北海道新聞 06/27 05:00
道内の学校の修学旅行が、新型コロナウイルス感染拡大の余波を受けている。各校は日程延期のほか、行き先を道外から道内に変更するなど対応に追われ、7月に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)では修学旅行の予約の急増で、混雑緩和策の検討を急ぐ。子どもたちにとっては一生の思い出となり得る行事だけに、感染リスクを避けながら実施するための模索が続く。
「修学旅行を本当に実施できるのか」。札幌市内の中学校の教頭は気をもむ。感染拡大に伴い、日程を5月から9月に延期し、行き先も関東から函館・青森に変更した。ただ、「密」にならないようバスの台数や宿泊する部屋数を増やすなど課題は多く「不安は尽きない」と明かす。
計画急ピッチ
道内では例年5~6月に修学旅行を行う小中学校が多いが、今年は新型コロナの影響で実施時期を2学期以降にずらす学校が増えている。夏休み前には各家庭に宿泊先や交通手段、旅費の変更などを伝える必要があり、各校は計画づくり急ピッチで進める。
釧路市内のある中学校は、8月に札幌や後志管内ニセコ町を訪れる計画を変更しないことを決めたが、再流行が起きないとも限らない。校長は「計画を早め、できるうちに行く方が良いかもしれないが、調整は難しい」と話す。
「札幌避けた」
道教委は6月12日付の各市町村教委などへの通知で、修学旅行先を道内にするよう検討を要請。旅行中に児童生徒の感染が判明し、検査や治療を行う際も「道内であれば情報収集を含め円滑に対応できる」(義務教育課)からだ。再流行で都道府県をまたぐ移動が制限された場合も想定したという。
函館市内では行き先として地理的に近い東北を選ぶ小中学校が多いが、函館市教委は道教委の通知を受け、小学校は市内と近郊、中学校は渡島・檜山・胆振・後志の4管内に限定した。「道内でも感染が続いている札幌は避けた」と担当者。
一方、渡島管内七飯町の中学校は予定通り、北海道新幹線を使い東北に向かう。七飯町教委は「移動時間が短く、感染者が少ない東北の方がリスクは低い」。新幹線の座席の消毒などにも気を配るという。
子ども尊重を
受け入れ先も態勢づくりを急ぐ。道教委の通知で訪問先の例として挙げられたウポポイは、12日以降の1週間で、道東や道南などの学校からの見学予約が30校、計3千人分増えた。修学旅行だけで千人以上の予約が入った日もあり、運営するアイヌ民族文化財団(札幌)は「申し込みが増えるのはうれしいが、入場制限などを考えざるを得ない」。児童生徒が密集しない形でアイヌ文化の魅力を伝えられるプログラムを検討中だ。
道教大札幌校の前田賢次准教授(教育方法学)は、修学旅行でコロナ禍の観光地への影響なども学ぶことができると指摘。「このような状況でも、修学旅行を楽しみにしている子どもがいる。子どもたちの思いに寄り添った旅行にしてほしい」と話す。(嘉指博行、鹿内朗代、野呂有里)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/434885
道内の学校の修学旅行が、新型コロナウイルス感染拡大の余波を受けている。各校は日程延期のほか、行き先を道外から道内に変更するなど対応に追われ、7月に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)では修学旅行の予約の急増で、混雑緩和策の検討を急ぐ。子どもたちにとっては一生の思い出となり得る行事だけに、感染リスクを避けながら実施するための模索が続く。
「修学旅行を本当に実施できるのか」。札幌市内の中学校の教頭は気をもむ。感染拡大に伴い、日程を5月から9月に延期し、行き先も関東から函館・青森に変更した。ただ、「密」にならないようバスの台数や宿泊する部屋数を増やすなど課題は多く「不安は尽きない」と明かす。
計画急ピッチ
道内では例年5~6月に修学旅行を行う小中学校が多いが、今年は新型コロナの影響で実施時期を2学期以降にずらす学校が増えている。夏休み前には各家庭に宿泊先や交通手段、旅費の変更などを伝える必要があり、各校は計画づくり急ピッチで進める。
釧路市内のある中学校は、8月に札幌や後志管内ニセコ町を訪れる計画を変更しないことを決めたが、再流行が起きないとも限らない。校長は「計画を早め、できるうちに行く方が良いかもしれないが、調整は難しい」と話す。
「札幌避けた」
道教委は6月12日付の各市町村教委などへの通知で、修学旅行先を道内にするよう検討を要請。旅行中に児童生徒の感染が判明し、検査や治療を行う際も「道内であれば情報収集を含め円滑に対応できる」(義務教育課)からだ。再流行で都道府県をまたぐ移動が制限された場合も想定したという。
函館市内では行き先として地理的に近い東北を選ぶ小中学校が多いが、函館市教委は道教委の通知を受け、小学校は市内と近郊、中学校は渡島・檜山・胆振・後志の4管内に限定した。「道内でも感染が続いている札幌は避けた」と担当者。
一方、渡島管内七飯町の中学校は予定通り、北海道新幹線を使い東北に向かう。七飯町教委は「移動時間が短く、感染者が少ない東北の方がリスクは低い」。新幹線の座席の消毒などにも気を配るという。
子ども尊重を
受け入れ先も態勢づくりを急ぐ。道教委の通知で訪問先の例として挙げられたウポポイは、12日以降の1週間で、道東や道南などの学校からの見学予約が30校、計3千人分増えた。修学旅行だけで千人以上の予約が入った日もあり、運営するアイヌ民族文化財団(札幌)は「申し込みが増えるのはうれしいが、入場制限などを考えざるを得ない」。児童生徒が密集しない形でアイヌ文化の魅力を伝えられるプログラムを検討中だ。
道教大札幌校の前田賢次准教授(教育方法学)は、修学旅行でコロナ禍の観光地への影響なども学ぶことができると指摘。「このような状況でも、修学旅行を楽しみにしている子どもがいる。子どもたちの思いに寄り添った旅行にしてほしい」と話す。(嘉指博行、鹿内朗代、野呂有里)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/434885