すこし間が空いてしまいましたが、前回の続きです。廃棄物処理法施行令第1条の各号を紹介します。
***************************************************
【第1号】
次に掲げるもの(国内における日常生活に伴つて生じたものに限る。)に含まれるポリ塩化ビフェニルを使用する部品
イ 廃エアコンディショナー
ロ 廃テレビジョン受信機
ハ 廃電子レンジ
***************************************************
→ここでの注意は「国内における日常生活に伴つて生じたものに限る」くらいですね。
この部分で疑義が生じたという事例は知りません。もしよい例をご存知の方がいらっしゃれば教えてください。
***************************************************
【第2号】
別表第一の一の項の中欄に掲げる施設において生じた同項の下欄に掲げる廃棄物(第2条の4第6号、第7号及び第9号に掲げるものを除く。)
***************************************************
<こんなに短い条文なのに、ひとつひとつ追っていくと、とてつもない長旅になります。>
■「別表第一の一の項の中欄」とは
★さて、慣れないと読みにくいのが「別表第一の一の項の中欄」とか「同項の下欄」という表記。チビローも時々読み間違えてしまうことがあります。★
■■「別表」
この条文は「施行令」に記載されていますから、「別表」とは施行令の別表を指しています。施行規則に「別表」とあるときは施行規則の別表をさします。施行規則中に「令別表」とあれば施行令の別表となるわけです。
■■「別表第一の一の項」
とは、『別表第一』の『一の列(行?)』という意味です。
■■「中欄」
とは、まさしく真ん中の欄という意味です。「下欄」であれば一番下です。条文は縦書きですから別表も縦書き。必然的にこのような言い回しになってしまうのかもしれません。
■では、別表第一の一の項を見てみましょう!
-----------------------
(上欄) 一
(中欄) 第5条第1項に規定するごみ処理施設であって、環境省令で定めるもの
(下欄) ばいじん(集じん施設によって集められたものに限る。以下この表において同じ)
-----------------------
条文では「中欄に掲げる施設において生じた同項の下欄に掲げる廃棄物」とされていますので、中欄の条件と下欄の条件はAND条件ということになります。
つまり、中欄に掲げる施設以外で生じた下欄の廃棄物や、中欄の施設で生じた下欄以外の廃棄物は特別管理一般廃棄物には該当しないということですね。
>>>(中欄)環境省令で定めるもの
-----------------------
【環境省令=施行規則第1条第1項】
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令別表第一の一の項の環境省令で定めるごみ処理施設は、
①ばいじんを焼却灰と分離して排出し、貯留することができる灰出し設備及び
②貯留設備が設けられている
焼却施設とする。
-----------------------
→読みにくいので①と②を補い、改行を挿入しました。
■コレで解決!・・・ではありません。もう一度【第2号】に戻ってみましょう。
***************************************************
【第2号】
別表第一の一の項の中欄に掲げる施設において生じた同項の下欄に掲げる廃棄物(第2条の4第6号、第7号及び第9号に掲げるものを除く。)
***************************************************
★( )書きを忘れてはいけません★
以下に該当するものは特別管理一般廃棄物から除かれます。
つまり『一般廃棄物』になります。
-----------------------
施行令第2条の4
【第6号】
法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物の
焼却施設(一時間当たりの処理能力が200kg以上又は火格子面積(火格子の水平投影面積をいう。以下同じ。)が2m2以上の焼却施設であつて、
環境省令で定めるものに限る。)において発生するばいじんであつて集じん施設によつて集められたもの及び当該ばいじんを処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)
【第7号】
別表第三の14の項に掲げる施設において法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物の焼却に伴つて生じたばいじん(集じん施設によつて集められたものに限るものとし、前号に掲げるものを除く。)又は燃え殻(これらに含まれるダイオキシン類の量がダイオキシン類対策特別措置法第24条第1項 の環境省令で定める基準を超えるものに限る。)及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)
【第9号】
ばいじん(集じん施設によつて集められたものであつて、法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物であるものに限る。)
-----------------------
ふ~。長旅はまだまだ続きます。読みにくいところはご容赦ください。
【第6号】短くすると次のとおりです。
◎法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物の
焼却施設において発生するばいじんであって
◎集じん施設によつて集められたもの及び当該ばいじんを
処分するために処理したもの
◆
焼却施設:一時間当たりの処理能力が200kg以上又は火格子面積(火格子の水平投影面積をいう。以下同じ。)が2m2以上の焼却施設であつて、
環境省令で定めるものに限る。
→
環境省令 = 施行規則第50項 = 前条第1項に規定する施設 ・・・元に戻りましたね。
◆
処分するために処理したもの :
環境省令で定める基準に適合しないものに限る。
→
環境省令 = 施行規則第51項:「
環境大臣が定める方法により処理したものであること。」
→
環境大臣が定める方法:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第1条第2項及び第1条の2第51項の規定に基づき環境大臣が定める方法(厚生省告示第4号 平成12年1月14日)」
↓
結論は・・・
「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法(厚生省告示第194号平成4年7月)」 ということです。
【第7号】これも、まずは噛み砕いてから詳細を確認します。
以下の施設の要件と廃棄物の要件もAND条件の関係です。
(施設の要件) :別表第三の14の項に掲げる施設
(廃棄物の要件):法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物の焼却に伴つて生じた
ばいじん ・・・( )書きあり。
又は燃え殻 ・・・( )書きあり。
及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの ・・・( )書きあり。
(1)また出てきました「別表」。今度は施行令にある「別表第3」の14番の列(行?)です。
<別表第3 14の項>
→ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第一第5号に掲げる施設
↓
-----------------------------
廃棄物焼却炉であって、火床面積(廃棄物の焼却施設に2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合にあっては、それらの火床面積の合計)が0.5m2以上又は焼却能力(廃棄物の焼却施設に2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合にあっては、それらの焼却能力の合計)が一時間当たり50kg以上のもの
-----------------------------
(2)次は 法第2条第4項第2号です。ここでピンと来たかたは素晴らしい!
「産業廃棄物」の条項で、第2号とは普段あまり意識しない箇所です。
↓
-----------------------------
輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第15条の4の5第1項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
-----------------------------
・・・これもわかりにくい文章ですよね。この解説は「産業廃棄物」のときに行いますので、今回は飛ばしたいと思います。
(3)ばいじんの( )書き
-----------------------------
集じん施設によつて集められたものに限るものとし、前号に掲げるものを除く。
-----------------------------
これは簡単ですね。第6号のものは除くと言っています。
(4)燃え殻の後の( )書き
-----------------------------
これらに含まれるダイオキシン類の量がダイオキシン類対策特別措置法第24条第1項 の環境省令で定める基準を超えるものに限る。
-----------------------------
まず、間違えてはいけないのが、この( )は燃え殻にではなく「ばいじん又は燃え殻」に掛かっているということ。
では中身ですが、『ダイオキシン類対策特措法第24条第1項の環境省令で定める基準』ですね。「法第24条・・・」と言っておきながら「省令で定める」とありますから、「法第24条・・・」を見ても省令に飛ばされるんだなぁと覚悟しながらダイオキシン類対策特措法第24条第1項を引いてみましょう。やっぱり飛ばされます。→「廃棄物焼却炉に係るばいじん等に含まれるダイオキシン類の量の基準及び測定の方法に関する省令」・・・環境省のHPではリンク切れ。ひどい!検索エンジンで省令名をキーワード検索してようやく見つかりました。[3ng/g]です。
(5)処分するために処理したものの後の( )書き
-----------------------------
環境省令で定める基準に適合しないものに限る。
-----------------------------
→環境省令 = 施行規則第1条の2第52項 = ダイオキシン類の含有量が[3ng/g]
【第9号】以下のものに限ります。
(施設の要件) :集じん施設によつて集められたもの
(廃棄物の要件):法第2条第4項第2号 に掲げる廃棄物
→さっきと同じ。この解説は「産業廃棄物」のときに行いますので、今回は飛ばします。
***************************
ようやく施行令第1条第2号の解説まで終わりました。
最後のほうは、どこを歩んでいたのか忘れてしまうほど長いですよね。
実務でのポイントは、
①全てを完璧に理解しようとしない。
②施行令に記載されているレベル(第2号の場合は別表レベル)を把握し、「自社の廃棄物が該当するかもしれない」と気づける状態にしておくこと。
③自社が該当するかもしれない条文について、細かく読み解いて、法の適否を見極める。
ということではないでしょうか。
さて、次回ですが特にご要望がなければ、法律第2条第4項「産業廃棄物」の解説に移りたいと思います。施行令第1条第3号だと、また今回のように長い解説になり、いつまでも特別管理一般廃棄物の解説から抜け出すことができませんので。