火星への道

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史上初なので慎重です!

2013-01-19 22:14:44 | MSL

Curiosityの最新情報を発表するNASAによるmedia teleconferenceが日本時間16日3時(15日、10 a.m. PST)に行われました。
Curiosityは、水が過去に存在したことを確認できる可能性のある青白い筋のある平たい岩に向けてにじり寄っているところです。
その場所は、 "Yellowknife Bay."内の"John Klein," と名付けられた場所です。
軌道上からの観測によって、この場所が近くの地表面と比較して、夜間にゆっくり冷えることが分かっていたので、Curiosityの科学チームは、最初の訓練目標としてそこを目指すことを決定しました。
上図を見ると、Sol120と121でREMSによる地熱測定値が劇的に変化していることがわかります。
Mars Odysseyの軌道上からの観測で得られた、熱慣性の高い地域との境を緑色の点線で示しています。
熱慣性が高いと熱しにくく冷めにくい性質があります。
Curiosityの地熱測定とMars Odysseyの軌道上からの観測がピタリと合った素晴らしい瞬間です。詳しくは、こちら

下図は、"John Klein,"サイトの画像です。Sol138に火星ローカル時間8:30と9:25の間に撮影されたものの合成写真です。
Aは、"bread-crusted"と名付けられた岩を示します。その表面は、多角形のパターンに砕かれてます。
これは、一般に内部と拡張した外側部分との関係で、岩の膨張の差異の変化を反映してます。
Bは、凝塊のレリーフを示す明るいトーンの鉱脈およびダークスポットの両方を示しており、"John Klein,"サイトでサンプリングされる資料の代表です。
*凝塊=凝り固まったもの。
Cは、ローカルの層位学によって高い位置のより離れた暗い岩に形において類似している。その岩は、恐らくクレーターができた時のインパクトによって放出された物質の一部が飛んできたものでしょう。

下図は、"John Klein,"サイトのSol153火星現地時間3:10と3:33の間に撮影されたものです。
このエリアは、岩の間に凝塊も含んで、破砕と鉱脈がいっぱい見られます。凝塊は、鉱物の濃縮した小さな球状です。
Aは、表面上に出る多数の尾根のような鉱脈を示します。鉱脈のうちのいくつかには、2つの壁および1つの腐食された内部があります。
Bは、いくつかの部分では、地表面下数センチの水平な不連続があることを示します。
不連続は、川床、断面あるいは、もしかすると水平の鉱脈かもしれません。
Cは、断裂系に砂が下へ潜入することで、破砕が重なり、砂の中で発達した穴を示します。

 

下図は、Sol137に撮影されたものです。
左の画像の上に置かれた長方形部分の拡大画像を右側に示します。
右の画像で、白い矢は鉱脈を指してます。また、黒い矢は凝塊(鉱物の小さな球状の集中)を指してます。
鉱脈と凝塊の両方は、強く水から鉱物が沈殿したことを示唆してます。

ChemCamで "Crest,"と名付けられた岩をSol125に、 "Rapitan"と名付けられた岩をSol135に測定した結果が下図です。
分析したところは、岩の中の鉱脈部分です。画像は、RMIにて撮影してます。
赤線が"Crest,"の成分、青線が "Rapitan"の成分、黒線が比較の為の玄武岩です。
両方とも標準の玄武岩とは違うことが分かりました。
それらは珪酸がほとんど含まれておらず、カルシウムを多く含んでいます。

 

下図もChemCamによる分析です。
波長範囲が540nm~660nmで"Crest,"と "Rapitan"の鉱脈が硫黄と水素を多く含んでいることが分かりました。
これらの鉱物は石膏またはbassaniteでしょう。
*bassanite(バッサナイト)=カルシウムの硫酸塩鉱物のこと(組成:CaSO4・H2O)。石膏の仮像。

下図は、 硫酸塩に富んだ鉱脈の火星のものと地球のものの類似性を示しています。
左側は、CuriosityのMRIによる"Yellowknife Bay"エリアの「Sheepbed」岩の画像です。硫酸塩に富んだ鉱脈は、幅約1〜5ミリメートルです。
右側は、エジプトの砂漠のものです。
地球上では、比較的低濃度の液体が低温から中程度の温度で循環する時、石膏のような硫酸カルシウムは、鉱脈に頻繁に生じます。

下図は、Sol120にMastCamで撮られた "Shaler" と呼ばれる露頭中の斜層理です。
 "Shaler" ユニットの中の数10cm規模の斜層理は、流量中の土砂流送を示します。
流れは、下流に移動する小さな水面下の砂丘に沈殿物を成型します。
ここの粒度は、風輸送を否定できるくらい十分に粗いとのこと。
この斜層理は、Galeクレーターの "Yellowknife Bay"エリアのthe Gillespie・ユニット上に階層的に生じており、地質学上より若いことが分かります。

下図は、 "Sheepbed" 地点の露頭です。MastCamでSol126に撮られました。
硫酸カルシウムと思われる白っぽい鉱物で満たされた鉱脈が見えます。
この鉱脈は、地下環境内にしみ通った水の中で生じた鉱物をCuriosityが初めて見たものです。

下図は、Sol132にMAHLIで "Gillespie Lake,"と呼ばれる岩を撮影したものです。
火星の岩の表面で見た粒の大きな多様性を示します。
そのエリアで堆積岩を検査するためにMAHLIを使用しました。
一番下の矢印が示している粒子は、インターネットで「火星の花」と話題になった面白い閃光および芽のような形をしています。
他の近くの岩は、シルト岩で、粉砂糖より細かい粒子です。
これらは、着地エリアの小石の多いコングロマリット岩と著しく異なっています。

下図は、MastCamでSol139に撮影されました。
この画像は、荒い球状の特徴を示します。これらは小球と呼ばれます。
また、これらは層位学のユニット(Sheepbedユニット)で一般的です。
それは、"Yellowknife Bay." で露出している層の一連の下方部分であることが明らかです。
これらの特徴は、沈殿物の気孔によってしみ通った水にそれらが生じたことを示唆しており、凝塊として解釈されます。
球状の凝塊は以前に火星の他の岩の中で発見されました。

「これらは、すべて堆積岩です。そしてこの場所が物質を堆積する環境であったことを告げています。」とAileen Yingstさん(惑星学研究所のMAHLIの代理の主任調査官)が言いました。
「そして、異なる粒度は異なる輸送条件のことを私たちに伝えます。」

いよいよこの場所で1月中にもドリルによるサンプル採集が始まることと思います。
水が流れていたという証拠は、既に掴みました。「水が流れていた!絶対に!」 
ここに水がある時期に湛えられていたということが証明できるのでしょうか?
それは、何時のことでどの位の期間だったのでしょうか?
期待しましょうね!


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