先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

アイヌ民族関係者ら落胆 伝統舞踊、五輪開会式で不採用

2020-02-10 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2020.02.08

平取アイヌ文化保存会による古式舞踊=2017年7月、札幌市内
 7月24日に開かれる東京五輪の開会式でアイヌ民族の伝統舞踊が不採用の見通しとなったことを受け、準備を進めていた苫小牧市や近郊のアイヌ民族の関係者に落胆が広がっている。世界に発信しようと、北海道アイヌ協会が先行的に検討会議を設置。道内各地のアイヌ協会や団体が練習を重ねていただけに「残念」との意見も。ただ、プログラムの内容は現在検討中で、セレモニーや式典にはアイヌ民族が参画する方針が示されていることから「民族の精神を世界に発信できればいい」と期待する声もある。
 道アイヌ協会は東京五輪の開会式で伝統舞踊を披露するため、2015年8月にアイヌ文化発信検討会議を設置。政府への要請活動と実現に向けた協議を重ねていた。
 同協会などによると、伝統舞踊の演出、監督は釧路市の演出家秋辺日出男さん(59)に依頼。2年ほど前から実現に備えて練習を重ねていた。全道各地に伝わる踊りをベースに1000人規模で40分ほどの踊りを構想。その後、時間や規模など「どのような状況にも対応できるよう練習してきた」(事務局)という。
 約10人の踊り手を参加させる予定だった苫小牧アイヌ協会は、昨年12月ごろから月1回のペースで衣装制作や練習をこなしてきた。役員の鱗川広美さん(70)は「今年に入っても五輪側から具体的な方向性が示されず変だと思っていた」とし、「とにかく残念」と気落ちした様子で話した。
 アイヌの伝統文化継承に努める苫小牧うぽぽ会長の佐々木義春さん(67)も「手を取り合ってきた中で出鼻をくじかれた気持ち」と訴える。
 平取アイヌ協会は、2人の踊り手がサブリーダーとして2年前から全国各地で年10回ペースの練習に参加してきた。会長の木村英彦さん(56)は「これまでの努力を思うと残念」と話す一方、五輪をきっかけに全道各地のアイヌが気持ちを一つにし、各地の踊りをアレンジして皆が踊れる舞踊が生まれたことを評価。「何らかの形になることを期待したい」と述べた。
 平取町出身で、千歳アイヌ協会副会長の上野亜由美さん(52)は「式典ではアイヌ文化を取り入れると(報道で)聞いている。五輪の中で民族の精神や文化を全世界に発信できる機会があればいい」と冷静に受け止める。開会式では「アイヌの一人として世界平和を願う祈りをささげたい。その様子を発信してほしい」と話した。
 道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)は取材に対し、アイヌ民族の存在を世界に発信する機会になるとして政府などに要望を続けてきた経緯を説明。「採用されないとなれば、これまで準備してきた各地の皆さんの努力や労苦に対して申し訳ない」とし、「諦めず、努力が無駄にならないような形を目指して国に働き掛けていく」と力を込めた。 
http://www.hokkaido-nl.jp/article/16011
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北海道の冬の風物詩「さっぽ... | トップ | アマゾン先住民族〈ヤノマミ... »
最新の画像もっと見る

アイヌ民族関連」カテゴリの最新記事