東京に帰ってきたな~と実感するのは、地下鉄に乗った時。
「次は~ 都庁前~ 都庁前~ 車両とホームの間が広く開いているところがございます。お足もとご注意ください~!」
なんていうアナウンスを聞いてると、思わずくすくす。
だってロンドンでは
・・・「Mind the Gap」
・・・・この簡潔な一言だけでしたから。
必要にして十分な一言がちょっとなつかしいです。
さて、ロンドンでは結構忙しくて、映画もいつもなら4~5本は見るのに、今回は一本だけ。
(ホビットは見なくて、見たのはインターステラーだけです。よかったです。theory of relativityなんて単語には悩まされましたが・・・・)
でも本はまたどっさり持っていきました。
今回はシャーロック・ホームズのパステーシュものを何冊か選びました。
その中の一冊がこちら。
漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)
大分前に書かれた作品なので、もう読まれた方も多いと思いますが、夏目漱石が留学中にシャーロックホームズに出合い・・・・という話が、夏目漱石の文体とワトソンの文体で交互に書かれる、という、それを聞いただけで読みたくなるような小説なんです。
パステーシュものというと、同人誌みたいなアマチュアっぽい文体でうんざりしちゃうものも多いのですが、そこはさすが御手洗潔を書いた島田荘司ですもの、読ませます!
漱石は明治33年10月28日からロンドンに2年間住んだのですが、到着した日から寒くて暗くて心細い。
『晩秋の北国のことであるから、すでに陽はとっぷりと暮れ、まるで街じゅうが夜会の最中でもあるかのごとくシルクハットの男たちが往きかい、車輪の音も高く二輪辻馬車が行く。』
(ああ~~わかる~~)
なかで、周りの人がみな背が高く、『自分の背が畸型のごとく低いということ』にコンプレックスを抱く漱石に、初めて会ったホームズはその辺をつつくジョークを言ってしまいます。
かなりプライドを傷つけられた漱石。
それからは漱石のホームズに対する敵意が文のなかに満ち溢れ、漱石風にひどくパロディ化されたホームズ像が展開し、ほんとに爆笑してしまいます。
この辺のコミカルな展開は、御手洗潔ファンで、石岡と御手洗コンビのやり取りが好きな人なら、きっと気に入るはず。
ある夫人が行方不明の弟を探し出したら、弟は「中国の呪い」に取りつかれていて、全身が一晩で乾燥してミイラになってしまった・・・・
という何とも奇怪な事件全体の謎解きも見事なんですが、同じ事件の経緯に対して、ホームズへの怒りでバイアスがかかってる漱石の書くことと、ワトソンの書くことの相違がおかしくて、思わず吹き出してしまいます。
漱石の作品やホームズ物へのオマージュにもあふれていて、両方の作者のファンもかなり面白がれると思います。
そして最後にホームズが漱石に贈るもの。
何とも言えなく洒落ていて、ちょっとほろりとしてしまいました。
作品の中で「猫」が大切な役割なのも、猫好きなわたくしとしては大満足。
さて、今回これを読んでいた時、下の記事でも書いた「ランガム・ホテル・ロンドン」に泊まっていたのですが、作中に
『ランガム・ホテルの便せんの切れ端に書かれた不思議な文字』
が謎解きの手がかりとして出てきたときはちょっとうれしかったです。
そんな昔からある、歴史あるホテルなんですね♪
それと作中に何回か出てくる、『ベイカー街という処は、余程変人が集まる街とみえる』P268という言葉。
作中に出てくる「シェイクスピア学者のクレイグ教授」やホームズたちの変人ぶりがおかしく・・・
今やベイカー街の住人となった家族Bの未来やいかに? と思いをはせるのもまた楽し、でございました。
「次は~ 都庁前~ 都庁前~ 車両とホームの間が広く開いているところがございます。お足もとご注意ください~!」
なんていうアナウンスを聞いてると、思わずくすくす。
だってロンドンでは
・・・「Mind the Gap」
・・・・この簡潔な一言だけでしたから。
必要にして十分な一言がちょっとなつかしいです。
さて、ロンドンでは結構忙しくて、映画もいつもなら4~5本は見るのに、今回は一本だけ。
(ホビットは見なくて、見たのはインターステラーだけです。よかったです。theory of relativityなんて単語には悩まされましたが・・・・)
でも本はまたどっさり持っていきました。
今回はシャーロック・ホームズのパステーシュものを何冊か選びました。
その中の一冊がこちら。
漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)
大分前に書かれた作品なので、もう読まれた方も多いと思いますが、夏目漱石が留学中にシャーロックホームズに出合い・・・・という話が、夏目漱石の文体とワトソンの文体で交互に書かれる、という、それを聞いただけで読みたくなるような小説なんです。
パステーシュものというと、同人誌みたいなアマチュアっぽい文体でうんざりしちゃうものも多いのですが、そこはさすが御手洗潔を書いた島田荘司ですもの、読ませます!
漱石は明治33年10月28日からロンドンに2年間住んだのですが、到着した日から寒くて暗くて心細い。
『晩秋の北国のことであるから、すでに陽はとっぷりと暮れ、まるで街じゅうが夜会の最中でもあるかのごとくシルクハットの男たちが往きかい、車輪の音も高く二輪辻馬車が行く。』
(ああ~~わかる~~)
なかで、周りの人がみな背が高く、『自分の背が畸型のごとく低いということ』にコンプレックスを抱く漱石に、初めて会ったホームズはその辺をつつくジョークを言ってしまいます。
かなりプライドを傷つけられた漱石。
それからは漱石のホームズに対する敵意が文のなかに満ち溢れ、漱石風にひどくパロディ化されたホームズ像が展開し、ほんとに爆笑してしまいます。
この辺のコミカルな展開は、御手洗潔ファンで、石岡と御手洗コンビのやり取りが好きな人なら、きっと気に入るはず。
ある夫人が行方不明の弟を探し出したら、弟は「中国の呪い」に取りつかれていて、全身が一晩で乾燥してミイラになってしまった・・・・
という何とも奇怪な事件全体の謎解きも見事なんですが、同じ事件の経緯に対して、ホームズへの怒りでバイアスがかかってる漱石の書くことと、ワトソンの書くことの相違がおかしくて、思わず吹き出してしまいます。
漱石の作品やホームズ物へのオマージュにもあふれていて、両方の作者のファンもかなり面白がれると思います。
そして最後にホームズが漱石に贈るもの。
何とも言えなく洒落ていて、ちょっとほろりとしてしまいました。
作品の中で「猫」が大切な役割なのも、猫好きなわたくしとしては大満足。
さて、今回これを読んでいた時、下の記事でも書いた「ランガム・ホテル・ロンドン」に泊まっていたのですが、作中に
『ランガム・ホテルの便せんの切れ端に書かれた不思議な文字』
が謎解きの手がかりとして出てきたときはちょっとうれしかったです。
そんな昔からある、歴史あるホテルなんですね♪
それと作中に何回か出てくる、『ベイカー街という処は、余程変人が集まる街とみえる』P268という言葉。
作中に出てくる「シェイクスピア学者のクレイグ教授」やホームズたちの変人ぶりがおかしく・・・
今やベイカー街の住人となった家族Bの未来やいかに? と思いをはせるのもまた楽し、でございました。
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