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CheMin 鉱物は歴史の証言者

2012-10-01 10:18:51 | MSL

Astrobiology Magazineに9月20日付けのDavid BlakeさんのCheMinに関するインタビュー記事です。
David Blakeさんは、CheMinの主任調査官です。
CheMinは、X線回析分析と蛍光X線分析を備えた分析機器で、鉱物の同定と定量を行います。また、Mg以上の元素の検出を行います。

Q:一般にどんな種類の科学を行いますか。
A:私は、地質学者として教育を受け、NASAのエイムズ研究センターの地球外生物学ブランチで働いてます。
したがって、通常の種類の地質学ではなく、隕石と惑星間ダスト、さらに月の物質について調査しました。
惑星間ダストは、人毛より小さな直径の微粒子です。それらは、大体5、10あるいは15ミクロンです。
惑星間ダストは、彗星や隕石から、供給され地球の高層大気に溜まります。
NASAは、高層大気中で飛行でき、これらの惑星間ダスト収集装置を備えたER-2航空機を持っています。
私は、電子顕微鏡でこれらの異物を観察しました。どんな層があるか、何の鉱物か、またそれらの関係について調査しました。
これらのダストは、基本的に45億年前のものです。したがって、その研究により原始太陽系に関して学習することができます。

そして、私は、約1%の炭素を含んでいる標準的な隕石(主に炭素質コンドライト)の研究に進みました。
有機化学分野の人々は、これらの隕石から生命ではない有機化合物を見つけました。
私は、これらの中に見つかったサブ微視的な恒星間のダイヤモンドを研究しました。
その後、私はALH 84001隕石も研究しました。それは、火星から来たことが確認された南極大陸で見つかった隕石のうちの1つです。
私は、電子顕微鏡分光技師の教育を受けています。そして、10度ケルヴィンで取り組むために電子顕微鏡を修正しました。
私は、顕微鏡へガスおよび様々なものを導入し、10°Kでそれらを凝固し、冷たい分子雲の中で起こることに非常に近い環境で研究しました。
私は、それらの低温で水の氷と固体のガスの相転移を研究しました。

Q:そうすると、あなたが特にMSLで行うのは何ですか。
A:約22年前に、私は、X線回折機器の小型化に取り組み始めました。
X線回折は、鉱物を識別する方法です。他の多くの方法に比べてX線回折は最上です。
NASAに来た時、私は、X線回折機器を従来の分析機器の中に加えることが良いと思いました。
従来のX線回折機器は、かなり複雑で、大きさは、冷蔵庫のサイズでした。また、電力を何千ワットも使用し、多くの可動部品がありました。
私は、小型化に取り組みましたが、資金調達等に約15年かかりました。
Curiosity搭載のX線回折機器は、ほぼ大きめの靴箱サイズです。

私たちは、CheMinで土および岩の粉末サンプルを分析します。
鉱物は、研究が進んでおり、安定性、化学的性質などの情報が沢山あります。
従って、どの鉱物が岩または土にあるか知ることができれば、それらが形成された環境がどうであったかが分かります。
Galeクレーターの岩は、40億年くらい古と考えられますので、そこにある鉱物を確認することで、その鉱物が存在した40億年前の環境を推定できます。
Curiosityの使命は、生命が住むのに適した環境(初期の生命が起こったか、生存することができた環境)を見つけることです。
その為には、温和な温度を必要とします-(水の沸点少し越えた位から氷点より僅かに下の温度)、そして液体の水そしてある形態のエネルギーを必要とします。
鉱物の反応によって岩から化学エネルギーを得ることができます。
CheMinは、有機体によって使用されるエネルギーを生産することができる鉱物があるかどうか確認できます。
私たちがCheMinでそのようなものを見つければ、次にSAMと呼ばれる別の機器が有機分子がそこにあるかどうか分析を行います。

Q:あなたの仕事は、どのようにして宇宙生物学質問に答えるのを支援しますか。
A:私は常に鉱物学者兼地質学者でした。
私は、常に「地球外生物学」問題と呼んだものを目指して励みました。
しかし、私がする仕事は、地球の古代の岩を含んでいます。
火星、そして太陽系の理解の中で、どのように、形成された岩および鉱物か?
そして、有機物から生じた元素は、どのように太陽系の始めから現在の時間まで循環してきたか?
惑星間ダストから始めた私の仕事は、有機物から生じた元素の起源および処理とすべて関係したと思います-水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、そしてリン。
これらの有機物から生じた元素は、どのようにして有機化合物を形成したのでしょうか?また、結局どのようにして私たちになったのでしょうか?

Q:MSLで、特にそれらの元素を探索しますか。
A:CheMinは、有機物から生じた元素を探すことは出来ません。
CheMinは、岩と土に含まれている鉱物を見つけます。どの鉱物がそこにあるかについての知識で、私たちは、環境は何だったか実際に決定できます。
過去の環境を推定できるただ一つの方法は、鉱物の同定です。
それは、温泉で形成されたか、火山岩か、または湖底などで形成されたかなどです。
35〜40億年前の古い岩の中で、これを伝えるのは実際に難しい位の長い年月です。
私たちは、これらの岩を見て、生成環境を決定するために推測します。そして、これが他の測定機器のための予備知識を提供します。
CheMinだけでなく、Curiosityには、9つの他の機器があります。
それは、第一に環境の状態、そして、第2に有機化合物がそこに残存するかどうかを明確に決定する為の、すべての機器によるグループ・プロジェクトです、。
火星についての他の興味あることと私たちが特にGaleクレーターへ行った理由のひとつは、そこが恐らく35〜40億年前形成された場所であると言うことです。
その時代は、火星が初期地球に非常に似ていた時でした。液体の水が存在したという証拠が明白にあり、より濃厚な大気があり、より暖かく、より温暖でした。
地球は、動的で地殻変動のある惑星であるので地球上に同じような場所は残されていません。
地球は、岩が中央海嶺で形成され、収束型プレート境界で破壊される、活動的なプレートを持っています。
Galeクレーターで非常に古い堆積物および岩を見ることによって、私たちは、初期の火星のスナップ写真と言うだけでなく、生命が進化したと思われる時代の初期地球のスナップ写真も見る事となります。

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