議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

中間処理と最終処分

2009年06月22日 05時21分29秒 | コンサル日誌
 中間処理と最終処分について、過去にも何度か取上げてますが少し丁寧に解説します。非常によく誤解が発生する場所ですので。
 まずは原文を引用して分解していきます。法第12条第3項の5文字目以降より・・・

*原文引用=法第12条第3項より**
中間処理業者(発生から最終処分(埋立処分、海洋投入処分(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 に基づき定められた海洋への投入の場所及び方法に関する基準に従つて行う処分をいう。)又は再生をいう。以下同じ。)が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)
*****************

 括弧を外すと、
*分解1=中間処理業者とは******
中間処理業者(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)
*****************

 ということは、中間処理業者とは最終処分以外の処分を行う処分業者すべてを指す、ということになります。

 さらに、
*分解2=最終処分とは******
 最終処分(埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう。以下同じ。)
*****************

 つまり、最終処分とは、①埋立処分、②海洋投入処分、③再生のいずれかを指すということになります。したがって、この①~③以外の処分をする業者はすべて中間処理業者、ということになります。

■中間処理業者が最終処分をすることも
 ところが③の再生とは、なんらかの処理によって廃棄物を有価物に変化させる行為ですが、具体的な方法が特に法律で定められているわけではありません。市況の変化によって有価物になったりならなかったりもします。
 行政が通常出している処理業の許可(14条関連)は、具体的な行為を対象にしており、その行為の結果が有価物を生み出すのかどうかは問題ではありません(一部の特例制度を除く)。ですから、“再生”という許可は出されず、破砕、焼却、堆肥化、溶融固化という行為そのものについて許可が出されます。
 これら破砕、焼却、堆肥化など「埋立以外の処分」をする処理業者に対して「中間処理業」という許可が出されることがあります。しかし、これらの処理の結果が“再生”となることがありますので、中間処理業者が最終処分を行う、なんてことにもなります。

■契約書について
 契約書の法定記載事項(施行令第6条の2第3号ニ)には
「産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第三項 に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力」
があります。

 またまた括弧を外すと、
産業廃棄物の処分(最終処分を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力」
となります。
 最初の青地の部分は、中間処理のことを指しますので、「中間処理を委託する場合は、最終処分の場所の所在地等」を記載すること、ということになります。逆に言うと、最終処分を委託する場合は、改めて「最終処分の場所の所在地~」を書く必要はありません。

・中間処理業者が最終処分をする場合の契約書の書き方
 堆肥化の結果が再生になる(肥料を販売できる)場合を考えてみます。よくある雛形には、直接契約している業者との処分内容(この場合“堆肥化”と記載)以外に、最終処分の場所の所在地の2つが入っています。このため、最終処分の場所には、何を書けばよいのか迷われることが多いようですが、法律上は記載の必要はありません。なぜなら、最終処分(もちろん再生を含みます)を委託する場合には、「最終処分の場所の所在地~」を書く必要はないからです。それこそこの欄は単に削除しても構いません。
 ただ、堆肥化が再生になるかどうかが明記されていないと、最終処分がどこで行われるかわからなくなってしまいます。委託する処分方法の欄に、堆肥化(再生)と記載するか、「最終処分の場所の所在地」の欄に「上記堆肥化の結果再生される」などの記載をされるとよいでしょう。
 肥料を販売する先の会社名を記載しないようにしてください。

■同様にマニフェストについて
 「最終処分を行った場所の所在地」等をE票に書くことになっています(施行規則第8条の24、第8条の25の2)。ところがここに「再生」であったり「有価物として販売するため最終処分は行わない」という記載がされていることがあります。
 しかし、「再生」は最終処分です。「再生」の場合は「最終処分の場所の所在地」を書かないでよい、ということではありません。再生を行った処分業者(中間処理業の許可であっても)の場所を記載しなくてはなりません。
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