ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

相似

2014-09-26 12:39:29 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「相似」です。「相似」という言葉は、このブログでは過去11回登場しておりました。(このブログの更新回数は知らない内に700回を超えておりました。)意外に少なかったような気もしますが、「相似」という現象は面白く、そして気になる現象のひとつでもあります。

「相似」とは互いに似ていることです。

先日、店にあるひとつの方解石の標本を見ていると、それによく似た鉱物写真の事を思い出しました。それは2009年度版の「Garnet」というアメリカ製の英語版カレンダーにあった写真です。(私は鉱物カレンダーもお気に入りで、それらは捨てずに取っといてあります。)その写真はこれです。

Photo_4
ツァボライトというタンザニア産の灰礬柘榴石(Grossular)

そして、店にある方解石の写真がこれです。

Photo_2
中国 広西省 佛子沖鉱山 産 方解石(Calcite)

どうでしょうか?何となく似ているような気がします。方解石は三方晶系の鉱物で柘榴石は立方晶系の鉱物なので両者が互いに似ている事が何となく不思議な感じがします。ただ、方解石の結晶形態のバリエーションは非常に多く、その外形は何にでも似てしまう事が多々あります。今回の「相似」の現象もそのようなケースのひとつと考えられます。そして、それらはどうも接触双晶しているようです。

双晶は鉱物の結晶外形に多様性をもたらします。今回の「相似」現象の背後にあるものはどうやら「双晶」にあるようです。

多くの鉱物を見ていると、これまでにも多くの「相似」を見て来ました。ある時はまるでトパーズのように見える水晶だったり重晶石だったり、またある時はまるで柘榴石のように見える電気石だったり磁鉄鉱だったり、鉱物の世界での「相似」はそれほど珍しくはありません。

それは珍しい現象ではないのかも知れませんが、「相似」関係にある両者を並べると、非常に面白い、と思います。何が面白いかと言うと、本質的に違うもの同志が似る事が面白いのです。

この「相似」現象は鉱物だけの事ではありません。生物の面白い「相似」現象のひとつに「擬態」という現象があると思います。生物の「擬態」には生物ならではの生存という目的があって、それはある意味、理に適っています。ただ、そのような「擬態」の背後には何らかの「意図」のようなものを感じざるを得ないのですが、それが何であるのかは分かりません。

以前、このブログでは「キノコのような鉱物」(2012.11.27)の時に鉱物と生物との「相似」の事を書いておりました。いずれにせよ、自然界の「相似」現象は面白いものだと思います。

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