幻冬舎新書で,「裁判官の爆笑お言葉集」という本が話題になっています。裁判官ネットワーク及びその周辺でも同様です。著者は,ブログで,書名に難色を示していたことを表明しておられますが(「爆笑」という言葉に抵抗感があったようです。),この書名もあってか,広告を見ただけでどきっとするところがあり,つい読んでしまう人もいるようです。以下,asahi.comのPR情報からですが,興味を持たれて本を読まれた方は,感想などを是非コメントして下さい。
裁判官の「お言葉集」出版 厳粛判決に人間味も
「死刑はやむを得ないが、私としては、君にはできるだけ長く生きていてもらいたい」(死刑判決を言い渡して)、「あなたのような動機で人を殺しては、社会は成り立たない」(殺人などの罪で実刑判決を言い渡して)。現実にあった裁判で裁判官が発した、ときに厳しく、またしみじみと考えさせる言葉を集めた本「裁判官の爆笑お言葉集」が出版された。
著者の長嶺(ながみね)超輝(まさき)さん(31)は大学を卒業した98年以降、司法試験に7回挑戦。04年に「もうコリゴリ」と断念し、ライターに転じた。それでも学生のとき以来の裁判傍聴はやめられず、むしろ「厳粛な手続き中、変わった質問や被告の本音がいきなり出てくる」おもしろさにひかれた。
裁判での裁判官の発言としては、02年、山室恵・東京地裁判事(当時)がさだまさしさんの歌「償い」の歌詞を引き合いに、被告の反省が十分でないと諭したエピソードが有名。「へえ、裁判官ってこんなことも言うの?」という思いで、新聞も調べて約100の言葉を選んだ。
長嶺さんにとって最も印象深いのは、交通死亡事故で実刑判決を言い渡した裁判官の「被害者の命の重みは、駅前で配られるポケットティッシュのように軽い。(中略)命の尊さに法が無慈悲であってはならない」という言葉。妙なリアルさに説得力があり、「言わずにはいられなかったんだな」と感じた。
判決以外の場面でも、「刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪ではなくて、窃盗とか他にも……」(放火事件で、刑務所志願だったという被告に)など、思わずうなずいてしまうような言葉もある。幻冬舎から、756円。
■本で紹介された裁判官の言葉
・「この前から聞いてると、あなた切迫感ないんですよ」(被告が「生活費に困って」と言う割に、ぜいたくな生活ぶりが分かって)
・「多少厳しいことを言いましたが、私は、犯罪をやめさせるのが仕事ですから」(大麻取締法違反の罪に問われた被告に質問して)
・「私も中学時代、いじめに遭い、つらい思いをした。ですが、我慢して少しでも人の役に立とうとがんばってきました。あなたもつらいと思うが、厳しく自分を律してやり直して下さい」(公然わいせつ罪に問われた被告が「人間関係のストレスが動機」と話したのに対して)
・「恋愛は相手があって成立する。本当に人を愛するなら、自分の気持ちに忠実なだけではダメだ」(ストーカー規制法違反の罪に問われた被告の一審有罪判決を支持して)
・「親友は真の友ではなく、愛する妻は良い妻でなかったということですか。十分に理解はできる。しかし、殺害は許されない。分かりますね」(妻と不倫していた友人を殺したとして殺人の有罪判決を言い渡して)
・「今回は子どもの足を焼いたが、これからはわが身を焼く思いで、自分の子どもにとって何が最善か、よく考えるようにしなさい」(子への虐待を繰り返した被告に有罪判決を言い渡して)
・「私があなたに判決するのは3回目です」(覚せい剤取締法違反の有罪判決を言い渡して)
裁判官の「お言葉集」出版 厳粛判決に人間味も
「死刑はやむを得ないが、私としては、君にはできるだけ長く生きていてもらいたい」(死刑判決を言い渡して)、「あなたのような動機で人を殺しては、社会は成り立たない」(殺人などの罪で実刑判決を言い渡して)。現実にあった裁判で裁判官が発した、ときに厳しく、またしみじみと考えさせる言葉を集めた本「裁判官の爆笑お言葉集」が出版された。
著者の長嶺(ながみね)超輝(まさき)さん(31)は大学を卒業した98年以降、司法試験に7回挑戦。04年に「もうコリゴリ」と断念し、ライターに転じた。それでも学生のとき以来の裁判傍聴はやめられず、むしろ「厳粛な手続き中、変わった質問や被告の本音がいきなり出てくる」おもしろさにひかれた。
裁判での裁判官の発言としては、02年、山室恵・東京地裁判事(当時)がさだまさしさんの歌「償い」の歌詞を引き合いに、被告の反省が十分でないと諭したエピソードが有名。「へえ、裁判官ってこんなことも言うの?」という思いで、新聞も調べて約100の言葉を選んだ。
長嶺さんにとって最も印象深いのは、交通死亡事故で実刑判決を言い渡した裁判官の「被害者の命の重みは、駅前で配られるポケットティッシュのように軽い。(中略)命の尊さに法が無慈悲であってはならない」という言葉。妙なリアルさに説得力があり、「言わずにはいられなかったんだな」と感じた。
判決以外の場面でも、「刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪ではなくて、窃盗とか他にも……」(放火事件で、刑務所志願だったという被告に)など、思わずうなずいてしまうような言葉もある。幻冬舎から、756円。
■本で紹介された裁判官の言葉
・「この前から聞いてると、あなた切迫感ないんですよ」(被告が「生活費に困って」と言う割に、ぜいたくな生活ぶりが分かって)
・「多少厳しいことを言いましたが、私は、犯罪をやめさせるのが仕事ですから」(大麻取締法違反の罪に問われた被告に質問して)
・「私も中学時代、いじめに遭い、つらい思いをした。ですが、我慢して少しでも人の役に立とうとがんばってきました。あなたもつらいと思うが、厳しく自分を律してやり直して下さい」(公然わいせつ罪に問われた被告が「人間関係のストレスが動機」と話したのに対して)
・「恋愛は相手があって成立する。本当に人を愛するなら、自分の気持ちに忠実なだけではダメだ」(ストーカー規制法違反の罪に問われた被告の一審有罪判決を支持して)
・「親友は真の友ではなく、愛する妻は良い妻でなかったということですか。十分に理解はできる。しかし、殺害は許されない。分かりますね」(妻と不倫していた友人を殺したとして殺人の有罪判決を言い渡して)
・「今回は子どもの足を焼いたが、これからはわが身を焼く思いで、自分の子どもにとって何が最善か、よく考えるようにしなさい」(子への虐待を繰り返した被告に有罪判決を言い渡して)
・「私があなたに判決するのは3回目です」(覚せい剤取締法違反の有罪判決を言い渡して)
引用しますのは、いわゆる日本巌窟王(吉田)事件再審無罪判決であります。
「ちなみに当裁判所は被告人否ここでは被告人と云うに忍びず吉田翁と呼ぼう。吾々の先輩が翁に対して冒した過誤を只管陳謝すると共に実に半世紀の久しきに亘り克くあらゆる迫害に堪え自己の無実を叫び続けて来たその崇高なる態度、その不撓不屈の正に驚嘆すべき類なき精神力、生命力に対し深甚なる敬意を表しつつ翁の余生に幸多からんことを祈念する次第である。よって主文のとおり判決する。」(名古屋高判昭和38年2月28日判時327号26頁以下)
最高裁白鳥決定以前の極めて希有な再審無罪判決です。非常に心に残る言葉ではないでしょうか。