『出世できない孔子と、悩める十人の弟子たち。』(下村湖人原作、森久人著、Gakken)の元本、『論語物語』も続けて読みました。以前に読んでましたが、全く忘れていました。論語の難しい漢文を読むよりも、『論語物語』の方が論語の中身も深く知れますね。
出世できないというよりも、政治家として仕えることができない孔先生の態度にやきもきしている弟子に対して、
「目先の利益のために、世間に迎合してはなるまい。修めなければならないのは道じゃ。」
と孔先生は述べています。国主の政治的ブレーンになれば、名も広まり、思想家としての地位も上ります。しかし、本筋を離れないことの方が生き方としては大事であり、そのために貧しくとも、道を貫くところに意義があります。「君子は何があっても紊(みだ)れない」を肝に銘じます。
『論語物語』(下村 湖人著、講談社学術文庫、本体価格1,150円、税込価格1,265円)