「リトル・ブッダ」
仏陀は去ってゆくらしい
森深く入っていく小鹿のように
ひとり歩いてゆくらしい
アヌルダよ
世間の幸いを求むるの人
また我に過ぐるはなし
仏陀は去ってゆくらしい
谷川をさかのぼってゆく小魚のように
人びとから抜け出してゆくらしい
何時からか独りの身だった仏陀は
ひとりで別離を告げるだろう
それは黄昏れてくる野末のように
野末をゆく一点の鳥のように
聞けアヌルダよ
今こそ幸いを求むるの人
また我に過ぐるはなし
仏陀は去ってゆくらしい
世の誰よりも痛み烈しく
世の誰よりも悲しみ深く
ひとり歩いてゆくらしい
□村上昭夫「去って行く仏陀」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】村上昭夫「兎」」
「【詩歌】村上昭夫「空を渡る野犬」」
「【詩歌】村上昭夫「太陽にいるとんぼ」」
「【詩歌】村上昭夫「金色の鹿」」
「【詩歌】村上昭夫「雁の声」」
「【詩歌】村上昭夫「うみねこ」」
「【詩歌】村上昭夫「鴉」」
「【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」」
「【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」」
「【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~」
「リトル・ブッダ」
仏陀は去ってゆくらしい
森深く入っていく小鹿のように
ひとり歩いてゆくらしい
アヌルダよ
世間の幸いを求むるの人
また我に過ぐるはなし
仏陀は去ってゆくらしい
谷川をさかのぼってゆく小魚のように
人びとから抜け出してゆくらしい
何時からか独りの身だった仏陀は
ひとりで別離を告げるだろう
それは黄昏れてくる野末のように
野末をゆく一点の鳥のように
聞けアヌルダよ
今こそ幸いを求むるの人
また我に過ぐるはなし
仏陀は去ってゆくらしい
世の誰よりも痛み烈しく
世の誰よりも悲しみ深く
ひとり歩いてゆくらしい
□村上昭夫「去って行く仏陀」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】村上昭夫「兎」」
「【詩歌】村上昭夫「空を渡る野犬」」
「【詩歌】村上昭夫「太陽にいるとんぼ」」
「【詩歌】村上昭夫「金色の鹿」」
「【詩歌】村上昭夫「雁の声」」
「【詩歌】村上昭夫「うみねこ」」
「【詩歌】村上昭夫「鴉」」
「【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」」
「【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」」
「【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~」
「リトル・ブッダ」