いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

火を着ける一歩を誰かが~村上市の活性化

2009-10-30 | Weblog
 昨日の地方自治経営学会の講演の中で、新聞記者や首長に混ざって自らの体験を披露してくれた、この方は秀悦だった。国土交通大臣認定観光カリスマ(そんな資格があったんだ)吉川真嗣氏である。

 吉川氏は昭和63年、早稲田大学を卒業後、平成2年に家業である「味匠 喜っ川」に入社。平成9年に地元商店街に大規模な近代化計画が浮上すると、「近代化で城下町の価値は失われ、町は衰退する」と、たった一人から、近代化反対運動に取り組んだ。ところが、近代化反対を叫べば叫ぶほど、商店街からは異端児扱いをされることになる。

 そこで、作戦をかえ、反対という否定的な言葉ではなく、古いものを活かし活性化していこうという風に訴え方を変えていった。その手始めが、一枚の手作りマップだった。村上の商店街の手作りマップへの賛同者を募った。無料なので、多くの商店が参加してくれた。

 次は、「町屋の公開」だ。村上の家屋は間口が狭く奥行きが長いのが特徴で、これを「町屋」と呼んでいる。家に一歩入ると、イロリや梁、大黒柱に神棚、仏壇など豪快な吹き抜け造りが現れる。これを、一般の人に公開しようとの取り組みだ。マップと町屋の公開で、村上に新たな観光客が来るようになった。

 さらに彼の挑戦は続く。家に伝わる雛人形や武者人形など江戸から現代までの人形を町屋で展示披露する「町屋の人形さま巡り」を企画したのだ。60軒ほどの町屋に人形と展示して、観光客が見てまわる、というイベントだ。ただ、見るのではなく、町屋の主人が人形の由来などを説明するのだ。

 吉川氏のすごいのは、その並外れた行動力だ。この企画を全国ネットで放送してもらおうと渋谷のNHKに、ノ-アポで出かけたそうだ。そこで、番組のプロヂュ-サ-に面会し、ついに全国放送を成し遂げたのだ。その効果もあり、このイベントには全国から3万人もの人が訪れたそうだ。その費用はしめて35万円。

 このように、古き町並みによる活性化が成功してくると、冷ややかだった「近代化推進派」も心を開いてkじゅれるようになり、ついには、推進派の市長をして「近代化中止」を宣言させてしまったのだ。

 彼のユニ-クな町おこしの企画は、多すぎて書ききれないが、そのひとつ「黒塀プロジェクト」は素晴らしい。せっかくの古い町並みがあっても、家屋の塀がブロックでは味気がない。そこで、市民に一人1000円で一枚の壁板を買ってもらう。それを、ブロック塀の上に打ちつけ、黒いペンキで塗る。これで小路を埋めていった。そして、いつの間にか、景観が変わった。

 以下、彼の観光への総括である。

景観が変わると、人々の心が変わった。観光に刺激を受けてまちづくりがすすみ、その結果観光客が来て町が活性化する、これが観光とまちづくりの大切な関係である。観光客増のみに気をとられ、観光の本当の良さを見失ってはいけない。観光客に媚びるのではなく、あくまで誇りある町をつくるという信念が必要である。観光政策が日本人の日本に対する誇りを高揚させる国づくりにつながり、世界の人からも評価を高め、国を富ます力になることを心より期待したい。

 そして、以下の最後の言葉には、思わず泣いてしまった。この男、なぜこれほどまでに、走り続けることが出来るのだろう。素晴らしい。

火をつける一歩を誰かが始めなければならない。行政が何かやってくれると頼むのではなく、自分が何が出来るか。それで町は変わる。理想を掲げるのではなく、目に見えることで示していくことが大切だ。

困難な問題、壁をクリアすると、また、次の壁が出てくる。それを越えるとまた新たな壁が立ち塞がる。もうだめだ、とあきれめないで挑戦していると、必ず壁の向こう側から、誰かが「これにつかまれ」と手を差し伸べてくれる。

 このセッションだけで、新潟まで来た意味があった。すばらしい学会研究大会であった。

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