語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】アルチュール・ランボー「永遠」 ~海と溶け合う太陽~

2015年06月05日 | 詩歌
 また見つかった、
 何が、永遠が、
 海と溶け合う太陽が。

 独り居の夜も
 燃える日も
 心に掛けぬお前の祈念を、
 永遠の俺の心よ、かたく守れ。

 人間どもの同意から
 月並みな世の楽しみから
 お前は、そんなら手を切って、
 飛んで行くんだ・・・。

 ・・・もとより希望があるものか
 立ち直る筋もあるものか、
 学問しても忍耐しても、
 いずれ苦痛は必定だ。

 明日という日があるものか、
 深紅の燠の繻子の肌、
 それ、そのあなたの灼熱が、
 人の務めというものだ。

 また見つかった、
 --何が、--永遠が、
 海と溶け合う太陽が。

□アルチュール・ランボー(小林秀雄・訳)「永遠」(『地獄の一季節』)
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【古賀茂明】戦争法案審議の傲慢と欺瞞 ~官僚のレトリック~

2015年06月05日 | 社会
 (1)安保関連法案の審議が始まった。
 憲法改正に匹敵する法律10本・・・・これらを政府は、「平和安全法制」という呼び名に「お化粧」した。
 これを野党が「戦争法案」と呼ぶと、安部総理は「無責任なレッテル貼り」と、わざと野党を挑発する。
 実は、これは自民党側の戦術なのだ。
 どうでもいいことに議論を誘導し、本質の議論を避けようとしているのだ。

 (2)5月27日から本格的な論戦が始まった。
 ここでも政府は、明らかに時間稼ぎと見られる「言葉の遊び」答弁を延々と続けた。「言葉遊び答弁」は、「官僚のレトリック」そのものだ。
 巧妙な言葉遣いによって、論点をずらし、膨らませ拡散させ、霧消させる。
 わけても、都合の悪いことには絶対に触れない。
 相手が勝手に納得してくれればよし。
 さらに余計な話をたくさん盛り込んで、のらりくらりと時間を稼ぎ、質問時間が尽きるのを待つ。【注】
 
 (3)(1)や(2)のやり方は、とりわけ国会で圧倒多数を占める与党側には、とっても使いやすい戦術だ。ひたすら審議時間の実績を積み重ね、最後は強行採決すれば法案は通る。
 本質論で国民の理解を得る、などということは、最初から考えていないのだ。

 (4)安保関連法案をめぐる審議は、まるで「官僚のレトリック」ショーだ。総理や閣僚は、官僚が準備した想定問答を一字一句たがえずに読み上げている。
 <例>最も鋭い論客の一人、志位和夫・議員(共産党)の質問に対する政府答弁。
 国際平和支援として自衛隊を派遣する場合、これまでの特別措置法では現に戦闘が行われている地域はもちろん、現に戦闘が行われていなくても、自衛隊の活動期間中に戦闘行為が行われるかもしれない危険地域には自衛隊を派遣できないことになっていた。
 ところが、このたび恒久法を作るに当たり、活動期間中に戦闘行為があるかもしれない地域には出さないという規定をわざわざ削除した。危険地域に自衛隊を派遣できるようにするためだ、当然。
 政府はしかし、危険な地域には派遣しないことにする、という答弁で押し通した。

 (5)官僚同士の議論なら、(4)のような欺瞞は通用しない。「派遣しない」と言ったとたん、「ではそう法案に書いてくれ」と言われて、ジ・エンドだ。
 ところが、数の力で優る安倍自民党は、論理で負けても一向に気にしない。
 むろん、安倍自民党が気にする支持率が下がれば、本格論戦に応じざるを得ないが、そんな心配はない。萎縮したマスコミは権力の監視役の役割をとうの昔に放棄しているからだ。

 (6)今後もあらゆる局面で安倍政権の「傲慢路線」が続くであろう。 
 そして、そのまま、論理破綻が明確になった「戦争法案」が、まったく歯止めのないまま、成立してしまうであろう。

 【注】「【読書余滴】佐々淳行の、国会答弁のテクニック ~悪用のおそれ有り~

□古賀茂明「戦争法案審議の傲慢と欺瞞 ~官々愕々第157回~」(「週刊現代」2015年6月13日号)
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 【参考】
【古賀茂明】「再エネ」産業が終わる日 ~電源構成の政府案~
【古賀茂明】「増税先送り」「賃金増」のまやかし ~報道をどうチェックするか~
【古賀茂明】週末や平日夜間に開催 ~地方議会の改革~
【古賀茂明】原発再稼働も上からの目線で「粛々と」 ~菅官房長官~
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【古賀茂明】役立たずの「情報監視審査会」 ~国民は知らぬがホトケ~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~
【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
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【古賀茂明】「政治とカネ」を監視するシステム ~マイナンバーの使い方~
【古賀茂明】南アとアパルトヘイト ~曽野綾子と産経新聞~
【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
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【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~


【波止場日記抄】6月5日

2015年06月05日 | ●エリック・ホッファー
 無知は極端に走りがちである。これはおそらくあたっているだろう。自分の知らないことについての意見はどうもバランスのとれた穏健なものではなさそうだ。
 It is perhaps true that ignorance tends to be extremist. Our opinions about things we do not know are not likely to be balanced and moderate.

□エリック・ホッファー(田中淳訳)『波止場日記』(みすず書房、1971)
□Eric Hoffer : Working and Thinking on the Waterfront / A JOURNAL : June 1958-May 1959 (HARPER & ROW, PUBLISHERS, NEW YORK, EVANSTON, AND LONDON)
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 【参考】
【波止場日記抄】6月4日
【波止場日記抄】6月2日
【波止場日記抄】6月1日
書評:『波止場日記』