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「インターネットバンキング詐欺未遂事件の顛末」(その1)

2015年06月09日 | ムサシ

1 先頃,危うく私がインターネットの詐欺被害に遭いそうな事件が発生したが,どうやら無事に被害を受けることなく終了した気配である。何だか変な,危うい世の中になってきているということなのであろうか。
2 少し前に,インターネットで加入しているプロバイダーから,私のパソコンから大量の文書が流出しているとして,それをストップさせたという通知が文書で送られてきた。驚いて早速,掛かり付けのパソコン業者に連絡して修理して貰い,パスワードを変更したが,メールアドレスを変更すると何かと面倒なので,そのままにしてある。おそらくウイルスに感染したのであろう。また私のパソコンには大した秘密情報は入っておらず,大切な文書は全てパソコンには残さず,フロッピーに入れてあるので,そう大した被害はないと考えている。
3 それから暫くした頃,私のパソコンに突然変なメールが大量に送られて来るようになった。その内容は,私のインターネットバンクを誰かが設置したこと(おそらく嘘であろう。),そこに私を経済的に支援するために多くの支援者から数千万円の預金が入金されていること,早急に受け取って欲しいことなどというもので,預金額も順次増えて最終的には10億円を超える金額を受け取ることができることになったというのである。
4 その具体的な手続きは,メールの添付ファイルを開封すれば読むことができることとされていた。そして,その預金を利用できる有効期限が,数日後の夜12時であり,それを過ぎると失効するので,急いで預金を受け取るようにと,心理的に急がせようとするものであった。
5 私は,およそ見知らぬ人達から金銭を,しかも大金を贈与されるようなことが,この世知辛い世の中である筈がなく,これはある種の詐欺手段としての策謀に違いないと直感的に確信し,その思いに全く迷いはなかったし,添付ファイルをクリックすることは甚だ危険であるに違いないと判断し,決してクリックしないことに決めた。
6 添付ファイルをクリックすれば一体如何なる事態が発生したのかは分からない。ウイルス感染もさることながら,大金を取得する前提条件として,相当高額の(100万円単位ではあるまいか)手数料的な金額を振り込ませて詐取するか,パソコンにより,虚偽のインターネットバンクから,現に私が有している普通預金口座へ大金を移動できるとして,私の口座番号等を知ることにより,私の口座の預金全額を引き出すというようなことなのかも知れない。
7 同グループと思われる複数の人から,毎日50通余りのメールが送付された。私は,私を加害者とする被害者なる者が名乗り出ることを想定して,私が無実であることを証明できる程度のメールを印刷して残し,毎日50通余りものメールを全て削除した。そして約2か月が経過したころ,彼らも諦めたようで,「とうとう終わりましたね。」とか,「今回はあなたの勝ちですよ。おめでとうございます。」などというメールが来た。「あなたもやられましたか?」という被害者らしい人からのメールもあった。そして2か月後のある日から,メールは全く来なくなったのである。そして私は,これは新手の詐欺事件に違いないと確信したのである。(ムサシ)