることを排出事業者が把握するのは難しいと思って
いたのですが、なるほどこのようなケースはあり得ますね。

ということで、マニフェストが戻ってこない場合は当然のことながら
記載内容にもちゃんと注意しましょう、というお話でした。

■情報提供③
仙台で、法と実務セミナー(基礎編)をやります。
7月11日です。

東北6県(青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島)の事業所の方に限り
通常4万円のところ、1万円(税抜)で実施します。

きゃー、安い安い!!

安かろう、悪かろう、にはなりませんので、東北以外の事業所の方でも
東北にお知り合いの事業所があれば、是非紹介してください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆様、6月は環境月間ではありますが、それはともかく、マニフェストの
交付等状況報告書、多量排出事業者の報告書、PCB廃棄物の提出期限が
今月末です。温対法とか、他にもいろいろありますね。

議論de廃棄物の読者の方ご自身は問題ないと思いますが、社内の各事業所の
報告書作成状況についても、特に生産拠点でないところについては、是非
メールででも一報入れてあげてください。

ま、これやんなくても、行政処分は受けないんですけどね。
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