議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

逆有償とは

2013年07月24日 13時58分33秒 | コンサル日誌
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廃棄物の世界では、逆有償という言葉が良く使われています。
しかし、その意味するところは文脈によって異なるので注意が必要です
(法定の定義はありません)。


逆有償という言葉は、もともとはスクラップなど副産物を有償売却する業界で
(例外的取引というニュアンスを含んで)使われていたのだ思います。意味合い
としては、単に「費用を払って処理委託する」ということだったと思われます。
(もちろん、今でもこの意味で使われることはあるようです。)
つまり、有償売却に対して、逆に費用を払うことを指したのです。有価物として
売却できていたものが、市況の変化で売れなくなった場合に「逆有償になった」と
言ったのでしょう。そしておそらく、売却できても運賃が高くて、トータルで
マイナスになる、といったケースが最も多かったのでしょう。

一方、廃棄物の業界では処理費を払うのが当然ですので、処理費を払うことを
わざわざ「逆有償」と言うことは余りありません。それどころか「逆有償」なんて
言ったら、逆に買ってもらえそうです。

で、おそらく、廃棄物の業界から見ても、有価物の業界から見ても「逆有償」
という言葉が共通して当てはまるのが「売却益より運賃が高い」という取引
なのです。
そしていつのまにか意味が転じて、逆有償というと、この意味として
使われる事が多くなってしまいました。特に規制改革通知以降の廃棄物の
業界では(この手の取引についての廃棄物処理法上の手続きについては、
この記事を参照ください)。


ということで、私は「逆有償」という言葉を使いません。誤解が生じる可能性が
ありますので。

使ったとしても、
「代金より運賃が高い”いわゆる”逆有償」
または
「運賃で逆有償になる場合」など
と言っています。

個人的には、「手元マイナス」がスマートでいいと思っています。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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9月11日に無料セミナーを開催します。私も登壇しますので、
良かったらご参加ください。定員30名、多分すぐ満席になると思う
のですが。。。

廃棄物処理法のヒヤリ・ハットから学ぶ!
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IHIさんのCSRレポートに掲載されました

2013年07月18日 09時44分25秒 | コンサル日誌
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IHIさんのCSRレポートに「アミタの支援を受けて廃棄物管理を強化した」
という取組みが載りました。リスク診断というサービスで、現場の管理状況や
遵法状況を確認したり、各地でセミナーを実施しました。

IHIさんCSRレポート 

実は、CSRレポートで「外部講師を招いてセミナーをやっています」、と公表して
いても、アミタの名前を出していただくケースは少ないのです。
出して頂いたら、こうやって紹介するのに。それも、このブログだけでなく、
日経エコロジーに先進事例として紹介だってしちゃいますよ!!

というのも実はIHIさんの取組み、今月(2013年8月)の日経エコロジーの34ページ
にも詳しく掲載されています。紹介されているアミタの支援内容に多少の事実
誤認がありますが、ま、いいでしょう。
アミタの廃棄物管理のクラウドサービス「e-廃棄物管理」も、画面の写真が
紹介されています。是非こちらもご覧ください。

e-廃棄物管理
 
手前味噌ですが、監査、体制構築コンサル、さらにクラウドサービスによる
運用支援、セミナーまでワンストップで提供できるところは他にはありません。

ということで、世の中、廃棄物の量は増えていませんが、セミナーは毎年
少しずつ増えています。リピーターになってくださる方が多いので、積み
上がっていくのです。ありがたいことです。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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福島・郡山市にある県農業総合センターの職員が、野焼きで書類送検されました。
ベニヤ板や飼料袋を58kg燃やしたそうです。
自治体職員も脇が甘いですが、これで書類送検にする必要はどれほどあるの
でしょうか。
まずは指導でよかったと思うのですが、これではうっかり落ち葉焚きで焼き芋も
できません。。。が、この程度はいいことになっています。

施行令14条で、以下については焼却しても良いことになっています。

一  国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
二  震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために
  必要な廃棄物の焼却
三  風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四  農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却
五  たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの。


●該当YouTubeページ

それにしても、レポーターのマスクは、この事件の大して危険でもない危険性を、
無理やり煽っているように思えます。なんともチープな。。。
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廃棄物リスクとは

2013年07月08日 17時28分51秒 | ニュースクリッピング
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今月(8月)の日経エコロジーの特集は「産廃リスクを回避せよ」です。
アミタにも取材がいらっしゃったり、取引先を紹介したりして、記事に取上げられて
いますので、是非お読みください。

もちろん、いつもの私の連載記事も82ページにあります。今回は、ちょっとマニア
向けです。

それにしても、色々な言葉があります。

「廃棄物リスク」、「不法投棄リスク」、「環境リスク」、「廃棄物問題」、
「産廃問題」、「ゴミ問題」、「不法投棄問題」

「環境リスク」はともかく、これらについて一般に合意された定義はないと思います。

どの言葉を使うかは、その人が何に注目しているのかによるのだと思いますが、
アミタは「産廃リスク」ではなく、
「廃棄物リスク」
という言葉くらいしか使っていません。リスクは産廃以外にもあるから、です。

「~問題」という言葉も、マスコミのキャッチコピーとしては使いやすいかもしれませんが
どちらかというと、「社会問題」として取上げる際に使う言葉でしょう。
企業の個別課題への解決策を提供するコンサルが使う言葉としては、少々違和感があります。


私は「廃棄物リスク」を

 (1)自社が排出する廃棄物
 (2)自社の事業活動に関わる範囲で発生する自社以外の廃棄物

  に起因して発生する企業リスク。


と定義しています。

会社としてオーソライズしているわけではありませんが、セミナーやコンサルをする場では
そう説明しています。

ポイントは、自社が直接出す廃棄物以外にも、サプライチェーンの上下流から排出される
廃棄物も考慮しましょう、ということです。それも、環境負荷を与えてしまうリスクではなく、
あくまで、企業にとってのリスクということです。

具体的には、OEM先が排出した廃棄物に自社のロゴが入っていて、山で不法投棄されて住民
から通報を受けた場合なども、廃棄物リスクに含みます。

経済産業省の「廃棄物・リサイクルガバナンス」と考え方は近いでしょう。
下記の1章に説明があります。
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/new/041101.html

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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アミタは、新卒採用を開始しました。

環境、CSR、リサイクルのキーワードで就職活動をされている方は、是非説明会に
ご参加ください。環境就職では結構な人気企業、のはずです。

http://www.amita-hd.co.jp/recruit/newgraduate.html

よろしくお願いします。
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不法投棄はなぜ起こるのか

2013年07月04日 17時00分01秒 | コンサル日誌
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不法投棄が起こる理由は何か?なぜ起こるのか?

なんとも、古典的かつ基本的な命題ですが、よく考えるとこのブログでまともに
取り上げたことがないような気がします。もう8年もやっているのに。。。
そこで、改めて整理しておきたいと思います。
いろいろな説明方法があると思いますが、セミナーでよく使っているストーリー
を使います。

セミナーではスライドで説明していますので、もっと分かりやすいはずですが。。。

■発注者=排出事業者の責任
①廃棄物の処理委託も、普通の業務委託も、「品質」「価格」「納期」の
 3つを判断要素として発注先を選定します。
②廃棄物の処理委託では、不法投棄を防ぎ、適正処理、リサイクルをして
 もらうために、いわば「品質」を確かめる必要があります。しかし、、、
③廃棄物の処理委託では、「品質」より「価格」を最重視していることが多い
 ようです。
 なぜなら、「品質」がどんなに悪くても、発注側としては痛くも痒くもない
 からです。普通の業務委託や仕入先の「品質」が悪いと、自社の業務に直接
 悪影響がありますが、不法投棄されても、自社の仕事には何の影響もあり
 ませんから。
④そうすると、処理業者としては、公害を全く出さない処理、高度なリサイクル
 をしても排出事業者から評価されず、価格面だけでの競争を強いられます。
 そのため、徐々にいい加減な処理が横行し、「山の中でダンプアップして
 サヨウナラ」という不法投棄が最も競争力があるという業界になってしまいます。
⑤排出事業者としては、発注者としてしっかりした処理をしてくれるか、その
 「品質」をしっかりと見極める責任があるといえるでしょう。そうしないと、
 間接的に環境汚染に加担したことになりますし、場合によっては行政処分を
 受けることにもなります。

■処理業界の構造的問題
①処理業者は、廃棄物を引き取り、ほぼ同時に処分費用を受け取ります。
 つまり、本来そうあるべきではありませんが、処分する前に料金を受け取る
 ことができます。
②処理業者は、処分を先延ばしにして、廃棄物の引き取りだけを拡大する
 ことで、たいした仕事をしなくても収入が増加します。つまり、廃棄物を大量
 に保管できれば、それだけ収入が増え、ころあいを見てお金だけ持ち逃げ
 することも可能です。
③はじめからお金を持ち逃げするつもりでなくても、食いつなぐために、
 無理をしてでも廃棄物を受け取り、何とか収入を得て資金繰りに回しているが、
 結局倒産してしまうというケースもあり得ます。その際には、大量の廃棄物が
 残ってしまいます。
④処理業者の財務諸表、経営状態が大切であるという理由はここから来て
 います。
⑤大量保管を防止するための法規制もありますし、処理を先延ばしにすることが
 できないように、マニフェスト制度というものもありますが、いずれも書類上
 の話で、実際に現場がそのとおりに運用されていることを保証するものでは
 ありません。排出事業者としては、自社のリスク管理という観点からも
 処理状況を現地で確認することが望まれます。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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上記の、排出事業者の責任と、処理業界の構造的問題の両方が相まって、
不適正処理を助長しています。

近年不法投棄の量は減少傾向にありますが、統計に上がらない不法投棄も
あります。アミタのクライアントからも、自社の廃棄物、もしくは自社の会社名の
入った廃棄物が不法投棄されてしまったというトラブルの相談を頂くことが
よくあります。

アベノミクスが注目されていますが、処理業界に景気回復の兆しは見えて
いません。排出事業者も、厳しいコストダウン要求の中で仕事をしています。
再び不法投棄が増加することがないように、また、自社が不法投棄に巻き込まれ
ないように、十分な配慮が求められるところです。
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