火星への道

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Sol117時点での最新データ

2012-12-10 14:37:30 | MSL

アメリカ地球物理学連合(AGU)の会場で12月3日9時 PST(日本時間:4日2時)から行われたpress conferenceで最新の調査結果が発表されていましたのでメモしておきます。

上図左は、Sol58(10月4日)に"Rocknest"でMAHLIによって撮影されたものです。
左は、Curiosityの左前輪によって平らになった部分で観察された粗砂粒のうちのいくつかを示します。
比較的大きなガラス質の球体は、直径655マイクロメートルのものが有ります。
範囲は、1.9×2.2センチメートルをカバーしてます。
火星の砂地は、必ずしも赤ではないことが分かります。
この小さな1つのエリアで、2つの青い灰色のガラス質の球体および1つのガラス質の楕円体、明瞭で半透明の粒、灰色の砂および白砂等が見られます。
球状・楕円体の粒は、恐らく火山噴火あるいは、隕石の衝突によるいずれかで、火星表面上で融かされて冷えた、ガラス状の小滴から形成された物でしょう。
同様の粒は、月での火山及び地球での隕石衝突跡に見られます。
右は、Sol73(10月20日)にMAHLIで撮影した観察トレイ上のより小さな砂粒の拡大画像です。
これらの粒は、Sol69に3回目のスクープで集められ、CHIMRAで処理されたものです。
*CHIMRA("Scooping Paw" Collection and Handling for In-situ Rock Analysis)
150マイクロメートル未満の粒だけがふるいを通り抜けました。

上図は、今までの火星着陸船が撮影した火星地表面の画像です。
上の2つは、MERの「Spirit」が着陸したGusevクレーターの画像です。
下段の左は、Viking1号の着陸したChryse低地で、右は、「Curiosity」の着陸したGaleクレーターの "Portage"と呼ばれるところの画像です。
火星の表面の土を Vikingが初めに調査し、そして Pathfinder、Mars Exploration Rover(Spirit & Opportunity)、 CuriosityがX線分光計で調査しています。
今までの調査結果では、全ての着陸地点で同じ様な土を見つけたとのことです。

上のグラフは、火星の3地点で測定されたAPXS の結果を示しています。3地点の組成が非常に良く似ていることが分かります。
3地点とは、(1)「Spirit」が着陸したGusevクレーター (2)「Opportunity」が着陸したMeridiani 平原 (3)Curiosityが着陸したGaleクレーター内の "Portage" です。

上図は、SAMによる火星初の分析結果です。
細粒サンプルを加熱することで放出された、水蒸気、二酸化炭素、酸素および二酸化硫黄を検知しました。

上図は、SAMが"Rocknest"から得られた砂サンプルを加熱することで放出された水蒸気のD/H比率を測定した結果です。
水蒸気が地球の水より多くの重水素から成ることを示します。
惑星協会Emily LakdawallaさんのブログによりますとD/H比率が地球の5倍だったそうです。
火星は、地球と比べて重力が3分の1程度で、大気を保護する十分な磁界を持っていないため、地球より早く大気を失っていると考えられています。
大気を失う過程で、軽い水素原子は、重水素と比較して早く失われていることが予想されます。
*D=重水素、H=水素

上図は、"Rocknest"で採取された細粒の中にSAMが硫黄、塩素および酸素化合物を発見した結果を表わしています。
サンプルは、SAMで加熱され分析されました。

 

SAMによって"Rocknest"で採取したサンプルから炭素、水素、塩素を含む化合物を上図の通り検出していました。
CH3Cl、CH2Cl2、CHCl3とまだ正体不明の4つの塩化炭素化合物です。
これらの分子中の炭素が地球上か火星の起源かどうか判断するためにより多くの仕事が必要だとのことです。
現時点では、火星由来の有機物を発見したと断言するには、到っていないということですね。

慌てず、焦らず、誤らず、諦めず、当てにせず・・・頑張って欲しいです。

コメント
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