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鉱物の部屋へのいざない

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ベスブ石

2012-06-11 11:51:25 | 日記・エッセイ・コラム

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メキシコ産 ベスブ石

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アメリカ カリフォルニア州産 ベスブ石

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ロシア ヴィリュイ川 産のベスブ石(ヴィリュイ石)

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長野県川上村甲武信鉱山産のベスブ石

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岐阜県洞戸鉱山産のベスブ石

今日はベスブ石です。

正直、ベスブ石はよく分かりません。最初の二つの写真の鉱物は比較的似ているので、当初私はベスブ石とはそのような鉱物だと思っていました。ところが鉱物コレクションを続けて行く内に様々なベスブ石と称した鉱物を見かけるようになりました。

ベスブ石の名前はイタリアの有名なヴェスヴィオ火山に因んでいます。ところが、それはアイドクレースという名で呼ばれることもあります。ギリシア語のEidos(見かけ)、Krasis(混交)に由来する名前で、他の鉱物の結晶と紛らわしいことに由来します。その名のままです。

三つ目の写真のヴィリュイ石は長らくベスブ石の変種とされていましたが、今では別の独立種とされています。

四つ目の甲武信鉱山のベスブ石はしっかりした結晶面が魅力的で、それでいて比較的安価な標本です。

最後の針状・放射状結晶の集合体は、私好みのまさしく石の華と言った趣のある岩体ですが、これもベスブ石です。

ベスブ石は主にスカルンのような接触交代鉱床や山岳性の熱水鉱床に発見される比較的珍しい鉱物です。大規模な地殻変動によって出来てきた日本列島では狭い国土の割には、各地で各種のベスブ石が発見されています。

今日のブログはベスブ石の話題にしたのですが、実はこれには訳があります。

一昨日の閉店間際に、ひとりの男性が店にいらっしゃいました。その男性はひととおり店を見歩いてから「緑色のベスブ石はありませんか?」と尋ねて来ました。一瞬で普通の人ではないなーと思いながら、上の写真の標本をベスブ石として見せました。するとその男性は「秩父鉱山あたりで採れると聞いている。」とおっしゃいました。私は残念ながら「今、ここには緑色のベスブ石はありません。」とお答えしました。

その男性は輪島からいらっしゃって、無名会の会員だったともおっしゃいました。

無名会、あの故・櫻井欽一さんが1933年に設立された鉱物同好会の事です。その男性は櫻井欽一さんから頂いた大型の岐阜県白川村・平瀬鉱山産の輝水鉛鉱の話やポケット図鑑「日本の鉱物」に載っている金沢市の倉谷鉱山の菱マンガン鉱の標本そのものをご覧になっている話等をしました。

やはり、石川県にも鉱物趣味の先輩がいらっしゃったのです。私はうれしくなって名刺をお渡ししました。その男性はお名前と連絡先をメモして下さりました。

それからすぐに閉店の音楽が鳴り始まり、すぐにその男性は帰られましたが、私は意外な来客に喜びを覚えました。

コメント
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