議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

省令(施行規則)が出ました

2011年01月31日 23時14分53秒 | ニュースクリッピング
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2010年廃棄物処理法改正の省令(施行規則)がようやく出ました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13415

施行通知はもう少し先ということで、そっちのほうが気になるの
ですが。。。

建設廃棄物の下請け運搬のところですが、相当要件が緩和され
ました。対象が、維持修繕工事から、解体、新築、増築を除く
建設工事全般に広がりました。つまり、ちょっとした工事は
全部対象と言っていいでしょう。私がパブコメで文句言っていた
地デジアンテナ、断熱窓への交換で排出されるモノは持ち帰れます。

多少工夫がいりますが、これならこの法律、なんとか守れそうです。
ヤレヤレ。

■一応、下請けの自ら運搬の規定を引用します。
新旧対象のp.188にあります。


******************
一次のいずれかに該当する建設工事に伴い生ずる廃棄物(特別管
 理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物を除く。次号において同じ
 。)であるもの
イ建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築
 物等に係る新築又は増築の工事を除く。)であつて、その請負
 代金の額が五百万円以下であるもの
ロ引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事であつて
 、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請
 負代金相当額が五百万円以下であるもの
二次のように運搬される廃棄物であるもの
イ一回当たりに運搬される量が一立方メートル以下であること
 が明らかとなるよう区分して運搬されるもの
ロ当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は当
 該都道府県に隣接する都道府県の区域内に存する施設(積替え
 又は保管の場所を含み、元請業者(法第二十一条の三第一項に
 規定する元請業者をいう。)が所有権を有するもの(所有権を
 有しない場合には、当該施設を使用する権原を有するもの)に
 限る。)に運搬されるもの
ハ当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないもの
******************

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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まだ公式発表していませんが、ひな祭りの日に廃棄物処理法改正に
ついてのセミナーを開催します。午前、午後のダブルヘッダーです。

比較的少人数(いつものアミタのセミナールーム)で質疑応答の
時間をたっぷり取る予定です。エコプロのセミナーでは、質疑応答
の時間が少なかったので、できるだけ消化不良にならないように
するつもりです。

なにせ新しい内容が多いので、私も読み落としや誤解をしているかも
しれません。じっくり皆さんと考えたいと思います。
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法改正と建設廃棄物の管理について

2011年01月31日 15時20分34秒 | コンサル日誌
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建設廃棄物については、すでに多くの企業から相談をいただいております。
特に、建設業を本業とされている企業より、本業に関係して片手間(?)で
建設業も行っている場合や、下請けになっている場合は、悩みが大きい
ようです。

片手間で建設業をやっている場合は、形だけ元請ですので、下請けが
排出事業者だったことが少なくありません。この場合、これまでやって
いなかった契約やマニフェスト管理業務を自らしなければならなくなり
ます。
下請けの場合は、取引先の元請がどう動くかわからないので、これも困って
いるようです。慌てて収集運搬業の許可を申請しているところもあります。

いずれにせよ、元請になっている場合に検討・注意しなければならない
テーマは、以下のように沢山あります。

○建設工事の定義(範囲)
 自社がかかわっている工事・作業が、建設工事に該当するかどうかを
判断しなければなりません。工事・作業を分類し、自社の解釈を整理しないと
いけません。これにより、排出事業者が誰になるかが変わります。

○下請負人の自社運搬
 これができるのは、省令によると
建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築物等に係る新築又は増築の工事を除く。)
であることが条件ですが(パブコメ時の内容と異なります)、
大規模なリフォームはこれに含まれるのかどうかなど、自社の工事に当てはめて
解釈する必要があります。
 その上で、下請負人に自社運搬させるのか、という判断をしなければ
なりません。法の要求どおりに運用することが現実的かどうか、それとも
下請けに許可を取ってもらうべきか、悩みどころです。
もしかしたら、元請だった会社を単なる仲介業者という位置づけにして、
下請けだった会社に元請になってもらう、なんてことも考えることに
なるかもしれません。。

○元請の契約、マニフェスト管理
 下請負人に収集運搬業の許可を取ってもらうか、別途収集運搬業者を
手配するか、いずれにせよ契約、マニフェストを自社が管理することに
なります。これまでやっていなかった場合は、廃棄物処理法に関する
基本的な勉強からはじめなければなりません。
 その上で、契約書を現場ごとにつくるのか、本社で一括してするのか、
マニフェストは誰が交付するのか、電子マニフェストに移行するのか
という実務上の課題に対処して、業務の合理化・軽減を図ることに
なるでしょう。

そうそう、収集運搬業の許可制度も変わりますので、許可証管理にも
気を配らなければなりません。

○自社処理帳簿をつけなければならない場合はないか、現場の作業
状況を確認しなければなりません。保管場所の届出に該当することは
少ないと思いますが、念のため関係者に周知すべきでしょう。

・・・書くだけでも、大変です。なるほど、相談がたくさん来るわけです。

クライアントから「赤信号、みんなで渡っていたつもりが、つかまったのは
自分のところだけ」といった話(愚痴?)をよく聞きます。自社のブランド
を大切にされている会社は、ぜひ気をつけてください。

☆2010年の廃棄物処理法改正に関係する資料は、以下をご覧ください。
 私の勤務先のグループのサイトです。
 http://www.amita-oshiete.jp/qa/entry/000967.php

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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おかげさまで、直近のセミナーが2本とも満員御礼になりました。
すでに何名かお断りする事態に・・・。今年は廃棄物処理法への
注目度は本当に高そうです。

http://www.amita-oshiete.jp/seminar/entry/000425.php
http://www.amita-oshiete.jp/seminar/entry/000426.php
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自治体が出しているモデル契約書の法令違反

2011年01月19日 00時08分23秒 | コンサル日誌
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T都がインターネットで公開しているモデル契約書では、契約の解除に
ついて以下のような表現となっています。

*******************
(契約の解除)
第14条 
~第1項省略~

2 前項の規定によりこの契約を解除するにあたって、この契約に基づき
甲から引渡しを受けた廃棄物の処理を乙が完了していないときは、
当該廃棄物を甲乙双方の責任で処理した後でなければこの契約は解除
できない。

~以下省略~
*******************

この条文には問題が2点あります。

【問題点1】
廃棄物処理法に違反していると思われます。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2では「委託契約を解除した場合の処理
されない産業廃棄物の取扱いに関する事項」を契約書に記載しなければ
ならないとされています。しかし、上記表現ではこの記載をしているとは
言えません。

【問題点2】
業者が違反しても、問題を起こしても、すぐに契約解除できない。

例えば、改正法施行後、処理困難通知を受け取ったら、皆さんはどう
されますか?現場の確認、行政に相談、排出部門への通知、構内の
保管場所の確保、他の処理業者に受け入れ可能か相談、などの対処が
考えられます。そして、その処理業者との契約の解除をすることも
あるでしょう。

しかし、上記のような契約を締結していると、未処理の産業廃棄物を
引き上げるまでは契約を解除できないことになります。解除できない
のであれば、契約どおりの数量を処理委託しなければなりません。
もし契約書に100t/月と記載してであれば、未処理の産業廃棄物は
減るどころかどんどん積みあがっていき、契約解除はますますできなく
なるという悪循環に陥り、、、、なんてことにはならないでしょうが、
何かおかしくないですか?
4月以降の話になりますが、処理困難通知を受けたら委託をストップし、
産業廃棄物を引き上げるなどの措置を実施した後に、ようやく契約解除
のような事務処理をすることが多いのでしょう。でも繰り返しますが、
「なんてひどい業者だ、即刻契約解除だぁっ!!」ができないなんて、
やっぱり変です。

契約の解除をするとは、今後は委託しないということです。過去に委託して
しまったことについては影響しないのですから、契約解除のタイミングと
未処理産業廃棄物の扱いは、別で考えるべきです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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実は今回のネタ、過去に扱っています。こんなことに何度も触れたくは
ないのですが、法遵守を指導すべき自治体が出している雛形を用いると
法令違反になるわけですから、何とかしてほしいと思い、再度取り上げ
ました。
T都内でなくても、いろいろなところで見かけます。ぜひ見直してみて
ください。
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契約書の法定記載事項の追加

2011年01月11日 06時56分13秒 | ニュースクリッピング
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新年明けましておめでとうございます。

今年は月イチの連載をもう1本増やすなどして、またしても自分の首を絞める
ことになりそうですが、議論de廃棄物もマイペースかつタイムリーにお届け
してまいりますので、宜しくお願いします。

さて、早速ですが今回の法改正で契約書の法定記載事項が追加になる
というお知らせです。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案新旧対照条文

この資料の6ページをご覧ください。以下のように追加されています。

*************
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産
業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入され
た廃棄物であるときは、その旨
*************

2006年にも「~その旨」という記載事項が追加になりました。
そのときの記事にもありますが、ない場合は何も書かなくて良い、という
ことです。つまり、廃棄物を輸入して処理委託するのでない限りは、なにも
触れる必要はないのです。
2006年の記事

ということは、廃棄物を輸入するなんてのは、アミタなど一部の特殊な会社
だけでしょうから、ほとんどの会社には関係ありません。

「だったら、わざわざ取り上げるな!!」というご指摘を受けそうですが、
あえて取上げています。

なぜなら、ある審査会社が2006年の改正を受けて「含有マーク」と「石綿
含有産業廃棄物」についての記述がない契約書を不適合としているそう
なので、ここで「そんなのは必要ない」ことを念押ししたかったのです。

しかもその審査会社は、「あらかじめ~提供するものとする」としている
雛形の文言自体を問題にはしていないようです。(これのどこが問題かに
ついては、少し古いですが関連記事をご覧ください。)

つまり、この審査会社は法令違反でないことを指摘しておいて、法令違反
については指摘していない、ということです。それを受けてまじめに対応
している会社がかわいそうです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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ある県で、種類、数量、料金を契約書の本文?に記載しなければならない
と指導しているそうです。どうやら、別紙の形で袋とじで綴じこんでい
ても駄目だそうです。

もちろん、契約を書面ですることが法律の要請ですので、法律上は
別紙でもなんでも構わないのです。なぜそんな指導をしているのかは確認
してませんが、明らかに法令の根拠がありませんので、従う義務はまったく
ありません。

これにより、契約書関連の業務が煩雑になっている会社があるそうです。
せめて指導をする際には「法律上の義務ではありませんが、○○という
理由で推奨しています」と説明して欲しいものです。

●ということで、結論。審査で指摘、行政で指導を受けた場合は、必ず
条文を確認しましょう。
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