ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

寝ている紫水晶

2017-06-02 11:49:42 | 日記・エッセイ・コラム
石の店をやっていると、時たま、変なものに出くわす事があります。それが今日の写真です。



これは、先日、出張販売をしてくださる石の問屋さんから仕入れた紫水晶の群晶です。それは数多くのクラスターの中にひとつだけ混ざっておりましたので、興味深く思い仕入れました。それほど高価なものではなかったので、軽い気持ちで選びましたが、後から、それをじっくり観察してみると、普通の紫水晶の群晶とは違って、奇妙なことに、そのほとんど全ての結晶が寝ているのです。変なものだと思いました。

普通の紫水晶は柱面が短く、それらは立っている事が多いと思います。紫水晶の結晶はほとんどがそのようなタイプだと思います。透明の水晶なら、細い両錐のものが、稀に、クラスターの中で寝て付いているものを見かける事があると思います。紫水晶の場合はなぜか細長いタイプのものが少数派で、そういう理由からなのか、結晶が寝ているものは珍しいと言えます。しかも、今回のものは、ほとんどの結晶が寝ています。そして、柱面が上を向いているせいか?妙にテカって見えるのです。奇妙な紫水晶だと思いました。

今回の仕入れではそれ一個しかなかったのですが、そのような奇妙なものが存在する、という事は、他にもあるはずだ、と思い、Webの画像検索で探してみました。ところが、そのような変なものは中々見つかりませんでした。そして、何度かキーワードを変えてみたりして画像検索を繰り返していると、ようやく1件だけ写真が見つかりました。それはどうもパワーストーン系の店のブログの写真でした。その事自体があまり面白くないと思いつつも、そのような変なものが他にもあったという事自体には、なぜか少し安心してしまいました。それは、そういうものもあり得る、という事です。

そうなると、それがどうして寝ているのか?という疑問が湧いてきます。何かの原因で、成長過程でそうなったのです。

その謎を解く一つのカギはその表面に残されております。最初の写真の左上の方に何か白い鉱物が付着しています。



上の写真はその部分の拡大写真です。その白い鉱物はどうも方解石のように見えます。紫水晶と方解石の共生はよくあるパターンです。

その様を見ていると、一つの仮説が導き出されると思います。

それは紫水晶が結晶成長する時に、先にあったであろう方解石が紫水晶の成長を阻害したのであろう、と思われます。普通に成長するスペースを失ってしまった紫水晶は、やむを得ず寝てしまった、という過程があり、その後、何らかの理由で方解石は溶けてしまって、このような様が残ってしまった。白い方解石のカスのようなものはその残骸であろう、と言うようなストーリーです。

もし、このような仮説が正しいとしたら、これも一種の成長干渉(グロース・インターフェレンス)水晶と言えるものなのかもしれません。

今日も紫水晶で方解石という「見えないものを見る」想像でした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 見えないものを見る | トップ | コマチアイト »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事