いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

悪夢の本会議最終日

2011-03-12 | Weblog
  それは正に悪夢だった。昨日は大田区議会第一回定例会の最終日だたった。区役所10階にある本会議場で午後1時から、いつもどおり淡々と本会議がすすめられていた。午後2時すぎには、一人会派におる予算案に対する討論が行われており、野呂けい子議員の討論では、相当多くの理事者(お役人)が熟睡(いや熟慮)されていたので「起きろ!!!勤務時間中に寝るな!討論聞け!!」と野次った。

 本会議は、会社で言えば取締役会であろう。社長のいる会議で居眠りをこく取締役は、即刻解任だ。議会では、目をつぶって熟慮されていることが多い、教育行政のトップは相変わらず「本日も熟慮」だった。区立学校でも「熟慮している児童・生徒」が目立つのは、そのせいか‥(お前、犬伏だって熟慮してるか野次っているかだろ!by隣席の荒木秀樹議員)

 さて、私の討論の順番が来て、昨日の日記に書いた討論を議場で語り、その後各委員長報告が始まったその時である。区役所最上階にある議場が大揺れに揺れた。それは本当に「この世の終わり」のような激震だった。

 いままで議場の討論には無関心だった、各部課長たちの行動は早かった。区長、副区長らを残し、蜂の子を散らすように持ち場に走るのだ。残った議場で、暫し時間がたち、議長が「休憩」を宣言。議員は控え室へ。

 が、10階にある議会事務局や議員控え室は戦場のような有様だった。後で知ったのだが、区役所の1階や2階ではたいしたことはなかったようだ。免震構造なのか上層階はゆれが増幅されるらしい。

すべての引き出しが開いた事務局

 大きな余震が続くなか、議長が「幹事長らを招集」して善後策を協議しているが、その間にも余震が続く。議長が「延会」を宣言しないと、いままでの議決がすべて無効になってしまうそうだ。

 シナリオどおりの「円滑な議事進行」に慣れた、事務局や議員にとって「想定外」の事態への対応は、あくまで「規則どおり」。規則どおりであれば、幹事長会を開き、議会運営委員会を開き、そして、事務局が「議事運営のシナリオ台本」を書き本会議再開、となる。

 しかし、事態は緊急の非常事態である。対策本部の設置などがあり、お役人を議会に拘束するわけにはいかない。とにかく、議場に議員を集めて、議長が「延会」を宣言すればいい。「何やってんだ!緊急事態だぞ。幹事長会なんかやってる場合じゃない。早く、議長が宣言しろ!」思わず怒鳴ってしまった。(反省!)

 阪神淡路大震災の際、被災者を救助するため被災地に着陸しようとした陸自のヘリに対し、国土交通省のお役人が「ヘリポートではないから着陸はだめだ。」と、危険なホバリング(空中停止)を強要したり、被災者用に自衛隊が用意した簡易風呂を、神戸市保健所が「公衆浴場はお湯を循環させねばダメ」とクレームをつけた事案など、非常事態においては、法や規則よりも優先すべき事は何かを考えることが求めらる。

本落ちた議会図書室

 さて、相当の時間がたち「延会」が宣言された。私は、一目散に自宅に戻り「防災服とヘルメット」に着替え、地域を巡回した。区役所10階の悲惨さに比べ、低層住宅が多い地元では、目だった被害は見当たらなかった。そこで、地元の大田区特別出張所へ寄り、状況を確認。再度、区役所に戻った。

 区役所には、松原区長を本部長とする災害対策本部が設置され、本部会が開催されていた。また、迷彩服の自衛官も到着。日頃、議会や委員会で「いい訳」のような答弁を繰り返している、部長たちが「いい訳」が通じない「実戦」を前にして「真剣に」「前向きに」「積極的に」議論、提案する姿を目前に見て、大きな感動を覚えた。

 人々の生命、財産を守る、という最も基本的な行政の火急のミッションに対し、全員でそれぞれの持ち場の特性を活かして頑張る姿は、区民の一人として感謝、感謝である。先ほどまで「熟慮(熟睡?)」されていた姿とは全く違う一致団結した部長達の姿。素晴らしい!!!

 さらに、野田副区長の「それぞれの部長の判断に任せる」という言葉も、混乱した戦場の上級指揮官としてはベストの判断である。指揮系統が混乱している中、最前線の現場指揮官が最も状況を把握している。そこの判断を尊重するのは正しい。

 区役所を後にして、蒲田駅西口へ向かう。帰宅困難滞留者がそこらじゅうに溢れていた。まだ、大田区職員の姿は見えない。JRのシャッターには「避難所は工学院」と書いてあるが、銀行ATMなどに、多くの方が避難していた。そこで「工学院に避難所があります」と、さけんでまわった。

 東口にまわると、そこには大田区の腕章をした職員が4、5名見受けられた。「区民ホールに避難所がある」とアナウスしたほうがいい、と進言したが「聞かれれば答える」雰囲気だったのは残念。

 東口の避難所、区民ホールアプリコに向かう。先日、我が党の講演会を行ったばかりの場所だ。1500名収容の大ホールの客席にはすでに目視で800名近い人々が座っていた。防災担当課長の姿が見えたので「毛布があったほうがいい」と、専門家(彼女は消防庁の出向)に対し、なんとも僭越な進言をしてしまった。

 蒲田駅周辺は、区役所に近いこともあって、区職員が大勢対応している。そこでアプリコを後に、地元の六郷特別出張所に向かう。ここは、所長の判断で駅前にある出張所ロビーを避難所として開放していた。

 すでに数名の方がソファーに座っていた。なんと、カウンターの上には暖かいお茶とインスタントコーヒーが用意されているではないか。たかだかのことだが、有事にこのような配慮が出来る心遣いは素晴らしい。

 この出張所の近くには、第一京浜国道があり、20時半現在、その歩道は隙間のないほど神奈川方面へ歩く人々で溢れていた。これは、深夜に向かって疲労困憊した方々が、避難所に殺到する可能性がある。入り切れない事態を想定し、地元町会長を訪ね町会会館の鍵を借用して、所長に預けた。

 出張所隣の本屋さんのご主人は、自ら新橋から2時間かけて帰って来たのに、私と一緒に、駅で途方にくれている「帰宅困難者」に声がけをして、出張所に誘導してくれた。

 国道近くの飲食店のご主人は「難民割引」として、安価で飲食物を提供してくれた。また地元の電設会社社長は、避難所でテレビの映像が見れるよう、深夜にも関わらず配線材料を提供してくれた。

 定食屋の看板娘さんは「何か出来ることはないか」と、町会会館に避難民が来た場合のお茶いれや、おにぎり提供を約束してくれた。さらには、独居高齢者の家を安否確認に歩いてくれた町会役員さんなど、まさに「地域」の底力を見せつけられた夜だった。

 町会会館で、軽い夕食をご馳走になって、帰宅したのは、すでに日付が変わったころだった。しかし、まだまだ区職員さんたちは働いている。なかには、お子さんのいるお母さんやお父さんの職員さんもいる。一刻も早く家族のもとへ帰りたいだろう。しかし、家族より住民の安全確保のため働いている。日頃は、何かと対峙する立場だが、本当にありがたい。多謝!! 

***チェーンメールへのご注意byいぬぶし***

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