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小林死刑囚,謝罪の手紙

2006年11月05日 | Weblog
 04年11月に奈良市の小1の女児をわいせつ目的で誘拐して殺害した小林薫死刑囚が遺族に謝罪の手紙を書いたという(朝日新聞11月4日夕刊)。
 同死刑囚は,捜査や公判では遺族への謝罪の言葉を述べなかったが,第一審で死刑判決が言い渡された後,弁護人が控訴したにもかかわらず,自らこれを取り下げ,10月11日に死刑判決が確定した。手紙には,「意見陳述を聞き涙が出ましたが,裁判官や傍聴席のマスコミに涙をみられないよう,目をつぶりできるだけふてぶてしい態度をしていました。」「私への怒り,憎しみはおさまらないでしょうが,命をもって償うことしかできない。」などと書かれてあった。しかし,遺族は,弁護人を介してのこの手紙の受け取りを拒否したという。
 反省謝罪とは一体何なのか。捜査公判で深々と頭を下げ謝罪の言葉を述べながら一審判決が重すぎるとしてさらに減刑を求めて控訴する被告人は多い。これと対比し,死刑判決に控訴せずこれを受け入れた小林死刑囚の態度をどうみるべきであろうか。
 自らの心に大きく深い傷を負っている人は,他人に悪を働いたとしても,素直に謝罪の言葉を口にだせないこともある。もちろん,被害者にとっては,加害者のそのような態度に接すると,さらに傷を深め怒りと悲しみを募らせることになるのだが・・・。(蕪勢)

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