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鉱物の部屋へのいざない

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かぶりもの2

2016-07-26 12:33:03 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「かぶりもの2」です。過去に一度「かぶりもの」(2012.11.12)というタイトルで書いておりましたので2となります。

その過去の記事を久しぶりに読んでみると、今更ながら面白い事に気づきました。それはその記事に出した二つの写真の鉱物は既に売れてしまっているのですが、売れた時期は異なっているものの、購入者は同一人物だったという事です。それはその持ち主があらかじめ決まっていたと言うような予定調和的な事実です。その事実に気づいて、私もうれしくなってしまいました。

さて、今日は「かぶりもの2」です。今日の写真は先日の名古屋ミネラルショーで仕入れてきたインド産の魚眼石です。





上の二つの写真は丸くないオーケン石に多くの多面体状の魚眼石の単結晶が覆いかぶさるように張り付いております。その姿は何となく不思議なキノコのような形状にも見え、二つの共生鉱物標本としても非常に面白いものだと思います。



上の写真は前のものとは違うもので、オーケン石部分が無くなって、かぶさっていた魚眼石部分が取れ残ったものだと思われます。この標本もある意味、非常に面白いものだと思います。この標本だけを見ると、それがどのようにして出来たのかを想像する事は非常に難しいと思います。この二つの標本を見ると、それらの共生関係や成因を類推する事が可能となります。そういう意味で、この二つの標本も対としてある事に価値があるような気がしてしまいます。

この二つの標本は同じ業者のコーナーから複数あったものの中から選んできたものです。その二つが揃っている事は私の選別という意図が働いているものの、それらは偶然に対となって来ました。

鉱物の共生に関しては過去に何度か書いた事があります。鉱物の共生には共生ならではの美しさと魅力があり、単一鉱物の単結晶やクラスターの魅力よりも一つで二度美味しいと言うような付加価値が付いて、その魅力は倍増します。

かぶりもの鉱物の魅力もそのような共生の一つだと思います。

最近になってインド産の魚眼石の多面体的な単結晶がくっついた集合体標本をよく見かけるようになったと思います。それはまるで空間最密充填の模型を見ているような面白さがあります。そして、今回の標本は丸くないオーケン石に覆いかぶさるように集合しております。

こういう標本を見ていると鉱物の世界でも生存競争があるような気がしてしまいます。それは空間を埋め合う競争で、密林の植物の世界と同じように空間を取り合っているように思えます。植物の世界ではつる植物の締め殺しの木があるように、鉱物の世界でも違う鉱物が後からコーティングして覆いかぶさり、最終的には仮晶として置き換わってしまう事があります。

今日の標本を見ていると自然界のひとつの摂理のようなものを感じてしまいました。


コメント
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