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鉱物の部屋へのいざない

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珪化木

2014-09-04 15:33:29 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「珪化木」です。このブログでは意外にも過去4回しか「珪化木」という言葉は登場しておりませんでした。タイトルとしても初登場となります。

このところ、落ち着いてブログを書ける機会が少なくなってきました。先週の土曜日は名古屋ミネラルショーに行ったり、他にも書いておきたい事があったりしたのですが、その機会を逸してしまいました。そんなこんなで、何について書こうかと迷った挙句、「タイムカプセル」からの流れで今日は「珪化木」とします。

昨日は定休日で、所用で小松に行ってきました。久しぶりに芦城公園に立ち寄り、それこそ何十年ぶりに公園内に置いてある巨大な珪化木を見て来ました。その芦城公園名物の珪化木は私の小さい頃からのお馴染みの存在で、それが木の化石である事を知るずっと前から、そこに存在していました。そこは、子供の頃の私にとっては、かくれんぼや缶けりなどの遊び場だったのです。昨日、あらためてその珪化木を見ると、今更ながらその巨大さに驚きました。それは巨石・巨岩信仰の対象になりうる程の存在感があると思いました。それは芦城公園のお宝的存在だと思います。それは雨ざらしの外に置いてあるのですが、元々自然にあったものです。これからも風雨にさらされて風化していくのでしょうが、人間的な時間の尺度では、大勢に影響がありません。その「珪化木」には、小さな芽から巨大な木に成長する時間と、その木が地中に埋もれ石に変化する時間と、人に発見され芦城公園に移されてから現在までの時間と、の様に、様々な複層した時間があります。

複層した時間と言うと、その昔、故関戸信次先生から面白い話を聞いた事を思い出します。それは珪化木でできた礫岩がある、という話です。確か、能登の方にその礫岩が存在する、という事でしたが、その礫岩の何が面白いかと言うと、そこには何重もの複層した時間があるからです。まず、植物の木に成長する時間があります。その木が珪化木に変化する時間があります。そして、その珪化木が岩ごと風化や浸食を受けて礫に変化する時間があります。また、そのそれぞれの礫は川や海などに流され丸くなり堆積します。長期に渡る続成作用でできた堆積岩としての礫岩は再度の風化や浸食を受け、最終的に珪化木でできた礫岩になるのです。

そのような「珪化木」には石の輪廻転生があります。面白いと思います。

そういえば、先日、神奈川県からの旅行者の男性が店に置いてあった流木に見える白い珪化木を購入されました。その男性はビーチコーミングが趣味とおしゃっており、当初は購入した珪化木を流木だと思ったらしく、それが珪化木だと知ると即決でした。その男性はその流木のような珪化木の複層した時間が気に入ったような事をおしゃっていました。

「珪化木」の魅力のひとつは化石になった複層した時間にあるような気がします。

コメント
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