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IT化・第5回会議

2018年02月17日 | 瑞祥

 第5回会議の資料が公開されています。是非追っかけてください。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/

今回は,民事訴訟の手続段階ごとに見たIT化の視点(その2)で,第1回口頭弁論期日の指定から争点整理手続までのIT化の視点が提示されています。特に,弁論準備手続のIT化提案については,民事訴訟の中核部分のIT化提案といえましょう。①訴状・答弁書等と同様、当事者からの主張等(従前の準備書面、書証等)の提出について、オンラインでの提出等に一本化,②ITツールを活用して、当事者から提出される主張等を相手方に送付(専用システムに当事者がアップロードした電子情報を、相手方がダウンロードして入手するなど),③期日間の釈明・確認・事務連絡等のやり取りについて、ITツールを活用したオンラインでのやり取り(例えば、ウェブ会議上でチャット類似のやり取りなど),④第三者から情報が提出される場合(文書送付嘱託・調査嘱託の場合等)の対応,⑤オンラインでの期日の調整(システム上のカレンダー利用),⑥争点整理の結果として確定したものについて、裁判所及び双方当事者が電子データにより共有・確認することができる仕組み,⑦争点整理段階での和解協議について、ウェブ会議等の活用,⑧事件の進捗状況や争点整理の結果等について、当事者がオンラインで確認することができる仕組みなどが提案されています。


3 コメント

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セキュリティは… (ファンクラブ会員)
2018-02-24 02:32:41
政策会議の資料を読みました。IT化は効率化など市民にとっても利点も多いと思いますが、やはり気になるのはセキュリティです。
裁判所職員の情報セキュリティ教育は問題なく行われると思いますが、当事者(本人、代理人)のセキュリティ教育はどうなるのでしょうか?
国民には判決のみ仮名で公開されるだけ、とはいえ、当事者もログインできるシステムなら、多くの方が利用することになります。
第6回の「裁判手続等のIT化にともなうサイバーセキュリティについて」の資料で「社会的な責任と問題発生時の影響度に鑑みて過剰投資ではないレベルを設定」とありますが、気になります。
性犯罪の被害者の保護などはもちろんのこと、裁判では交通事故、損害賠償、(遺産相続は家事ですが)など、突然多額の金額が個人に振り込まれることが多く、このシステムから漏れた情報が犯罪グループに利用されて、詐欺事件などに発展しないのかな?と気になります。
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ごもっともです。 (瑞祥)
2018-02-24 11:17:50
政策会議の資料を読んでいただき,ありがとうございます。ご指摘のセキュリティは当然問題で,IT化には常に随伴する問題です。これをおろそかにすると,かえってITが利用されなくなりますので,慎重に議論及び制度設計がされると思います。
一つだけ指摘しておきます。民事訴訟法91条で,訴訟記録の閲覧は何人でもできますが,謄写は当事者及び利害関係を疎明した第三者に限りますので,IT化により,何人も事実上謄写ができる制度設計にはならないと思います。当事者と第三者は当然区別する制度設計になると思われます。また,判決は,現在裁判所のウエブサイトで一部公開されていますが,仮名処理等がなされており,これは当然維持されると思います。
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リプライありがとうございます (ファンクラブ)
2018-02-24 15:25:13
現行でも謄写は限られた方しかできないので、IT化してもユーザーIDとパスワードや身元確認がないとその事件記録の謄写はできないことになる、ということですね。
でも(←しつこい)、やはり当事者(代理人、本人)のセキュリティレベルは千差万別でしょうから、そこからユーザーIDとパスワード流出する恐れもあるので、やはり組織(裁判所)外の利用者のセキュリティ管理をどうしていくかが大きな課題になるように思います。
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