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鉱物の部屋へのいざない

コンクリーション

2016-09-16 14:37:08 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「コンクリーション」です。(このブログでは過去に4回「コンクリーション」という言葉が出てきた記事がありました。タイトルとしては初登場です。)

先日来、TVのニュースやワイドショーでは東京都の豊洲市場移転延期問題が大きな話題となっていますが、昨日のニュースで石原元知事が土壌汚染対策として地下にコンクリートの箱を埋める案に言及していた事が発覚しました。今後さらに大きな問題になっていくような予感がします。

さて、私の関心事はそんな問題ではありません。コンクリートではなくコンクリーションです。

奇しくも、ちょうど1年前の9月15日、英国「Nature」出版社の国際学術誌「Scientific Reports」(電子版)に興味深い論文が掲載されています。その概要は「従来の化石形成速度の概念を覆す!生物遺骸を保存する球状コンクリーションの形成メカニズムを解明」というタイトルで名古屋大学と岐阜大学のPress Releaseにあり、それは今でもWeb上で見る事ができます。

興味深いのは、ノジュールと呼ばれる球状塊(コンクリーション)の生成メカニズムを解明した事と同時にその形成速度が数週間から数か月以内という驚くべき速さであったという事実です。それは従来の数十万年、数百万年オーダーという時間がかかる化石形成速度が実は非常に速い炭酸カルシウムの農集・沈殿メカニズムによって完成する、という従来の認識を塗り替えた研究成果です。これは地質学的時間概念の常識を新たにしなければならない大きなパラダイムシフトだと思いました。

思うに、鉱物の結晶生成速度も認識を新たにしなければならないケースもあるのかもしれません。

さて、今日の写真です。

現在、まだ店に残っている(お取り置き中のものも含めて)コンクリーションと呼べるものを2点出します。

最初はロシアのボルガ川で採れる黄鉄鉱コンクリーションです。







美しい半球状の泥コンクリーションの断面に美しいレインボーパイライトの微細結晶が張り付いています。歪なコンクリーションのものが多い中で本品は形・色共に魅力的だと思います。

次は産地不明(恐らく国産)の玄能石のコンクリーションです。玉ねぎの皮のように多層の泥の膜で球状になっておりますが、恐らくその中には手裏剣状の玄能石が埋まっていると思われます。このコンクリーションを半分に切断してみたい思いがありますが、これはそのままの方が良いような気もします。







そう言えば、先日のNHK Eテレ「サイエンスZERO」で見た南鳥島沖海底5500メートルで密集している球状マンガンノジュールもコンクリーションの一種だと思われます。それは海水や海底に含まれるマンガンやコバルトやニッケルなどのレアメタルの成分が集まり海流が動くことで球状になったと考えられているそうです。海流が動く事で球状になるというメカニズムには球状のマリモの形成メカニズムを思い出します。さらに、そこには海底火山の絶妙な配置と海洋プレートの移動という長い時間が係っていたそうです。

同じコンクリーションでも様々でその時間的長さも様々なのだろうと思いました。

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2 コメント

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Unknown (山田英春)
2016-09-20 11:28:50
こんにちは。私も先日名古屋大学の論文のサマリーを興味深く見ました。このボルガ川のものは青い色が入っていて綺麗ですね!
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Unknown (MM)
2016-09-20 12:22:05
山田英春 様
コメント、ありがとうございます。
そうですか!私も興味深い論文だと思いました。タイミングが合いますね。
このボルガ川のものは昨年の池袋ショーでロシア人から仕入れたものです。最終日でしたが、よく残っていたと思います。これは現在、東京の学生さん(金沢出身)のお取り置きとなっているものです。色・形ともに気に入って仕入れました。
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