北海道新聞 06/19 20:27 更新
スマートフォン向けのゲーム「Fate/Grand Order」(フェイト・グランドオーダー、FGO)の配信5周年を記念し、ゲームキャラクターが全国の名所を訪れる広告が各地の地方紙に掲載され、反響を呼んでいる。北海道新聞の6月13日付朝刊に、富良野地域のラベンダー畑を舞台にした全面カラーの見開き広告が掲載されると、インターネット上で話題に。そのことを記事でも伝え、北海道新聞デジタルチームのツイッター(https://twitter.com/doshin_digital)で紹介すると、2千件以上のリツイート(転載)があった。人気ゲームの広告をなぜ、地方紙で展開したのか。「みなぶん特報班」が取材した。
文/門馬羊次(報道センター・デジタルチーム)
FGOは、主人公が歴史上や伝説上のキャラクターと一緒に戦いを繰り広げるゲーム。国内のダウンロード数は2000万件に達する。
今回の広告は、ゲームを手掛けるアニプレックス(東京)が企画した。5月4日の関東・甲信などを皮切りに、5月25日に東海・北陸、6月3日に九州・沖縄、6月13日に北海道・東北と、これまで計31都道県の地方紙に掲載。次回は7月6日の中国・四国で、最終的に全47都道府県の地方紙に掲載される。
北海道版は「花の魔術師」と呼ばれる人気キャラクター「マーリン」がラベンダー畑で「素敵(すてき)な花畑じゃないか!」とコメントするデザイン。13日にはツイッターで「マーリン」というワードが13万件以上も投稿され、トレンド入りした。
ゲームには、アイヌ民話で描かれる「シトナイ」というキャラクターも登場するため、ツイッターでは「北海道はシトナイだと思った」「北海道はマーリン?花の魔術師だからアリなのかな」などと盛り上がり、北海道新聞の通販サイトも当日分の紙面は午前中に完売するほどの反響だった。
アニプレックスの担当者は「場所とキャラクターの縁が深い組み合わせもあれば、その土地がキャラクターの雰囲気に合いそうということで組み合わせたケースもある」と説明。「(どの地域にどのキャラクターが登場するのか)予想しながら楽しんでもらえたのでは」と受け止める。
北海道以外の広告も各地の風土が描かれている。「牛若丸」(源義経)と「武蔵坊弁慶」が最期を迎えたとされる岩手県でわんこそばを食べる図案(岩手日報掲載)や、「葛飾北斎」が茶畑から富士山をスケッチするデザイン(静岡新聞掲載)など、地域性が楽しめる。
6月15日から札幌市営地下鉄大通駅構内4カ所で、各紙に掲載したデザインを集めた広告も掲示。ファンらが盛んに写真を撮影している。
若者に支持されるゲームの広告を地方紙で展開したことについて、担当者は「家庭やオフィスといった生活の場に直接届くのが新聞であり、地元に根付いている媒体として地方紙にたどり着いた」と説明。「普段は購読していない方も新聞を購入した、という声も届いているので、われわれが発信している(ウェブなどの)媒体では届かない層に知ってもらう機会をつくることができた」と話している。
掲載した広告のデザインやキャラクターの情報は、FGO5周年記念の特設サイト(https://5th.fate-go.jp/)でも閲覧できる。
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