ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

対角線

2018-06-15 12:15:51 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「対角線」です。ひとつ前のブログ「砂時計」で砂時計構造の写真を撮りたかったカナダ産の透石膏の写真は、このブログの「石膏2」(2013.02.02)に自然光で撮ったものが出ておりました。その写真を見ていると、菱形の面に対角線のような線が写っておりました。鉱物の結晶と対角線、これは興味深い現象だと思います。



上の写真は奈良県天川村のやや大きめのレインボーガーネットの菱形12面体結晶を勾玉製作の名人であるOさんに磨いてもらったものです。その菱形の面に対角線のような構造線が見えると思います。これは立方晶系の鉱物ならではの特徴だとは思いますが、自然のままでは見えなかった構造がその表面を磨くことによってはっきりわかるようになり、面白いと思いました。

この現象はカボション等に磨かれたトリ・アスター(俗にベンツマーク)やテトラ・アスター(Xマーク)とは全く別の構造線であり、それらとは違った面白さがある、と思います。

他にも対角線のある鉱物があると思いますが、やはり、鉱物の面白さのひとつは、鉱物の持っている幾何学的な構造だと思います。

ところで、対角線と言うと、鉱物以外に気になった事が三つあります。

まず、最初は数学者ゲオルグ・カントールの対角線論法でしょうか。カントールの対角線論法によって、無限には濃度の違いがある事が証明されました。哲学的にはわかったようでわからなかった無限という概念が数学的にその性質がはっきりわかるようになり、集合論を発展させました。

それから、「石が書く」(古書の値段、高過ぎ!)で有名なロジェ・カイヨワの対角線の科学でしょうか。人間界と自然界の両方の現象の背後に潜む法則・原理を取り出しうる、という考え方に共感します。

最後は非常にマイナーですが、高校の大先輩にあたるオクヤナオミ(画家)の著書「対角線上の異邦人」(水音社 2003年)でしょうか。私は2005年に小松市立本陣記念美術館で開催されていた「現代美術の行方 オクヤナオミ寄贈作品からみつめる」という特別企画展を見に行きました。その展示会でオクヤナオミの幾何学的な抽象画を見ました。そして、その展示会に刺激され、「対角線上の異邦人」という本も読みました。その本は美術を数学で、数学を美術で表現することを目指し、視覚表現作品を生み出してきた著者による断章形式のエッセイ集でした。そのアフォリズム的な文章には多義性が読み取れ、作品以上の興味が湧きました。

対角線。これは私にとって、数学的、思想的、美術的なものであると同時に、鉱物的にも気になる存在です。

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