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韓国の試み

2008年02月19日 | 
先日報道された韓国の国民参与裁判制度には驚きました。韓国で議論されているというのは前に聞いたことがありましたが,もう第1号の裁判が始まり,即日判決となったというのですから,びっくりしました。
 
 そこで,にわか勉強をしました。崔鍾植九州大学准教授の書かれた論文(季刊刑事弁護53号登載ー大変明快でわかりやすいものです。)を読んで,おおよそどんなものかがわかりました。

 まず立法過程ですが,陪審,参審制度とも違憲論があるため,今年からとりあえず両制度を混用した第1段階試験運用過程を始め,2011年に法曹界,学会,市民団体で構成される仮称「国民司法参与委員会」でさらに検討を加え,最終的形態が決定された後,憲法改正が行われ,2013年から正式に施行される,というのです。そのスピード感と実証的発想には頭が下がります。

 今回の裁判の実情ですが,重大事件について陪審員(法定刑の重さ,否認かどうかなど
によって5人から9人)が選任され,有罪の評決は陪審員のみで,全員一致で行う,というところは陪審そのものですが,有罪の場合の量刑は裁判官と討議する,陪審の量刑意見は参考にとどまり,裁判官を拘束しない,有罪について全員一致とならない場合は,裁判官の意見を聞いた後,陪審員のみの多数決で決する,しかし,その意見も裁判官を拘束せず勧告的意見にとどまる,陪審の意見と異なる判決をする場合は,被告人に陪審の評決結果を告知し,違う判決をする理由を説明し,かつ判決に記載しなければならない,というもののようです。

 陪審の形をとりつつ,裁判官の意見がかなり強く反映するということになりそうですが,最後の説明義務のところで事実上は陪審の評決が尊重される可能性も高いように思われます。今回の第1号事件でも,検察官の懲役5年以上の求刑に対し,2年6月,執行猶予付きの評決に裁判官も同意したと報道されています。

 この制度の運用状況は,日本の裁判員制度に大きな影響を与える可能性があり(今回の裁判に法務省から韓国領事館に派遣されている検察官が傍聴していたとの報道もありました。),目が離せないといえそうです。「花」

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