カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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大雨は水蒸気雲画像のこんな箇所で発生

2013-07-03 18:20:34 | インポート

①7月3日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月3日14時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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梅雨前線が再び西~本州付近日本海側へと延びてきた3日ですが、昼前より九州北部や中国地方などで所によっては1時間に70ミリを超すような非常に激しい雨が降った箇所もありました。

私自身、我流のようですが、梅雨期や台風接近など、大雨が予想される際には、雲画像でも水蒸気画像を凝視しています。

水蒸気画像上で帯状に白くぼやけた区域は暖湿流が集中して流れ込んでいる区域ですが、この帯状の白くぼやけた区域同士が合間見える箇所で、特に雨雲が発達して、激しい雨を観測するといえます。

引用図①より、3日12時現在、梅雨前線が中国大陸から朝鮮半島を通り、東北南部へと延びていますが、この2時間後の3日14時現在の日本付近の水蒸気画像を見ると、前記したような帯状の白くぼやけた区域が A Bの2本見受けられます。

Aは、太平洋高気圧の外縁部を廻るようにして流れ込んだ(一部は、インド洋方面からの南西モンスーンに伴う暖湿流が入り込んできていますが)暖湿流ですが、Bは、中国東北部~シベリアにある気圧の谷に伴う、上空3000m付近の上昇流が引き寄せた暖湿流です。A とBの合流する九州北部~中国地方西部付近に、水蒸気画像上でとりわけ白く輝く画像域があり、これは、非常に発達した雨雲の集団を反映しているもので、この非常の発達した雨雲の集団は、ご覧のように、太平洋高気圧の外縁部や、インド洋方面からの南西モンスーンに伴う暖湿流が入り込んできた暖湿流と、気圧の谷に伴う上空3000m付近の上昇流が引き寄せた暖湿流とが合間見えて収束した結果発生したものですね。

このように、太平洋高気圧の外縁部を廻るようにして暖湿流が本州付近へ流れ込んでいる所へ、上空3000m付近の上昇流域が接近して合流するようになると、双方が暖湿流を伴っていますので、非常に、雨雲が発達するものです。

上空3000m付近の上昇流は、換言すれば、500hpaの正渦度が移流してくる箇所といえますから、500hpaの正渦度が、前記した太平洋高気圧の外縁部の暖湿流に接近してくる場合は要注意!当該渦度のエリアが比較的狭いほうが、局地的な地域で雨雲を非常に発達させますから油断なりません。

さらに、雨雲発達にはもうひとつ、下層の気流が地形的特性による収束も大きな要素ですが、この地形的特性による収束というもの、下層部分の鉛直方向の気流のコントラストが大きくなる(風向が異なってくる)現象下でも、気流同士の収束は加速されるもの。ですから、夜間~朝方など、沿岸部(特に暖湿流の流れ込んで切る方向に開いた鞍部になっている地域)では、雨雲が局地的に非常に発達しやすい傾向があります。この点、防災上、看過できませんね。