ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【9月も毎週日曜日は休業します。】

球体2

2012-06-21 13:15:47 | 日記・エッセイ・コラム

今日は球体2です。ずいぶん前に球体の話題を一度書いておりました。

今朝のNHK「おはよう日本」を見ていると、今度の土曜日にBSプレミアムで放送予定の「体感!グレートネイチャ 白亜の絶景 秘められた謎に迫る~カザフスタン~」の予告編を放送しておりました。その中で巨大な球体状の石が出て来ました。その球体状の石は「月刊 たくさんのふしぎ 石の卵」に出てくるニュージーランドのモエラキ村の海岸に転がっている「ドラゴンの卵」という石にそっくりです。さらに先日「世界ふしぎ発見」(カリフォルニア)で見た丸い石にもそっくりです。世界には至る所で巨大な球体状の石が発見されています。

Dscf9829

九頭竜川のノジュール

上の写真は店に置いてある九頭竜川のノジュールです。中には恐らく何かの化石が入っているように思われます。化石はノジュール状になって産出するケースが多いです。何かしらのコンクリーション作用が起きてその外形が球体状になっていくようです。洞窟の中に見られるケーブ・パールも同じような成長過程を取っているようにも思えます。

Dscf9748

ロシア ダルネゴルスク 産の菱鉄鉱(Sideraite)

菱鉄鉱の中にも球状結晶に成るものがあります。上の写真の菱鉄鉱を見ると、表面の雰囲気から一皮剥けた様子が見て取れます。この球状結晶は針状・放射状結晶によって出来る仕組みではなく、タマネギのような多層膜構造になっているように思えます。

Dscf9802_2

ブラジル ミナスジェライス州 Urcum鉱山産のストーク石(Stokesite)

これは錫とカルシウムを含む珪酸塩鉱物です。珍しい鉱物で直径1.5cm位の小さいながらもほぼ球状の美しい形をしています。その表面を見ると小さな結晶の集合体である事が分かります。どのような成因でこのような球体状になったのでしょうか?ストークス石はジョージ・ガブリエル・ストークスの名から来ています。ストークスは流体力学で貢献された物理学者であるので、もしかすると流体力学的な成因なのかも知れません。

球体には様々な成因が考えられます。

まずは針状・放射状結晶です。そういえば、雪の結晶も-五〇℃程度の気温で水蒸気量が極端に多い場合には針状・放射状結晶になるそうです。氷点下の世界は非常に面白いです。-259.1℃以下では水素分子も固体になるそうです。(因みにヘリウムは26気圧、-272.2℃で固体になるそうです。)

次に思いつく球体の成因としては「回転」でしょうか。ポットホールに出来る球形の石は「回転」で球体になっていきます。球体状の氷の話は氷のテーマの時に書いた気がしますが、恐らくその丸い氷も波の回転作用で丸くなったと思われます。

そして、タマネギのような多層膜状の成長です。

それから、液体的には表面張力があります。水銀やシャボン玉や無重力中の水滴等は球体になります。

ミクロ的には電子の形はほぼ球体であるとされています。

マクロ的に惑星や恒星は球体です。

世界は球体で満ちています。

ただ、完全な球体は存在しません。古代ギリシアの哲学者プラトンは「球形は最も完全な形である。」と言ったそうです。人間は可能な限り真球に近い球体を造り出す事はできますが、その精度がいくら高いとしても、それは完全な球体とは言えません。完全な球体はイデアの世界でしか存在しないのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする