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認知調停の活用を

2008年06月19日 | チェックメイト
この問題の解決策は、実はかねがね私もこういう方法があるというアイディアを思いつき、同僚裁判官や調査官と話題にしていました。今月5日の「認知訴訟が急増の予感」での私のコメント「偽装認知をどう見破るか」でも言及しました。
しかるべき事案が来れば、その旨の判断をしようと待っていたのですが……。
本来は、下級審から審判例を積み上げるのが好ましかったと思うのですが、問題が大きくなり、最高裁からアイディアを周知するという、やや異例の形になったようです。
一見すると、合意があれば任意認知でも済みそうなのに、認知が23条審判(合意に相当する審判)の適用対象に列挙されていること(家事審判法23条2項)にも、新たな意味づけが可能ではないでしょうか。
先日の国籍法違憲判決もありますので、今後は、認知の調停と23条審判の運用に英知を絞りたいと思います。
例えば、偽装認知を排除するために事実をどの程度確認する必要があるか、DNA鑑定を要求すべきかどうか、等々。(チェックメイト)
(NHKニュースから抜粋)
 民法の300日規定が原因で、戸籍がない子どもについて、最高裁判所は、実の父親の子として戸籍を得る手段として、これまでは一般的でなかった「認知調停」という方法が活用できることを全国の家庭裁判所に周知しました。これを受けて、各地の戸籍がない子どもたちが家庭裁判所に一斉に調停を申し立てることを決めました。
 離婚後300日以内に生まれた子どもは、前の夫の子どもと推定するという民法の規定が原因で、実の父親の子として出生届が受理されず、戸籍がない子どもたちは少なくありません。戸籍を得るためには、これまでは前の夫を相手に家庭裁判所に調停を申し立て、親子でないことを確認する方法が一般的で、裁判官もこの方法を利用するよう促していました。しかし、暴力が原因で別れるなど、前の夫の協力を得にくいケースが多く、改善を求める声が出ていました。

1 コメント

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Unknown (curiousjudge)
2008-06-21 17:34:33
さっそく、裁判所のサイトにも記載されています。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_18.html

この方法によることができるのは、嫡出推定が及ばない場合、すなわち「夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母との性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合」に限られるようですが、ともあれ、この方法によって救済されるケースはかなりあるものと思われます。
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