議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

脱炭素の次は?

2022年12月27日 23時02分09秒 | 持続可能社会
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サスティナビリティの世界では、今年は昨年に輪をかけてCO2削減がホットな
話題でしたね。
ところで、「脱炭素」とか「カーボンニュートラル」とか、当然のことのように
思われてますでしょうか?

10年前はまだ、「低炭素社会」って言っていたと思います。でも、本当のところ
当時でも「低炭素」では持続可能ではないと分かっていたはずです。

それでも、

「脱炭素?そりゃ、あり得ない」

と思ったからでしょう、「低炭素」を押し通そうとしていました。

では、現時点で、「そりゃ、あり得ない」と思われながらも、冷静に考えると
それしかない、と思われるコンセプトはないでしょうか?

私は、「脱成長」がその一つだと思います。

定常経済、とか、ゼロ成長とも言われていますね。
成長の限界、という有名な本もあるくらいですから、突飛なコンセプトではありません。

経済や売り上げの上昇を全否定する必要はないと思いますが、少なくともGDPを
国の政策の重要な指標から外す、みたいな話です。その代わり、国際合意に基づき、
気候変動、資源循環、生物多様性の状況を指標化して、そのパフォーマンスを
優先することになるかもしれません。

脱成長は、言い換えると資本主義の否定でもあると思います。でも、この程度の
大変革をしないと、持続可能な社会などできるはずもない、と思っている人は
沢山います。
ここでは別に紹介はしませんが、ネットの記事も、本も、実はいろいろ出ています。

では、国はどう言っているでしょうか?国にもいろいろありますが、環境省は
地域循環共生圏」を提唱していますよね。
ローカルSDGsなどとも言って、あたかも成長につながるように書いていますが、中身を見ると本当は、
経済成長を否定しているように見えてしまうのは、私だけでしょうか?
地域のビジネスがどんどん立ち上がるということは、人と人との関係を重視する仕事=労働集約型の
ビジネスが活発化するということとほとんど同義だと思います。そこに、大資本・大企業が参入して、
これまで通り、自動化を進めて効率を高めて、成長を目指すって、そんな話じゃないはずです。

もし、脱成長がトレンドになったら、企業は経営方針をどう立てるのでしょうか?
パイが変わらなくても、自社の事業は社会に貢献するので、売り上げは伸びるという
説明ができる会社もあるでしょう。
一方で、現状維持で十分ハッピーな会社も、均衡縮小でも、何も問題なし、という会社も沢山
出てくるでしょう。

無理に成長をするために、従業員を「定額働かせ放題」ですり減らしていくしかない、という会社(社会)より
よほどよいかもしれません。

皆さんの勤務先は、どうなりそうですか?
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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最近の物価高の要因は、結局はすべて輸入品の高騰から来ています。
グローバル経済に翻弄されている、といったところでしょうか。

その一方で、地産地消の経済は安定していると思いますので、安心です。
米も野菜も安いですしね。

新型コロナも戦争も、痛みは伴いますが、長期的に見たら人類にとってよい影響を
もたらすことになるような気がします。

来年は良い年になりますように。それでは皆様、良いお年を。
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2022年頭にあたり

2022年01月04日 23時38分32秒 | 持続可能社会
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皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

2022年の最重要イベントは、4月のプラスチック資源循環促進法の施行
と言ってよいでしょう。
これをきっかけに、日本の資源循環が新しいステージに入るのではないかと
思って(期待して)おります。

何を大げさな、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
業界に大きな影響を与え得るのは、ここへきてサーマルリサイクルが
事実上この法律の目的から外され、マテリアルリサイクルより明らかに優先度が
低くなったという点です。

(第1条:目的より抜粋)
 「・・・プラスチック使用製品の廃棄物の~中略〜再資源化*を促進する・・・」
       *:再資源化には熱回収は含まれません(第2条第5項、6項より)

促進法ですし、直罰のある規定ではありませんので、誰も真面目に取り合わなければ
それまでなのですが、カーボンニュートラルの流れを追い風に、
何とかしてマテリアルリサイクルを進めようという動きが出てきているように
感じます。

私は、この法律の施行に合わせるようにして開業する、プラスチックの
マテリアルリサイクル工場の支援をしているのですが、そのような中で
各方面からのお問合せが来ています。

それも、新法にある通りライフサイクル全体、すなわち
 ①マテリアルリサイクルしやすい製品設計
 ②排出事業者としてサーマルリサイクルをマテリアルリサイクルにするための方法
 ③消費者から回収した自社製品のマテリアルリサイクルの方法
 ④バージン材からリサイクル材への切り替え方法
のように、プラスチックリサイクルに関係する各段階からのご相談です。

今後、この風がどうなるかによっては、リサイクル施設のスクラップアンドビルドや
再編が加速することになるでしょう。特に注目したいのは、④が進んでいくことで、
リサイクル業者を調達先として監査することが多くなり、そこでも淘汰が進む
可能性があるという点です。しばらくの間は調達する側もされる側も、暗中模索が続く
かもしれません。

ということでこの一年は、コロナ禍中にありながらも、どの程度まで風が強くなり、
①〜④を進展させ、どのような連携が進み業界地図が変わっていくのか、
(私は業界の渦中に身を置いて、風よ強くなれと団扇をあおぐ立場なのですが)
できる限り一歩引いた眼で見ていきたいと思います。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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プラスチック新法が、サーマルリサイクル、サーマルリカバリーを否定している
ととらえる向きもありますが、必ずしもそうではないと思っています。
「サーマルでもリサイクルなんだからいいじゃないか」と安易に流れていた
風潮にくぎを刺しているだけです。いや実際、サーマルリサイクルって、
結構簡単じゃありませんでしたか?
それに対し、少々手間でもマテリアルリサイクルをしようではないか、
どうしても難しい場合はサーマルリカバリーをしよう、という当然のことを
言っているだけなのです。

これまでのままでいると、いつしか外圧によりマテリアルリサイクル率の義務化
の動きに巻き込まれ、いつものように対応が後手後手になってしまいます。
そうなる前に無理のない、自主的な取組でレベルを上げていくべきでしょう。

この数年は、腰を据えてマテリアルリサイクルに注力していきましょう。
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いよいよサーマルリサイクルはリサイクルではなくなる?

2021年02月01日 13時39分05秒 | 持続可能社会
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皆様こんにちは。

すでに一部で報道されていますが、今国会に新法が提出される
そうです。
小泉大臣の1/29の会見で明言されていました。
小泉環境大臣会見(令和3年1月29日)

基本的には、取りまとめられた
「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」
に基づいての話です。

個人的に注目しているのは、

■企業側に、プラスチック廃棄物のリデュースや設計/素材変更の指針が出される
→単一素材化など、いわゆるDfEの具体的な考え方が示される?

■容器包装リサイクルのルートに、容器包装だけでなく製品のプラスチックが追加
→容リ事業者の仕事が増加+自宅の分別ルールが変化

■メーカーなどが使用済みプラスチック製品の回収をしやすくする
→これまで「一般廃棄物の無許可収集運搬では?」といったグレーゾーンが解消
 される法改正へ?

■排出事業者による廃プラの3Rのための措置が示される
→食品リサイクル法、温対法のように、プラのリサイクルの取り組みも具体的に促す?

■廃プラの高度リサイクルがしやすくなる
→排出事業者とリサイクル業者が連携したら何らかの特例を認める?

そして、この会見で、改めて環境省として
■サーマルリサイクルは、国際的にはリサイクルではない
→「リサイクル」と言わずに「リカバリー」と正確に表現している
と言っていました。

小泉環境大臣会見(令和3年1月29日)
10分20秒あたりから

今後、自社のリサイクルを語るときに、サーマルリサイクルをどう表現するのか
考えなければなりません。
もちろん、サーマルで満足せずに、これまで以上にマテリアルリサイクルを
推進していかなければなりません。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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転職後第一弾の更新として、このネタを取り上げないわけには行きません。

これから立ち上げる新工場では、プラスチックのマテリアルリサイクルを行います。
今回のテーマは手前味噌というか、世の中のニーズにそった仕事を選びました、
と言ったほうが良いでしょうか。

法改正も追い風に、日本のマテリアルリサイクルを推進していきたいと思います。
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雑品スクラップの範囲について検討中!!

2017年09月07日 12時41分28秒 | 持続可能社会
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「有害使用済機器の保管等に関する技術的検討会(第1回)」を
傍聴してきました。

有害使用済機器とは、6月に国会を通過した廃棄物処理法改正で、
いわゆる雑品スクラップをイメージして法律用語として作られた
言葉です。
この会は、これの規制の詳細を決める検討会です。

当日の配布資料はこちらにあります。


この検討会での検討事項は、大きく分けて4つあります。

(1)雑品の保管、処分の実態調査(自治体アンケート、ヤード立入)、
(2)範囲、定義づけ、
(3)保管、処分基準、
(4)届出制度と適用除外業者

(1)の実態調査は、既に自治体へのアンケートは始まっているそうです。
近く、輸出ヤードだけでなく内陸のヤードに立ち入りもするらしいです。
とはいえ、年内までにあと2回検討会をやって決めるというスケジュールですし、
既にある程度の調査はされているので、行ったとしても5~6件くらいだろう、
ということです。

(2)範囲については、家電4品目と小電を対象にする方法が例として
出されていました。ところが、委員の方からそれに絞るべきではないという
意見がたくさん出されました。今回の検討会の最大のポイントかもしれません。

リチウムイオン電池も、石油ストーブや農機具も(燃料使用)、
家電4品目にない業務用も(特にフロン関係)、ということで、
たぶん全員が範囲を広げるようにとの意見でした。

あれだけ言われれば、範囲は広がるでしょう。あまり広がらなかったとしても、
排出事業者としては注意を払う売却物の範囲は広めに見ておくべきでしょう。


(3)の保管、処分基準は、廃棄物処理法、家電、小電リサイクル法などを
参考にしていきましょう、という話しでした。妥当なところでしょう。
とはいえ、保管基準などは上乗せされる可能性もあると思います。


(4)については、次回以降の検討となりました。
アンケートや立入の結果を踏まえることになります。


それと、今日開催される
特定有害廃棄物等の範囲、再生利用等事業者等の認定制度等に関する検討会(第1回)
の資料がアップされました。私はこれに参加できませんので、とりあえず資料を
見るしかないので、お知らせまで。

要は、輸出入の話です。

何といっても、これがポイントだと思います。

「不適正輸出を防ぐ観点において、取締りの現場での迅速な
規制対象物の認定を実現することは不可欠であり、特に、
雑品スクラップのように、規制対象になりうる物
(例:廃電子基板、廃電池等)と規制対象外の物
(例:鉄スクラップ、プラスチック片)との混合物
については、該当性の判断基準が不明確であるとの
指摘があることから、現場において、混合物を含め
客観的かつ短時間で規制対象物に係る該非判断が
行えるよう、特定有害廃棄物等の範囲の明確化と分かりやす
い該非判断基準の整備を行うべき」

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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電子マニフェストの水銀のコードが公表されました。
http://www.jwnet.or.jp/jwnet/members/manual/data.html

水銀廃棄物規制は10月1日に完全施行です。
紙マニフェストへの具体的な書き方はまだわかりません。
全国産業廃棄物連合会がそれまでに記載例を出してくれればいいのですが、
出たらお知らせします。

東京都など自治体によっては、10月1日には許可証変更してくれるところも
あります。
蛍光灯を処理委託している場合は、処理業者さんに手続きをしているか聞いて
みてもよいかもしれません。

もし許可証が変わっていなくても、これまで通り委託を継続することはできます。
この辺りの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
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除染土壌を建材に再利用の件からオーフス条約まで

2015年12月25日 20時10分05秒 | 持続可能社会
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突然ですが、除染土壌の話です。

除染土壌は、各県で確保した中間貯蔵施設で保管することになっています。
そして、中間貯蔵開始から30年以内に、別の場所で最終処分することに
なります。

ただ、ご存知のように、中間貯蔵施設は福島県の大熊町と双葉町で
合意が取れている以外、他の県では話がまとまっていません。
そのため、仮置き場に積まれたままという状態で、袋が破れたりして
問題となっています。

そこで、除染土壌から、放射性物質を除去し、建材として再利用しよう
という案があります。路盤材とかの類に使うのでしょう。

除染で出た土を建設資材に 環境省がモデル事業

基本、いいんじゃないかと思います。
ちゃんと放射性物質を除去するという前提ですが。

除去するとなるとエネルギーもコストもかかる話なので、中間貯蔵施設に
置いて線量が下がるのを待つのが合理的ではありますが、場所が確保
できないのですから、次善の策でしょう。仕方ありません。

ところが、「大丈夫なのか?」という声が多いようです。

これまた、気持ちは分かります。再利用てことは、身近な生活圏
にばらまかれるのではないかという懸念もあることでしょう。

ものの見事に、環境省が悪者になっているようですが。。。


■いくらなんでも、環境省がかわいそう
環境省に入省された方は、環境によい政策に携わりたいと思っていた
はずですが、なぜか原発事故後には、経産省がやってきた原発政策の
後始末を押し付けられ、バッシングを受けています。
本当は、温暖化対策とか、生物多様性とか、リサイクル推進とかを
やりたかっただろうに、モチベーション下がるのではないかと、心配です。

みなさん大人なので、これも環境を守るために必要な仕事として割り切って
いらっしゃるのでしょうけど。

いや、確かに必要な仕事です。ガンバレー。


■対話と信頼
ポイントは、関係者との対話をしっかりとやる、ということでしょう。
環境省の最終処分までのフロー図でも、「国民の理解を醸成する」と
書いてあります。

小泉元首相が見に行ったフィンランドの最終処分場のルポでも、
「プラグマティズム(実用/実利主義)」と「信頼」がポイントだと
説明しています。


とういことは、やっぱり、、、前途多難ですね。

環境省が、というより、日本政府が国民との対話と信頼醸成をするために
ヒトモノカネ&ジカンを割いているとはとても感じられません。

とりあえずは、オーフス条約の批准くらいはしないと、話にならない
ような気がします。


■オーフス条約の正式名称
環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参加、
 司法へのアクセスに関する条約


市民による環境政策への関与を進める、これぞ、民主主義です。
こういった、地道な活動、対話から政府への信頼ができるものと思います。

環境省さん、こっちもやりませんか。お忙しいとは思いますが。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今年は、セミナーが79本ありました。昨年の100回に比べると2割減です。
昨年は、販促セミナーや一部のクライアントさんの件数が多かったので
これくらいだと無理がなくてありがたいです。

そのかわり、というではありませんが、今年は日経エコロジーと
環境新聞の連載再開がありました。いずれも月1の連載です。

それにしても、今年はSDGsやらパリ協定やらで国際的な動きが活発
でしたが、来年はどう動くのでしょう。これらを受けての国内の動きも
気になります。

ということで、今年はこれで最後の議論de廃棄物としたいと思います。
皆様、メリークリスマス&どうぞよいお年を。
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書籍のご紹介

2013年03月08日 09時13分01秒 | 持続可能社会
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今回は、私の勤務先で出すことになった電子書籍を2冊ご紹介します。


■未来をつなぐ人間物語

実は、プロのライターでありながら、地域の活性化や生物多様性の支援をしてきた
方が社内にいまして、その人が書いた南三陸のルポです。
津波から命からがら逃れた方の話、高台移転の問題、復興への取り組みと
そこで織り成される人間ドラマ、などなど届けてくれています。なかなかの迫力、
読み応えがあります。

さらに、単なる南三陸の復興の取材だけでなく、そもそも我々の社会を行政組織
により管理するという方法そのものに限界があるのではないかという疑問を
投げかけています。
そして、その代わりにどんな方法があるのかということを、実際に試行錯誤して
いるアミタの取組みを紹介しています。南三陸の住民の方と一緒に、ゼロから町を
作る。これがまた、パっと見、儲かりそうにないんです(笑)


少し話題は変わりますが、

環境問題に取り組むということは、この社会のあり方を根本から変えるという
ことでもあり、それはおそらく社会保障・教育・そして人間の幸せの問題にも
関係することと思っています。

私がこの会社に入社した理由には、会社の事業内容だけでなく現会長(当時社長)
の熊野の話を聞いたことも挙げられます。当時は、環境問題を全面に打ち出して
いましたが、徐々に地域社会・農林水産業の活性化支援のように、社会問題への
幅広いアプローチをするようになっていきました。

いま、南三陸でやろうとしていることは、株式を上場している会社としては
ぶっ飛んでいます。オーナー企業の社長の趣味ではなく、株式市場からの支持を
得つつ、未来はどうあるべきなのかを、実地で試行錯誤しているのです。大企業の
メセナ活動ではなく、事業に育てていくつもりでやっています。もちろん、
ほんとにそんなにうまく行くのか、全く分かりません。

読み物としても面白いですが、それよりアミタって、有り得ない会社です。
こんな会社に勤めていることを、改めて誇りに思いました。


■「思考するカンパニー」(増補版)
こちらは、その会長が以前書いた本の増補版です。

これからの社会がどうあるべきかを綴っています。真新しい話ではありませんが、
何を考えて活動しているのかがお分かりいただけると思います。ちょっと難解な
部分もありますが。
そして重要なことは、評論家が単に語っているのとは違い、上記のように実際に
南三陸で事業として試行錯誤しているということです。

まぁ、とんでもない人です。


●いずれも無料でお読みいただけます。

お申込はこちらから。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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4月1日から、沖縄の那覇市が中核市入りです。地元でも知らない人が
多いようですが。
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-14_45281

ということで、産業廃棄物の管轄自治体が111から112自治体に。

また、中核市の要件が人口30万人だったところ、20万人に緩和する
可能性があります。要は、20万人が要件の特例市と一緒にしてしまう
ということですが、特例市は現在40市あります。

全部移行すると、151自治体になります。単なる収集運搬は47都道府県
でこれまで通りで、数が増えても事業者としての手間は代わりませんが、
感覚的には、人口20万都市に産業廃棄物の処分業や処理施設の審査を
させるのは間違っていると思います。

あらためて、制度改革が必要になるのではないでしょうか。
収集運搬業は全国で一本化、処分業、積替え保管は都道府県単位で
やりましょう!!
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廃棄物問題と温暖化問題

2008年08月07日 05時48分38秒 | 持続可能社会
 廃棄物問題と温暖化問題の違いはどこにあるでしょうか。例えば、ということで以下のような比較をしてみました。表のタグを使えればよいのですが、、、みにくくてすみません。


         廃棄物の不法投棄問題      地球温暖化問題

原因発生から結果     短い                 長い
までのタイムラグ

原因者と      少対少(密接)            多対多(疎遠)
被害者の関係

違反時の罰則       重い              軽い

現在の       かなり昔から発生中          発生が始まったと思われる
被害発生状況

被害のエリア        地域集中           地球規模

原因と結果の関係     明確             不明確

社会的注目度                       

 
 温暖化問題がいよいよ抜き差しならない状況になればこの順序は変わるかもしれませんが、、、そうなる前に対策を打たなければなりませんね。なお、「廃棄物問題の社会的注目度は小ではない」等々と思われるかもしれませんが、廃棄物と温暖化の間の相対評価ですので、そこはご了承ください。

■廃棄物問題はやはり重要
 上記を総合すると、現状、企業にとって廃棄物問題の方が温暖化問題より重大なテーマだと思います。特に何かあったときの自社への責任追及の厳しさを考えると、そう考えざるを得ません。そして、実際の取組みの進み具合もそうなっていると思います。少なくとも、私の考える廃棄物対策の「理想と現実のギャップ」のほうが、温暖化対策の「理想と現実のギャップ」より小さいと思います。例えば、サプライチェーンの上流、下流に対しての関与の仕方に差があります。

■廃棄物の担当者に期待される、もうひとつの役割
 であれば、廃棄物問題にまともに対処できない企業が、温暖化問題なんかに取り組めるはずもないと思います。実はこのことは、多くのCSRの課題についていえると思います。廃棄物はCSRのテーマの中ではかなり優先度は高いと思います。
 そう考えると、廃棄物に取組む者のより大きな役割は、経営問題として説明しやすい廃棄物問題から入って、他の問題についても経営者に考えをめぐらせていただく「きっかけ作り」にあるのではないかと思っています。どう思われますか??

 いずれにせよ、そう考えると、今の私は力不足ですが・・・
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環境部解体論の目次

2008年08月06日 04時53分55秒 | 持続可能社会
 以前、環境部解体論について6回記事にしましたので、目次を作ってみました。ご参考ください。もともとの記事にはないサブタイトルもつけてみました。


環境部解体論_1

 環境部なんてなくてもよいのではないか!!?

環境部解体論_2
 見せかけだけなら、解体してしまおう。
 
環境部解体論_3
 環境部に押し付けてはダメ

環境部解体論_4
 実は、他の部門の仕事の環境部分の寄せ集めではないのか?

環境部解体論_5
 環境部はデータ集計係??

環境部解体論_6
 まとめ。環境経営は経営企画が担当なのでは?

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収集運搬費用の値上げが真っ盛り

2008年07月24日 05時48分45秒 | 持続可能社会
 当然の流れではありますが、産業廃棄物の収集運搬費用の値上げがあちこちで行われています。値上げを飲まないのであれば、運ばないよ、という強気?の姿勢も少なくないようです。なにせ産業廃棄物なんぞはマニフェストなんて厄介なものはあるし、一廃と兼業しているところにとっては、やはりうまみがないのでしょう。

 なかには燃料サーチャージの提案をしてきているところもあるそうです。すごいですねぇ。同じことは動脈の世界でもあるのだと思いますが、同程度なのでしょうか。静脈のほうが参入障壁が高いため売り手市場になりがち、という話も聞いたことがありますが。

燃料サーチャージ
→ガソリン代の価格変動分を、運賃本体とは別建てで利用者(荷主)に負担してもらうというものです(という理解ですが、もし違っていたらご指摘ください)。航空会社が国際便でこの制度を導入しているというのが有名でしょう。

 国土交通省の燃料サーチャージ関連HP
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コーラを飲みました

2008年06月23日 05時41分39秒 | 持続可能社会
小さな商店で、ビン入りのコーラを飲みました。

90円のうち、10円がビンのデポジットでしたので、その場で飲んで返金してもらいました。

私自身は、子どもの頃ほとんどビンのコーラを飲んでいなかったのですが、懐かしい感じがしました。親父さんから手渡しで10円もらった、というそのこと自体から懐かしさを覚えたのかもしれません。いわゆるスローライフってやつでしょうか。

20年後には、またこれが復活しているのでしょうか。いやいや、ビンのデポジットは自動回収機から返金されるのかもしれません。もしかすると、ビンではなくPETボトルのリユースをやっているかもしれません。

いずれにせよ、容器の原料、製造プロセス、小売店までの輸送に化石燃料を使う今の方法は、そのまま続けることはできないはずです。

これから本当にどうなるのか、ちょっと考えさせられる経験でした。
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