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転勤  


 転勤の季節になった。私も、九州から、関西に異動であった。

 転勤間際は、判決等がたてこんで、裁判官は皆大変である。ただ、当事者にとっては、裁判官の転勤も関係がないから、できるだけ転勤の影響がないように判決等を書かなければならない。でも、数が通常の2倍、3倍になることもあるので、つい弱気になってしまうこともある。次の裁判官任せようか、などと。しかし、現地に行った事件や証人尋問した事件は、どうしても最後を締めくくるのが担当裁判官の責任というものである。歯を食いしばって、3月31日まで仕事をする裁判官は多いのではないだろうか。私もそうであった。計画的に対応すべきとは昔からよく言われるが、なかなか計画通りにはいかないものである。

 転勤してからは、懐かしい顔によく出会った。九州に行く前も関西の裁判所勤務だったからである。大阪の淀屋橋から裁判所に向かう道すがら、昔事件でお会いした弁護士さんに何人も出会った。相手はこちらに気づいていないようであったが、意外とこちらは覚えている。逆に、私の気づかないところで、こっちが覚えていないのに、相手が覚えているということもあるであろう。そんなことを考えながら、ちょっと歩いていただけなのに、知った弁護士さんに会うと、昔のいろいろな事件が思い出された。
「懐かしき 人に出会うや 春の道」そんな感じであった。

 裁判所でも懐かしい顔によく出会った。久しぶりでびっくりする顔も数多くあった。言葉には出さなかったが、お互い健康で再会できることが何よりの幸せなのだろうと思う。関西を離れていた4年間にも、亡くなる人もいたからである。新しい職場では、昔一緒に仕事した速記官の人が、調停委員として挨拶にこられた。また会うとは思わなかったので、びっくりしたが、縁というものはあるのだと思う。今後、一緒に、調停成立のためにがんばりたいものである。

 新しい任地にも、数多くの事件がある。3月31日までに沢山の事件を締めくくってきたはずなのに、また新たな事件が山ほどあるのである。それが裁判官だと言ってしまえばそれまでだが、世に紛争の種は尽きないとつくづく思う次第である。(瑞祥)

 
 

 


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