カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風12号は3日午前中に高知県東部へ上陸 その後 四国を縦断

2011-09-03 23:56:02 | インポート

①9月3日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月3日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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台風12号は、3日10時頃高知県東部に上陸、その後四国を縦断して、3日18時に岡山県南部に再上陸しました。

引用図①②より、台風12号は3日21時現在、岡山県北部に中心があると推定されますが、台風を取り巻く雲の形は崩れ、螺旋状ではなく、久の字 型になって、台風の中心もぼやけて雲画像上からは判別不能となってきました。さらに、台風の南側の四国沖では、水蒸気画像上の暗域が西方向から少しずつ入り込んできて、台風自体、衰弱しつつあることを示しています。

ただ、引用図②より、台風12号の中心付近、および、進行方向の右側や後面に広範囲でひときわ輝く白輝域があり、発達した降水域があることが解ります。

台風12号自体、移動速度が時速10キロ程度と、極めて低速であったため、台風を取り巻く雲や台風の外縁を回るようにして流れ込む暖湿流が、同じ箇所に長時間継続して掛かってしまったため、台風の進路に当たった近畿地方や四国地方、それに中国地方では激しい雨が降り続き、高知県や徳島県の山間部、それに紀伊半島では、24時間降水量があちこちで500㎜を超えて、奈良県の上北山では、降り始めてからの総雨量が1430㎜を超えました。この、降水量1430㎜というのは、東京都心の年間降水量(1466・7㎜)に匹敵する凄まじさです。

また、今回の台風12号が四国へ上陸に伴い、山陰東部でも記録的な豪雨となり、鳥取県大山では24時間降水量が600㎜を超えました。

これは、台風の外縁を廻るようにして流れ込んできた暖湿流が、伊勢湾から岐阜県関ヶ原~琵琶湖~若狭湾と続く、地形的な鞍部を収束しながら迂回してきて、山陰周辺から日本海中部に帯状に分布する、上空3000m付近の上昇流域を刺激して発達した降水域を形成されたことと、当該帯状の発達した降水域が地形的特性で、山陰東部の山間部でより一層強まったため と私は考えています。台風が今回のような進路(四国や紀伊半島に上陸するような)をとる場合、山陰地方(特に東部)では、山間部を中心に、事の外、降水量がまとまる特性があります。

台風が衰えたと言っても、前記の通り、進行方向の右側や後側の広範囲で白輝域があり、発達した降水域があります、今後、4日朝には、台風12号は日本海へと進み、次第に本州から離れますが、4日も、台風の進行方向右側に広がる暖湿流の影響で、東日本や近畿、四国、中国地方では、太平洋側を中心に大雨が続きますから、土砂災害や洪水には引き続き、厳重な警戒が必要です!!

また、東日本や西日本では、4日も、引き続き、広範囲で強い風が続き、海上の時化にも警戒が必要ですね!