議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

建設工事、建設廃棄物の定義 続報

2012年08月22日 23時28分55秒 | コンサル日誌
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以前、こちらの記事で、建設廃棄物の定義について整理しました。


このときの結論としては、

廃棄物処理法の建設工事=建設業法の建設工事

ということでした。


このときは、環境省に電話で取材したのですが、日経エコロジー(※)にも
記事を書くということで、改めて環境省に訪問して取材をしたところ、まったく
別の話になっていましたので、ご報告します。

(※)日経エコロジー7月号です。
   過去半年で最も注目された記事だったそうですので、まだお読み
   でない方は、是非目を通してください。

訪問取材を申し込んだ際に、

「電話取材では不足だったということと思われるので、取材の趣旨を書面で
事前に送って欲しい」ということで、趣旨をまとめてメールで送っていました。

先ほど紹介した記事のとおり、どういう理由で解釈が変わったのかという
ことを確認したい、という内容だったのですが、これについて当日の説明では

「前回の説明は正確ではなく、本当は法改正前からある考え方と同じである」

という回答でした。

まとめると、法第21条の3で

建設工事=「土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を
      解体する工事を含む)」

としています。

施行通知でも

建設工事=「土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の
      全部又は一部の新築、改築、又は除去を含む概念であり、
      解体工事も含む」

ということです。

ポイントは、工作物の定義ですが、

工作物=「人為的な労作を加えることにより、通常、土地に固定して設置
     されたものをいう」

ということだそうです。

この工作物の定義は、今ネットでは取れないはずですが、
「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について 平成2年5月31日 衛産37」
という通知の「建設廃棄物処理ガイドライン」などに乗っています。
(上記の名称をネット検索しても、新しい通知しか出てこないはずです)


結局、建設業法の建設工事より、圧倒的に範囲が広いということです。

その場で例を挙げて確認したのですが、

・エアコンの設置工事で、壁に穴を開ける場合
 →工作物である家の一部の解体に当たるので、建設工事となる。

ということでした。


その他、私の考えでは、

・エコキュート(ヒートポンプ給湯機)、エネファーム(家庭用燃料電池)
 →特に戸建ての場合は、地面に設置するので、建設工事となる。

・自動販売機の設置、取り外し工事
 →工作物である自動販売機を、土地にしっかり固定するので、建設工事となる。

・ガス管の工事
 →ガス管という工作物を、土地に埋め込みますし、地面を掘り返すのですから
  建設工事でしょう。

・電柱の設置工事
 →文句なしに、建設工事です。

・家の庭の地面の舗装・タイル貼り、カーポート、自転車置き場などの屋根設置
 →当然、建設工事です。

・リフォーム工事(壁紙の張替え程度でも)
 →建築物である家の一部の解体に当たるので、建設工事となる。

・太陽電池パネルの屋根への設置
 →家は工作物ですが、太陽電池パネルの設置が家(工作物)の改築にあたるか
  どうかですが、床面積は変わらないですし、建設工事ではない、でいいのでは?

などなどです。これらの工事の元請さん、大変です。。。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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朝晩、ようやく涼しくなってきました。ヤレヤレです。

私の周囲には、冷房をつけたまま寝たために、くしゃみをしている人が何人か
いますが、皆さんは体調いかがでしょうか。


それにしても今回の件、訪問の事前メールでこれまでの説明の矛盾を指摘されて、
あわててもとの解釈に戻しただけなのではないかと、いぶかしんでいるのですが、
どう思われますか?
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ホルムアルデヒド問題検討会の中間取りまとめ

2012年08月17日 10時38分28秒 | ニュースクリッピング
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すみません、久々の更新です、最長記録かもしれません。

既に報道されているので、ご存知の方が多いかもしれませんが、8/9に検討会の第3回
が開催されました。

利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会(第3回)
 
ここで、中間取りまとめが審議されました。

中間取りまとめ 

とりあえずは水濁法の改正は当確のようです。

○今回の騒動の原因物質であるヘキサメチレンテトラミン(HMT)水質汚濁防止法の
 指定物質に追加・・・事故時の措置と報告が必要な物質となる

○あとは、HMTを廃棄物処理法の委託基準の中でどう扱うかが問題です。
 検討会の議論もありましたが、委員の先生などで今まさに検討中です。

でもですねぇ、WDSの内容の強化とか言ってますが、WDSが運用されていなければ
何の意味もないんですよね。だって、ちゃんと運用している人のほうが、圧倒的に
少ないんですから。つまり、委託基準を排出事業者にいかにして守らせる
のか、というところがポイントなのです。

申し訳ないですが、検討会の議論は机上の空論で、現場を知らない先生方だけで
行なわれた、ピントがずれたものになっていると思います。

例えば、第一回の議事録では、群馬県が
「HMTに対する法規制がなかったことが大きな原因である」
といっていますが、法規制があっても、守っていなければ話にならないわけです。

もちろん、現状では、守っていなかったとしても罰則をかけられないので、
戒めにならないのですが、罰則を受けなかったDOWAハイテックは、社会的罰はもう
受けているはずです。それで十分なのでは?

それより、第2回の配布資料の「委員意見概要と今後の基本的対応について 」で、

「今回の事案は、廃棄物として委託をした際に情報が伝えられていれば起こらなか
 った可能性がある。情報を受託者に伝える枠組みを作っていかないと、どこでも
 発生する可能性のある問題である。」

と埼玉県が言っています。

つまり、廃棄物情報を書面で伝える手続きが徹底されていれば、HMT含有が
伝わっていたはず、ということだと思います。
別に、WDSを強化しなくても、今のままでも十分かもしれません。

ただ、、、群馬県が言うには、

「DOWA ハイテックは危険性を認識しており、委託の際に明記され、処理業者に伝
 わっていれば防げた案件ではないか。」

だそうです。これ、確信犯だった、ということでしょうか。
確信犯は、法律や仕組みがあっても事前に予防できませんので、困ります。
ま、そのためのWDS強化なんでしょうけど。


★☆★☆堀口的解決策★☆★☆
これ、絶対効果あるはずです。

①WDSを雛形においてサブ的位置づけにする
 全産廃連の雛形では、「WDSのような感じのもので、あらかじめ書面で提供する」
 とされています。
 雛形なんか、読んでないですから、だからみんな、スルーしちゃうのです。
 しかも、あんな面倒な書式・・・
 そうではなくて、雛形に記載欄、というか表を作ってしまえばいいのです。
 こうすれば書く人が増えます。
 「書ききれない場合だけ、WDSを使う」とすれば、それで十分です。

②記載事項に「処分時に化学反応などにより起こりうる支障」を追加します。
 物質を指定したら、キリがないので、まずはこれです。
 契約書の空欄に、この欄があったら、書くでしょう。PRTRの項目と合わせるとか
 なんとか、難しい基準などなくても、十分ではないでしょうか。

③排出事業者への立入を増やして、刑事告発と行政処分を増発する。
 立入件数は減らしてでも、これをやるべきです。飲酒運転と同じで、意識が
 変わります。過料が出せれば、運用が軽いのでなおよいです。何ならネズミ捕り
 と一緒で、担当官の評価に入れたらいいのです(やりすぎか・・・)。

現場を知れば、解決策はシンプルになるはずです。
どうでしょうか??

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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更新をサボっている間に、大阪、福岡、札幌、3連チャンという研修ツアーを
やりました。
連日、おいしいお魚を頂きました。ご馳走様でした。

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