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アイヌ クラフトを探して、ビームス「フェニカ」と北海道・阿寒湖へ。

2019-10-07 | アイヌ民族関連
PEN 2019.10.07
写真:永井泰史 文:牧野容子

阿寒湖畔は多くの著名な木彫家が拠点にしたことでも知られる。アイヌコタンではいまも新しい木彫作品が次々と生み出されている。
セレクトショップ「BEAMS」の「フェニカ」が釧路市阿寒町とコラボレートして、アイヌ伝統のクラフトを現代の暮らしに活かすプロジェクトが進行中。ディレクターの北村恵子さんとともに、阿寒湖畔のつくり手たちを訪ねる旅をレポートします。
セレクトショップBEAMSで、“デザインとクラフトの橋渡し”をテーマに、衣食住をトータルで展開するレーベル「フェニカ」。企画やバイイングを手がけるのは、ディレクターのテリー・エリスさんと北村恵子さん。日本各地の伝統的な手仕事と世界の新旧デザインを融合させたスタイルを提案し、常に話題を呼んでいます。今回、二人が注目したのは北の大地、北海道。釧路市阿寒町に暮らすつくり手たちとコラボレートして、アイヌの伝統を継ぐクラフト アイテムをつくっています。Pen Onlineではこのプロジェクトを2回に分けて紹介。第1回は北村さんと北海道阿寒湖畔のアイヌコタンへ向かい、つくり手を訪ねる旅をレポート。続く第2回では、気になるアイヌ クラフトの詳細をご紹介します。
山と湖と森と川、大自然とともに生きるアイヌコタンの人々。
北海道東部にある阿寒摩周国立公園は、原始の姿を残している国内でも貴重な公園の一つ。阿寒湖・屈斜路湖・摩周湖の3つの湖を擁し、区域内の約9割以上に手つかずの自然が保護されています。なかでも西側に位置する阿寒湖は緑のマリモが生息することで知られ、湖畔の小さな温泉街には阿寒湖アイヌコタンがあります。アイヌコタンとは、先住民族のアイヌの人々が暮らす集落のこと。阿寒湖アイヌコタンには現在、36世帯・約120人が生活し、街のメインストリートの両脇には民芸品店や土産店、飲食店などが並んでいます。
20数軒の店舗がひしめくアイヌコタンの中心地。民芸品店にはクマやフクロウの置物を始め、アクセサリーや小物などの木彫作品、美しい文様の刺繍作品、楽器など、アイヌの工芸品が賑やかに並び、飲食店では伝統的なアイヌ料理や北海道の味覚を味わうことができます。民芸品店や土産店の中には、工房スペースを設け、そこで実際に制作を行うつくり手がいるところもあります。アイヌの人々にとって、工芸はお土産として売るためだけのものではなく、本来は暮らしの中で必要な技術として代々、継承されてきたもの。男性は彫刻を、女性は刺繍や機織り、ゴザの編み方などを親や祖父母から習い、身につけてきました。今回のプロジェクトのつくり手も、多くがそのような人たちです。
今回の「アイヌ クラフツ」プロジェクトがスタートするきっかけは、2年前のこと。「アイヌの文化に興味があって、以前から北海道に足を運んでいましたが、阿寒湖アイヌコタンを訪れたのは、その時が2回目でした」と話す北村さん。
「現地で伝統を守りつつ独自の感性を取り入れて作品をつくっている若手のアーティストたちと出会い、その作品に魅了されたことが、今回の企画の立ち上げにつながりました」
以来、北村さんとエリスさんは2年間で十数回、時にはプライベートでも阿寒湖を訪れて、つくり手たちとのやり取りを続けながら制作を見守ってきました。木彫作品を手がける瀧口健吾さんも、その若き担い手の一人です。
瀧口さんは、亡き父・政満さんが遺した「イチンゲの店」を切り盛りしながら木彫作品をつくっています。
「父の瀧口政満さんは阿寒湖を代表する木彫作家の一人でした。後を継いだ息子の健吾さんは若手とはいえ、クラフトコンテストで賞を受賞するなど実力もあり、小さい頃からお父さんの仕事をそばで見て育っているせいか、作品になんともいえない素朴さと温かみを感じます」と北村さん。
瀧口さんは今回の企画でクマの置物やサラダサーバーセット、バターナイフ、チシポ(アイヌの針入れ)などをつくっています。
「お店を初めて訪ねた時、柱に飾られた木製のスプーンやヘラを見つけ、心を惹かれました」と北村さんが振り返ります。
「ヴィンテージ感のあるデンマークのカトラリーかと思ったら、昔、お父さんがつくったものだとわかりました。素朴さの中に実用性と芸術性を兼ね備え、インテリアとしても楽しめる」。そんな作品を今回はサラダサーバーとして、瀧口さんに依頼したそうです。
「あれは父が母のためにつくったものでした。母は左利きなので、ヘラの反り具合が左利き仕様になっているのです。僕も今回、使ってくださる人たちのことを考えながら1本1本、つくりました」と瀧口さん。今回はもともとアイヌの人たちが使うことのなかったバターナイフにも挑戦。デザインはシンプルですが、持ち手の部分にアイヌの文様が彫られています。
郷右近富貴子さんは、祖母の遠山サキさんからアイヌの手仕事を受け継ぎました。サキさんはアイヌ文化伝承者として、各地で手仕事の講座を開くなど、熱心な活動でも知られている女性です。
「子供の頃から祖母の家に行くといつも、“ほら私がやっているのを見て、手仕事覚えなさい”と言われ、姉と一緒に習っていました。アイヌだからというよりも、女性の仕事として覚えておけ、という感じでしたね」と富貴子さん。
二十代の頃に初めて自分で完成させたというエムシアツ(刀下げ帯)は、アイヌの男性が儀礼の際に刀を身につけるための帯。オヒョウという木の内皮やイラクサという草などを材料にして糸をつくる作業から始めるので、完成までかなりの時間を要します。
「せっかくエムシアツのつくり方を覚えたので、次は同じ手法でもっと普段から使えるものをつくってみたいと思いました。それでブレスレットをつくってアイヌの作品展に出品したら、入賞して……。ばーちゃんに報告したら、よくやったなと、すごく喜んでくれました」と富貴子さん。
その後も幾つかブレスレットをつくり、自分の作品として店のショーケースに展示していたところ、2年前に北村さんとエリスさんの目に留まったのです。
「地元の山に材料を採りに行き、長い時間と手間をかけてつくられる富貴子さんのブレスレットは、まさに阿寒の大自然の営みがそのまま編み込まれているようです」と北村さん。
オヒョウの木の皮やイラクサ、ツルウメモドキなどの植物からつくった糸をベースに、草木染めの木綿糸を加えて編みあげる富貴子さんのブレスレット。祖母のサキさんが好んで使う伝統的アイヌ文様を含めて、数種類の柄が完成しました。
「苦心したのは留めの部分です。自分自身でつくっている段階でも、どうすればスマートにかっこよくできるかというのが悩みの種でした。それが今回、北村さんとエリスさんと話し合いを重ねながら試行錯誤した結果、シカの角をボタンにして使うことで見た目も良く、とても留めやすくなりました」。
「シカの角を使うのは北方民族のサーミ族のブレスレットがヒントになっています。エゾシカを素材とすることで、北海道らしさもさらに加わりました」と北村さんが続けます。
阿寒湖畔から国道140号線を東にクルマで約5分。木々の緑を背にしたウッドハウスが見えてきます。シルバージュエリー作家のAgueこと下倉洋之さんは、アイヌに魅了されて阿寒湖に通い詰め、6年前に東京から家族と一緒に移住してきました。
「アイヌ文様をもとにしたデザインのシルバーアクセサリーは、自然とともに暮らすアイヌの人たちの豊かな精神性を感じさせます」と北村さん。
「アイヌの文化に惹かれて毎年のように北海道に遊びに来るうち、阿寒湖にすごいクマの木彫家がいると聞いて、初めてここに来たのが1999年。それが藤戸竹喜さんとの出会いでした。彼の木彫りのクマに衝撃を受けて、なぜか僕は“いつかこの作品を倒す”と思ってしまった。それで1年間、自分の作品づくりを頑張って、翌年また藤戸さんの作品を見に阿寒湖に来て、また打ちのめされて帰って作品をつくって……ということを毎年やっていたんです」とAgueさんが振り返ります。
奇しくも藤戸さんに出会う前から、オリジナルのクマのリングをつくっていたAgueさん。藤戸さんに挑むべく毎年、それをブラッシュアップさせながら、他の作品づくりにも励んでいったそうです。また、99年にはさらなる出会いも。
「東京で知り合った女性がアイヌの人で、なんと阿寒湖アイヌコタンの出身だったのです。それがいまの妻……。やっぱり僕は導かれていたのかもしれません(笑)」
20年間、節目節目でつくっているクマのリングは、Agueさん自身の思い入れもひとしおです。
「今回は、カジュアルに普段づかいいしやすいように、毛並みを抽象化した、面取りのような仕上げにしていただきました。クマはアイヌの人々にとって偉大な神のひとつ。Agueさんはそれを意識的に表現しているわけではないけれど、大切に思う心がしっかり宿っているように思いますね」と北村さん。
つくり手、そしてアイヌの伝承者として。
今回のプロジェクトに参加している阿寒湖のつくり手さん5名の中に、ひと組の姉妹がいます。それが下倉絵美さんと、先ほど登場した妹の郷右近富貴子さんです。富貴子さんも話していたように、二人は子どもの頃から祖母の遠山サキさんにさまざまな手仕事を教わりました。さらに、アイヌの舞踊や民謡も。絵美さんと富貴子さんはカピウ&アパッポというユニットを組み、アイヌのウポポ(民謡)を歌う活動も続けています。カピウはアイヌ語で「カモメ」、アパッポは「花」を意味しています。また、今回、絵美さんはアイヌに伝わる「チタラペ」(儀礼用のゴザ)の手法を使って新たにバッグを制作しました。
チタラペは水辺に生える植物、ガマの茎を編んで作るゴザで、主に敷物として使われます。染めた木の皮などを編み込んだ模様入りのチタラペは、「チセノミ」(家の竣工祝い)や「イオマンテ」(クマの霊送り)などの儀礼に使われてきました。
「もともとフラットな平面のものを、バッグのような四角い立体にしてもらうのにいろいろと工夫が必要で、絵美さんにはいくつもサンプルをつくっていただきました。おかげさまでとても美しいものが出来上がりました」と北村さんも大満足。
「ガマを編んで立体にするということでは、アイヌでは昔から枕がつくられていましたが、自立して置くことができるバッグは初めての試みでした」と絵美さん。
実は絵美さんはジュエリー作家Agueさんの妻であり、Agueさんの作品のアイヌ文様のデザインなども手がけています。
「日常的に家事や子育てに追われる中で、今回のバッグ制作にも挑戦していただいて、時間のやりくりは本当に大変だったと思います」と北村さん。
かたや絵美さんは、とても新鮮で楽しい時間だった、といいます。
「一番悩んだのは、持ち手をどうするかということ。お二人が阿寒にいらっしゃるたびにああしよう、こうしようと話し合って……。手にした時のちょうどいいサイズ感なども教えていただいて、とても勉強になりました。また、材料のガマを自分で調達するところから始めたので、植物が育つ環境がものづくりにいかに大切かということを、改めて真剣に考えるようになりました。今回の仕事を通していろいろな気づきをいただいたと思っています」
アイヌの伝統的な衣服にはさまざまな文様が刺繍されています。刺繍は代々、女性の仕事として継承されてきました。鰹屋えりかさんも、子どもの頃から祖母や母が刺繍をする姿を見てきたといいます。
「私の母は踊り手として舞台に立つことも多かったのですが、控室でもよく刺繍をしていました。私の着物にもよく刺繍をしてくれました。きれいだなと思って自分でもやってみたのは、17歳〜18歳の頃でしたね」と話すえりかさん。
北村さんは初めてえりかさんの刺繍を見たとき、その色づかいに魅了されたそうです。
「小さな小物入れでしたが、優しいけど力強い色合いがとてもいいなあと思いました。今回はライナーコートと巾着袋に刺繍をしていただきました」
巾着袋は、フェニカのイメージカラーであるインディゴと藍色、さらに生成りの古い風呂敷、という3種類の生地に刺繍を施したもの。ライナーコートはアイヌのアットゥシ(オヒョウの木の皮から作った糸で織り上げた着物)からインスピレーションを得て、刺繍入りのテープ飾りが付いています。
「コートに使うテープの生地は初めて経験する固さで、針を通すのがなかなか大変でした。指を保護する指貫を使うことも考えましたが、そうすると普段の指の感覚ではなくなってしまうので、それはしたくなかった」とえりかさん。北村さんも「まさにひと針ひと針、思いを込めてつくっていただきました」と話します。えりかさんの小学生の娘さんも、最近、刺繍に興味を持ち始めたのだそうです。
「私も祖母や母に教えられたように、自分の子どもにも教えていきたいと思っています。祖母や母がよく使った模様に自分のアイディアを組み合わせて新しい模様をつくったりすることもあるのですが、娘もそうやって自分の刺繍をつくってくれたらいいなと思ったり……まだちょっと早いかな(笑)」
刺繍の鰹屋えりかさんも、下倉絵美さんや郷右近富貴子さんのように、アイヌ舞踊の伝承者として、地元の小学生に指導をしたり、イベントに出演するなどして活躍しています。
「阿寒湖のつくり手さんは、みなさん本来の仕事をもちながら、今回の作品づくりに時間を捻出していただいて、そのなかでこれほどクオリティの高いものをつくり上げていただいたことに心から感謝です」という北村さん。こうして完成したアイヌのクラフトが、10月12日(土)から東京・新宿のビームスジャパン 5F「fennica STUDIO」に勢揃いします。会場で、それぞれの作品をぜひ手にとって、アイヌの手仕事の技術の高さ、奥深さを感じてください。
※続く後編(10 月10日公開予定)では、完成したアイヌクラフトのアイテムを詳しく紹介します。
アイヌ クラフツ 伝統と革新-阿寒湖から-
新宿「ビームス ジャパン」5Fの「fennica STUDIO」と「Bギャラリー」にて、アイヌ文化を紹介するイベントが行われます。アイヌ クラフトの新作展示とともに、アイヌ音楽のライブやトークショーも期間中に予定。
開催期間:会場によって異なります。下記をご参照ください。
fennica STUDIO/2019年10月12日(土)から10月20日(日)まで
Bギャラリー/2019年10月12日(土)から10月27日(日)まで
開催場所:新宿「ビームスジャパン」5F「fennica STUDIO」「Bギャラリー」
新宿区新宿3-32-6 5F
TEL:03-5368-7300
営業時間:11時〜20時
不定休(会期中は無休)
①アイヌ音楽・ライブイベント
日時:10月13日(日)18時~18時30分
出演:Kapiw & Apappo(カピウ&アパッポ)
会場:ビームス ジャパン 5F Bギャラリー
予約定員制:先着30名様(無料) 
※ご予約はBギャラリーまで(Tel:03-5368-7309)
②トークイベント
日時:10月20日(日)18時〜19時30分
会場:ビームス ジャパン 5F Bギャラリー
ゲスト:下倉洋之(彫金作家)、瀧口健吾(木工作家)、鰹屋エリカ(刺繍作家)
北村恵子、テリー・エリス(共にfennicaディレクター)
予約定員制:先着30名様(無料) 
※ご予約はBギャラリーまで(Tel:03-5368-7309)
https://www.pen-online.jp/feature/culture/ainu_cfafts/2

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白糠に残る文化 次世代へ

2019-10-07 | アイヌ民族関連
北海道新聞10/07 16:00

クジラの恵みに感謝する古式舞踊など独自色
 【白糠】クジラの恵みに感謝する古式舞踊「フンペリムセ(クジラの踊り)」など、独自のアイヌ文化が残る白糠。2018年4月から白糠アイヌ協会会長を務める天内(あまない)重樹さん(34)は、「白糠に残る文化を次の世代に伝えたい」と奮闘している。(光嶋るい)
地元協会、天内会長 「自然とできるように」
 9月1日、町馬主来(パシクル)の海岸などで行われた「フンペ(クジラ)祭」。町中心部のアイヌ文化拠点施設「ウレシパチセ」で行われたカムイノミ(神々への祈り)に続き、施設から車で10分ほどの所にあるフンペリムセ発祥地碑が立つ海岸で白糠アイヌ文化保存会のメンバーが古式舞踊を奉納した。中でもフンペリムセでは、カラスの鳴き声で浜に打ち上がったクジラに気付いたおばあさんがクジラを解体し、カラスにも肉を分け与える様子を表現。自然や先祖へ祈りをささげた。
 「まだまだ未熟だけど、気持ちを込めてやっています」と話す天内さん。昨年4月、33歳の若さで会長に就任した。アイヌ民族の祭事で祭司も務めるようになり、他地域のアイヌ協会のほか、10、20代のおいや知人の支えを借りながら、白糠アイヌの伝統を次の世代につないでいる。
 アイヌ民族の精神やしきたりは祖母と過ごすうちに自然と身に付いた。「『いただきます』のあいさつは練習して身に付けるのではなく、大人をまねすることで自然とできるようになるもの。アイヌ文化もそうして伝えていきたい」。天内さんは力を込める。将来的には伝統漁具「マレク(もり)」を用いるサケ漁に子どもたちを参加させる「食育」の実施も思い描く。
 白糠町は国のアイヌ政策推進交付金事業を活用してチャシ跡やアイヌ三大祭の情報発信を行うほか、子どもの学力向上や異文化交流などを支援する。「エカシ(長老)やフチ(おばあさん)はひどい差別に遭ってきた。新法は(アイヌ民族の理解を促す)一歩でしかない」。天内さんは、子どもたちにアイヌ文化を伝えつつ、アイヌ民族が暮らしやすい社会を目指す。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/352286

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<訪問>「熱源」を書いた 川越宗一(かわごえ・そういち)さん

2019-10-07 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/06 05:00
主人公は実在の人物 樺太や道内舞台
 昨年、松本清張賞を受賞したデビュー作「天地に燦(さん)たり」は、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に薩摩の侍と琉球王国の密偵、朝鮮の被差別民が悩みながら己の道を見つける壮大な群像劇だった。「前作同様、作家になる前から頭にあった話」という本作は、サハリン(樺太)や北海道を主な舞台にしている。故郷を追われた樺太アイヌやロシアにあらがうポーランド人が、懸命に生きる姿を史実を土台にして描いた。
 主人公は道内ゆかりの実在した人物2人。幼少時に樺太から対雁(ついしかり)(現江別市)に強制移住させられたヤヨマネクフ(山辺安之助)は「立派な日本人」になるための教育を受け、憧れの女性と家庭を持つが、疫病で妻を含む多数の同朋(どうほう)を亡くし樺太へ戻る。一方、ロシア皇帝暗殺計画に関わったとして樺太に島流しされたポーランド人ピウスツキは、苦役にあえぎながらギリヤーク(ニブフ)や樺太アイヌなど少数民族に興味を持ち、民族学の道に足を踏み入れる。2人は樺太で出会うが、日露戦争など時代の波にのみ込まれていく。
 きっかけはまだ小説を書くつもりがなかった5年前、胆振管内白老町のアイヌ民族博物館(現在は閉館)を訪れたこと。敷地内にアイヌ民族の女性と結婚した民族学者ピウスツキの碑があるのを見て興味を持ち、彼が録音したろう管に南極探検隊に参加した山辺の声が吹き込まれていることも知った。「自分たちとじかに歴史がつながっている気がして、鳥肌が立った」
 執筆で肝に銘じたのは、異なる文化を持つ樺太アイヌやギリヤークをむやみに神聖視しないこと。「自分たちと同じ一人の人間として悩み、立ち向かう姿を書きたかった」と話す。
 1978年大阪生まれ。現在は会社員として京都で働きながら執筆するが、若いころは大学を中退し、バンド活動に力を入れていた時期も。前作も本作も、境界線上に立つ弱者が必死に生きる姿を描くのは「自分自身がそうなっていてもおかしくなかったから。今後もそういう話を書いていきたい」。
東京報道 大原智也
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/352186

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アイヌ遺骨を再埋葬 北大で一部発見の3体 浦河 /北海道

2019-10-07 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2019年10月7日 地方版
 日高地方のアイヌ民族でつくる「コタンの会」は5日、北海道大の医学者が昭和初期に浦河町のアイヌ墓地から持ち去った3体の遺骨の両手と両足の骨を再び埋葬した。3体を含む16体は2016年と17年に既に再埋葬しているが、北大の調査で新たに一部が見つかったという。
 北大で一部が見つかった3体は、成人の女性1人と男性2人の遺骨。北大の長谷川晃理事・副学長が浦河町の杵臼生活館で遺骨を引き渡した。長谷川副学長は記者団に「これからも誠意を持ってご遺骨の返還に…
この記事は有料記事です。
残り336文字(全文559文字)
https://mainichi.jp/articles/20191007/ddl/k01/040/009000c

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先住民の英知から気候変動まで 札幌で知られざる食文化を学ぶ

2019-10-07 | 先住民族関連
OVO  2019年10月7日

 25カ国の先住民族と食の専門家たちが北海道・札幌に集い、先住民族の英知から気候変動や持続可能な未来について学ぶ「先住民族テッラマードレ アジア・環太平洋 in アイヌモシリ」が、10月11日~14日までの4日間、札幌市アイヌ文化交流センター サッポロピリカコタンで開かれる。
 「先住民族のフードシステム:気候変動と持続可能性」というメインテーマのもと、分科会では、先住民族の料理人と日本人シェフが食の未来を語り合うセッションや、先住民族ツーリズムについての課題など、10テーマについて話し合う。ワークショップでは、アイヌ野草採取ツアー、海女料理のレクチャーなど、自然の恵みを大切にしてきた先住民族の食文化を、気軽に楽しく体験することができる。目下、ワークショップや分科会の参加申し込みを受付中だ。 参加費は分科会が各500円、ワークショップは教材代込みで500~1500円。
先住民族テッラマードレ 分科会リスト
分科会1:地球を癒す叡知-気候変動と先住民族
分科会2:言語と食文化の関係性-失われつつある先住民族の言語をめぐって
分科会3:“スーパーフード”の裏側で-ライフスタイルの変容と伝統食
分科会4:エコ “カルチュラル” ツーリズムの時代-<先住民族×観光>への期待と課題
分科会5:Land Rights Now! -この土地は誰のもの?
分科会6:伝統食を次世代へーシェフの新たな社会的役割
分科会7:2つの世界を往き来する-先住民族の若者たちの今
分科会8:女性たちの目覚め-伝統食の継承と発信の担い手として
分科会9:祈りとともに-食文化における精神性
分科会10:味の箱船-生物多様性を守り継ぐために
先住民族テッラマードレ ワークショップリスト
★ナバホ族の先住民族料理~北アメリカ3姉妹ストーリーを添えて
★琉球・アチコーコーの島豆腐づくりワークショップ
★アルタイ山脈の先住民族料理・テイスティングワークショップ
★文様に込められた想い~アイヌ・伝統工芸ワークショップ
★古き道は新しき道~グアム・チャモロ料理ワークショップ
★韓国・済州島の海女「ヘニョ」の伝統料理ワークショップ
★星澤幸子先生のアイヌ料理ワークショップ
★ニュージーランド・先住民族フードの世界へようこそ!
★琉球・伝統民具「クバ細工」ワークショップ
https://ovo.kyodo.co.jp/news/culture/a-1359473

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(3) カムイト 伝承残る神の湖 雲が懸かると白老に雨

2019-10-07 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/10/7配信
 白老町虎杖浜の名前は、アイヌ語地名の「クッタルシ=イタドリの多いところ」から付けられました。現在は、「クッタラ」というアイヌ語を日本語に訳し、その意味の「イタドリ」を漢字に直した「虎杖」が使われ、「クッタルシ」は土地の名前としては使われな…
この続き:744文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/feature/ainugotimeiwoarukusiraoi/3535/

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今年も北海道に帰ってきました! 故郷の川を遡る「神の魚」たち

2019-10-07 | アイヌ民族関連
現代ビジネス 10/6(日) 21:01配信
川を遡上する前に、河口で体を慣らすサケたち
 北海道増毛町では、10月に入ると、多くのサケが川に戻って来ます。
 河口近くの海岸で体を真水に順応させてから、川に遡上するので、波打ち際には多くのサケが集まります。
 波が押し寄せると、波の中でひしめくように泳ぐ姿を観察することができます。
 河口から上流へと遡上したサケは産卵が終わると、そこで生涯を終えます。
 そのサケを狙って、ワシやタカ、カモメやカラス、そしてヒグマなど、多くの野生動物が集まります。
 また、アイヌの人々は、サケを「カムイチェプ(神の魚)」と呼び、主食として、生活必需品(服や靴など)の材料として大切にしてきました。
 北海道の川で生まれ、その川に戻って命を終えるサケたちは、北の大地の人々や多くの動物たちの命を育んできたのです。
 命が繋がる瞬間です。
佐藤 圭
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191006-00067563-gendaibiz-sctch

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