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裁判官は何で通勤しているか?(解答編)

2008年05月22日 | チェックメイト
2週間前の出題に、予想外に多くの反響が寄せられました。
元々、「TVタックル」で「裁判官は満員電車には乗らないでしょうから」とコメントされたのを小耳にはさんで、何でそんなことを知っているのだろう?と疑問に感じたことから、出題させていただきました。

もちろん、他の裁判官にアンケートを取ったわけではないので、唯一の正解があるわけではありませんが、私は幸せなことに、
②満員ではない電車で通勤している。
が最も当てはまります。
おそらく、同様の裁判官も少なくないと思われます。
都会では現実的には難しいのではと思われたようですが、それが可能な理由は、
第1に、午前中の開廷時刻が概ね10時前後に設定されているため、出勤については一般より遅めの「時差通勤」が可能であること(その代わり、遅くまで居残るか、持ち帰りで「残業」をしています。)、
第2に、都市部であっても、比較的都心に近い住居(自宅・官舎)から近郊都市の裁判所支部等へという、一般と「逆方向通勤」になるパターンが多くなることです。

ちなみに、
③黒塗りの専用車は、各裁判所の所長・支部長のほか、東京高裁の裁判長クラスのうちの希望者くらいに限られると思われます。そもそも、専用車はそんなに台数はありません。昔は法廷の撮影ができなかったので、裁判長が黒塗りの専用車から降りて来るシーンが必須でしたが、そんな舞台装置も不要になりました。
④送迎バスは、大きな官舎に入っていて便があれば可能ですが、最近は乗る人が極めて減っているのが実情です。
⑤バイク・自転車は、少なくとも都市部ではほとんどないと思われます。東京地裁にはこれを予定した駐輪場さえありません。
⑥ジョギング・徒歩も、よほど近くに住んでいないと無理ですね。
⑦裁判所(敷地内の官舎)に住み込みというのも存在しないでしょう。所長・支部長はともかく、一般の裁判官の官舎はそんなに近隣にはありません。
⑧その他では、御指摘のとおり、致命的な出題ミスを犯しました。
自家用車を選択肢に入れなかったことです。出題者自身が、自家用車通勤は想定外という先入観をさらけだしてしまっていました。実際にも、自家用車で通勤している裁判官は見たことがありません。そもそも、運転免許自体を持たない人の比率も、一般より相当高いのではないかと推測されます。それがなぜなのかは、また一つの問題です。
(チェックメイト)


1 コメント

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時差通勤でしたか… (峰村健司)
2008-05-24 18:37:26
(1)満員電車で通勤、と答えた者です。
 医療訴訟研究のために毎週のように東京地裁高裁に出かけているので、法廷が原則10時開廷であることは存じておりましたが、それに合わせて時差通勤が可能…なわけ無いだろう、と決め打ちしてしまいました。
 裁判所の方々は、普段は忙しくても夏休みはしっかりとれるらしいという話も耳にしたことがあり、普段は大変な激務だと思いますがそういう点で融通が利くのは良いですね。
 また興味深いクイズを期待しております。
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