議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

1年を振り返って

2008年12月26日 07時21分14秒 | ウィークリー・トピックス
■今年1年を振り返って
 今年の環境の世界でのトピックは、何と言っても第一約束期間入りと洞爺湖サミットでしょう。温暖化問題に対する関心が高まった年でした。循環形社会と低炭素社会の両輪をどうまわしていくのか、大切なテーマです。

 資源価格の高騰も大きなトピックでした。廃棄物の有価物化とリサイクルが進み、各種リサイクル法の問題点が表面化したこともあります。MFCAの話題も手伝って、資源の有効利用にも改めて注目が集まったと思います。原油価格が140ドルにまで上がり、運賃の値上げ交渉を受けた方も多いことでしょう。その後一気に40ドルにまで下落したのも驚きです。そして中国へ行く予定だった廃プラが行き場を失って・・・。市況変動に左右されにくいルート確保の重要性を再認識しました。
 そして、急速な景気と雇用情勢の悪化です。社会保障制度の見直しを本気で考える必要が出てくると思います。私は、社会全体が環境問題に取り組む前提として、社会保障制度の充実があると思っていますので、よい機会だと思います。

 来年は、景気は低迷するのでしょうが、その中でも環境関連の投資は他のものより堅調なはずです。それでも全体的に縮みがちですので、環境の分野で差をつけるには絶好のチャンスかもしれませんね。

 来年、どんな世の中になるのか、楽しみです。

■個人的なことの振り返り
 オフ会を3回も実施しました。来年は組織変更もあり、どこまで同じような動きが取れるかは分かりませんが、できるだけ継続していきたいと思います。ブログはもちろん続けます。
 ブログの構成も少し変えました。月曜は前の週の振り返りとして「ウィークリー・トピックス」、金曜は「ベーシックインカム」ネタにしてみました(今日は例外ですが)。この金曜の記事は、別で立ち上げたブログから引っ張ってきています。
 そういえば、ブログ経由で仕事を頂くことも増えてきました。有難いことです。

 日経環境経営フォーラムでも2回ほど講演をさせていただきました。2回とも別の内容です。結構評判が良かったようで、継続する方向で検討中です。その他、新しいセミナーコンテンツを作りましたが、やはり温暖化関連テーマのご要望が多かったです。
 来年はアミタでもいろいろな企画でセミナーをやろうと目論んでいます。

 今年のセミナー実施回数は63回(社内実施も含めるともう少しありますが)、延べ参加者は2637名でした。参加者数は今年初めて集計しましたが、この感じですとこれまでに延べ1万名以上の方を対象にセミナーをやってきたことになるのでしょう。

 来年は個人的にも少し変化が大きい年になると思っています。うまくいくかどうかは分かりませんが、これからもよろしくお願いいたします。

 今年一年、ありがとうございました。

 では皆様、良いお年を。
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会場に声が・・・

2008年12月25日 05時12分46秒 | 余談コーナー
 セミナーの休憩時間に、会場の外でアミタの同僚に電話をしたのですが「お疲れ様で~す。○○クンいる?」と言ったところでピンマイク(クリップで胸元にくっつけるマイクです)の電源が入っていることに気付きました。会場から少し離れていたのでまさか・・・と思ったのですが、「皆さん、もしかして電話の声聞こえました?」と聞くと、案の定たくさんの首がいっせいに縦にブンブン・・・。「すみません!!」

 講師の世界ではよく聞く笑い話で、そんなことが自分に起こるはずはない、と思っていたのですが。これは、結構最近の話です。

 ということで、よく聞く話は、実際にわが身にも起こりうるのです。もしかしたら来年皆さんの身にも何かが起こるかもしれません。廃棄物処理法違反で警察から事情聴取を受けるとか、もしかして逮捕されるとか、行政処分を受けちゃったりとか、マスコミに騒がれたりとか。お互い気をつけましょう。
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ドリームコリア

2008年12月24日 06時20分49秒 | 政策提言
 インターネットで政策を議論する仕組みが政府によって構築されている国があるようです。「韓国政府が開設したWiki方式の政策提案サイトは「実名制」

 このようなことがいつか出来るのではないかと思っていましたが、さすがは韓国です。言論を抑圧しがちな印象がある国ですが、ネットの世界では進んでいます。この記事では実名での参加が必要であるため、実効性に疑問が呈されていますが、まずはこの取組みを始めたこと自体を評価すべきでしょう。近い将来、日本でこれが出来るとはどうも想像できませんし・・・
 「ドリームコリア」というサイトです。(リンクを貼りましたが英語版はありません。ハングルが読めないと訳がわかりません。)

 これができれば、廃棄物処理法改正について国民が議論し、「主権者がそこまで言うのであれば」という風潮にすれば環境省としても改正しやすくなるでしょう。責任が国民にあることを明確にし、環境省はそれに従うという本来の姿に戻るのです。もちろん、廃棄物処理法改正の他にも、いろいろできるはずです。

 当然ですが、民間でも同じようなことができるはずです。個人的には前々からやりたいと考えていたのですが、まだそちらの方には踏み出せず・・・。どなたかやりませんか?手伝いますよ。
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食品廃棄物の有効利用

2008年12月22日 06時23分26秒 | コンサル日誌
 店頭では販売できない食品でも、味や安全性に問題がない食品が沢山廃棄されています。食品リサイクル法では、このように“廃棄される量を減らす”、すなわち「発生抑制」が最優先とされています(循環基本法でもそうですが)。その次には飼料化の優先度が高いとされています。しかし、言うまでもなく飼料化より人間の食用がよいに決まっています(これは結局「発生抑制」なのですが)。

 日経ビジネス2008年12月15日号で、このような食品廃棄物をホームレスの方々に配布しているという活動が紹介されました。
 セカンドハーベスト・ジャパンという団体で、ちょっとしたボランティアというレベルを超えて、しっかりとした活動をされているようです。なにせ、ビジネス誌に載ったくらいですから。

 場所は秋葉原と浅草橋の中間地点です。食品廃棄物の削減に困っている方は、このような活動に参加されてはいかがでしょうか。地元にこのような組織がない場合は、社会貢献活動の一環として同様のNPOを立ち上げられても良いでしょう。人員削減の嵐の中、時代のニーズにもマッチしています。

 無償での提供は廃棄物の委託になるのではないかと心配をされる方が多いですが、そんなことはありません。有用物の無償譲渡(プレゼント)です。念のため。
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カネが問題です

2008年12月19日 05時32分37秒 | ベーシックインカム
 なんにせよ、カネが問題なのです。

 トヨタが下期1000億円の規模の赤字とのことです。少し前に、通期の営業利益予測を1兆円引き下げたということでエライ騒ぎでしたが、今回はそれをさらに下方修正です。来期はどうなるのでしょうか。GMがつぶれるのはやはり時間の問題なのかもしれません。
 こんな時代に派遣切りをするのはある程度仕方がないのでしょう。個別の企業に出来ることには限界がありますから。一方、社会全体で構築すべきセーフティネットは、終身雇用の時代からほとんど進歩していない=不十分であるといえるでしょう。ところが現状、セーフティネット強化のためには増税(カネ)が必要ですが、カネがないからやっていない、というわけです。

 このような経済系の話題にかき消されつつ、COP14(気候変動枠組み条約締約国会議)が閉幕しました。簡単に言ってしまうと“何も進展せず”だったようです。理由は「経済に悪影響を与えるから」です。カネさえかければ解決できる問題なのですが、かけていません。

 他にも、世界中の問題のかなりの部分は、適切な予算措置を取れば解決できるはずです。要はやる気の問題です。

 カネは、社会を豊かにするための“ツール”として使わなければならないはずです。それなのに、我々の社会はカネに振り回されています。人間よりカネの方が力を持っています。カネのせいで多くの人の生活が破壊され、命が失われています。

 我々は、どこまで追い詰められれば変わることができるのでしょうか。
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ご要望に応え

2008年12月18日 05時34分47秒 | 余談コーナー
 何名かの女性読者からのご要望に応え、成長した娘の写真を載せたいと思います(いや、本当にご要望があるんです)。

■写真の紹介
 ということで、まずは今年春の花見の写真から(半年以上前ですね・・・)。



 最近は、肩車に乗ると私のオデコの辺りを手で押さえるので、前髪が目にかかって視界不良になります。ヘルニアは治っていますが、長時間やるとさすがに腰に来ます。


 続いては、近くの公園のブランコです。



 私が「お母さんの方向いて~」と言っているところだと思います。ペコちゃんのように舌が出ているのが分かるでしょうか。実は相当喜んでいます。


 最後は、スパゲティを作っているところです。



 マゼマゼ、グルグル、イェ~イ!!
 もちろん、こんなに背は高くありません。椅子に乗っています。

 私のTシャツの腕の辺りに何かくっついていますが、これは娘が貼り付けたシールです。

■その他
 最近の娘は、親より記憶力が良い、「何で?」を連発する、「今やるの~っ」も連発する、野菜を食べない、佃煮系の小魚が大好き、カレーパンマンのお面をかぶせて、ひざの上に乗って絵本を読ませる(どんなに読みにくいか分かります??)、一番好きなのはやっぱりお母さん、といった感じです。
 それと、私と手をつないで歩いていると、何を思ったか私の左手の小指を左手で、人差し指を右手で握り締めてぶら下がったりします(体重は今や13キロもあるのに、我ながらよくそんな握力があるものだと驚きました)。

■お断り・・・
 ということで、「なぜこんなに写真映りが悪いんだろう、本物はもっと美人なのに」と思いながら、それでもマシな写真を選んだつもりです。嫁の貰い手はまだ探していませんので、悪しからず。
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マニフェストの様式

2008年12月17日 05時07分11秒 | コンサル日誌
 マニフェストの様式をご覧になったことはあるでしょうか。通常販売されているマニフェストではなく、施行規則の様式第二号の六そのものです。こちらをご覧ください。

 もともとこんな様式であるものを、全国産業廃棄物連合会さんなんかが少し手を加えて使いやすくしたものが販売されているわけです。ですから、この様式をそのままコピーして使ってももちろんOKなのです。

 さて、様式の中身をちょっと見てみましょう。


○交付担当者欄 
 押印欄がないですね。販売されているものにはありますが、担当者の押印は本来不要ですから。
○産業廃棄物の種類
 チェック式ではありません。ちょっと意外ですね。販売されているものについては、相当なスペースを取っていますから。
○産業廃棄物の名称、処分方法
 これは法定記載事項ではないので、様式にも入っていません。
○運搬の受託
 受領印欄がありますね。条文では受領印の押印が規定されていませんが・・・。
○記載上の注意 8ポイント以上の文字で記載することになっています。

 たまにこんなものを見るのも面白いのではないでしょうか。他にもお気づきの点があれば、コメントいただければと思います。
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処理業者に対して与信管理を

2008年12月16日 06時05分19秒 | コンサル日誌
 産業廃棄物の処理委託の流れとしては、

①廃棄物を引き渡す
②処理費を支払う
③実際に処理が行われる
④マニフェストD票が戻ってくる

 というケースがあります。

 つまり、処理費を払った後に処理が行われることがあるのです。特に定期修理期間中に引取ってもらう場合はよく起こります。

 ②と③の間のタイミングでは、「廃棄物の処理をしてもらう」という債権だけが残っていると言えるでしょう。処理業者は仕入先ではありますが、得意先に対する売掛債権があるのと似ています。そう考えると、処理業者に対して与信限度額を設定すべき、つまり委託限度数量を設定すべきということになります。

 確かに、担当者の方の判断で「大量の廃棄物を委託している処理業者に対しては、現地確認をしっかり行う」とされていることは多いと思います。ただ、会社の仕組みとして運用しているところはあまりないでしょう。処理業者の信頼性に応じて委託限度量を設定するか、そこまでしなくても大量委託先をピックアップして特別な監視をするという仕組みを作られてはいかがでしょうか。

 同様の仕組みを運用されている方がいらしたら、是非教えてください。
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分社化します

2008年12月15日 06時22分18秒 | ウィークリー・トピックス
 いつものように、先週の振り返りをしますと、日経エコロジーの記事作成、とある調査資料作成、セミナー、来期の計画作りをしました。実は少し前に発表されているのですが、2009年2月2日にアミタは一部事業を独立させ分社化します。「株式会社アミタ持続可能経済研究所」と「アミタエコブレーン株式会社」、そして「株式会社トビムシ」です。これに伴う組織改変を踏まえて、計画を作成していました。

 それと環境省にちょっとした電話をしました。この電話の内容は後日お知らせできればと思いますが、少々微妙な内容なので「ブログにあげる前にちょっと内容を見せてください」といわれています。
 環境省と自治体のやり取りの中には、「実はこういう法の抜け道もあるんだけど、皆が知るとよくないので黙っといてね」というものもあります。このブログはGoogle検索すると結構上位に表示されますし、平日は平均して350アクセスもあるので変なことは書けないと思っていたのですが、環境省の検閲入りなら問題なしです!!しばらくお待ちください。
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2兆円の雇用対策よりも福祉予算を

2008年12月12日 06時47分44秒 | ベーシックインカム
■物質的には豊かなはず
 そもそも我々が経済成長をしてきたのは、生活が豊かになるためだったはずです。特に物質的に貧しい状態からの脱却が目的でした。現在世界は、少なくとも物質的には相当に豊かになっています。人類全体がとりあえず衣食住に欠けることはないだけの生産能力はあると思います。これからはよく言われるように、精神的な満足を求める段階のはずです。

■問題は分配方法
 最近では2兆円の雇用対策をするとの案があります。雇用を増やして、失業者の方々に仕事をやってもらって、収入を得てもらって、生活の糧としてもらおうということです。
 でも、失業者が増えたからといって、社会全体として生産能力が落ちて、物質的に困るという状況にはならないと思います。

 世界的に見ても貧しい人は沢山います。問題は、富・物質の分配方法なのです。

■ベーシックインカム的 富の分配方法 ~精神的満足も~
 経済を活性化して仕事を無理やり作り出すより、ベーシックインカムを支給して、儲からなくても意義深い仕事をしっかり出来るようにすべきではないでしょうか。家庭内労働やボランティア、芸術活動などです。自宅介護などもそうですね。精神的満足など、お金で計れない価値があります。多くの方がそれをしても、我々の社会は問題なく回るくらい効率的な生産能力を持っています。

 2兆円は、介護、医療などには使われないのでしょうね。既にココには仕事がありますから、雇用対策にはならないのでしょう。でも、福祉を充実させないと、精神的な満足を得ることは出来ないはずです。

 ベーシックインカムという恒久的な雇用対策をして、雇用対策予算を福祉にまわすことはできないのでしょうか。このために必要な税金を払っても、損ではないはずです。
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