ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【10月も毎週日曜日は休業します。】【10月19日(土)は店主は終日不在です。店は通常通り営業します。】

チワワ砂漠

2014-07-31 14:08:30 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「チワワ砂漠」です。以前から鉱物的に気になっていた砂漠です。

昨日、録画していたNHK-BSプレミアム「体感!グレートネイチャー 純白の砂漠 誕生の謎~北米大陸 チワワ砂漠~」を非常に興味深く見ました。番組ではホワイトサンズという純白の砂丘や奇妙にゆがんだ岩石地帯や硫酸でできた巨大洞窟などが紹介されていました。それらは奇跡の集積によって生まれた究極の奇観ともいうべき絶景の数々でした。

日本の自宅で、それもクーラーの効いた快適な環境で、灼熱の砂漠や危険な山の尾根や神秘的な巨大洞窟の内部の映像を見れる事に幸せを感じます。自宅のテレビは4Kテレビではありませんが、普通のハイビジョンTVでも十分満足できます。良い時代だと思います。

さて、その番組ではレイクルセロというセレナイトの結晶が地面に無数散らばっている映像が出て来ました。ホワイトサンズの純白の砂はそこから風で飛ばされてきたのです。壮大な地球の営みを垣間見たような気になりました。さらに後半に出てくるカールスバッド洞窟の映像も貴重なものだったと思います。その洞窟を象徴するモンスターという二つの巨大石筍はさることながら、洞窟の入り口付近で上から降り注ぐ光の筋の映像は圧巻でした。私も一度、北九州の平尾台の牡鹿洞で光の柱を見た事があります。それは非常に神秘的な光景でした。その時はカメラを持っていなかったので、その写真や動画を撮れなかったのですが、今回はTVで同じような光景を見る事ができたのでうれしかったです。

また、最後に登場したコットンウッド洞窟の石の華を想わせるジプサム・フラワーや波のようにウェーブする結晶、セレナイト・ニードルという細長い針状結晶とニードル・ネストという結晶集合体も興味津々でした。それと何と言っても長さ2m以上もあるジプサム・シャンデリアは圧巻でした。

Dscf3438_2

?Chihuahua Mexico 石膏(Gypsum)


Dscf3372

?メキシコ ナイカ鉱山 産 透石膏(Selenite)

石膏の巨大結晶と言えば、何と言ってもメキシコ(チワワ州)のナイカ鉱山産のセレナイトが有名ですが、結晶のタイプが違うものの同じような巨大さには何か共通するものを感じてしまいます。そう言えば、アメリカ・ニューメキシコ州のレチュギヤ洞窟の石膏の写真を見た事があるのですが、そのレチュギヤ洞窟の石膏の結晶にも形・サイズ共に似ていると思いました。それらの洞窟は比較的近い距離にあるようです。恐らく、同じような成因が影響しているのだろうと想像できます。

実は、それらの巨大洞窟や石膏の結晶は、およそ1500万年前に石灰岩地帯に地下から上ってきた火山活動と特殊な微生物が造り出した硫酸と言う副産物から生成されたようです。まさに鉱物と生物の共進化の産物なのです。そう言えば、メキシコのヴィラ・ルース洞窟のイエロー・ローズという硫黄の結晶集合体の映像も思い出します。そのヴィラ・ルース洞窟やイエロー・ローズも硫化水素を栄養源とするバクテリアが硫酸を生じ、その硫酸によって石灰岩が溶かされた結果できたものだったと思います。鍾乳洞を形成するのは水だけではないのです。面白いのはそこに微生物の生命活動が関与している事です。別の話ですが、黄鉄鉱化したアンモナイトの化石の生成にはある種のバクテリアが関与しているのではないか、というような話もあります。そのように考えると、この地球の大進化はやはり鉱物と生物の相互作用で成り立っている、という事が理解できます。

チワワ砂漠の映像を見ながら、鉱物と生物との営み、生きている地球の事を想いました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする