カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

沖縄本島で大雨 天気図上の前線の位置だけに固執しないことですね!

2010-05-16 20:34:33 | インポート

①5月16日9時の天気図 気象庁HPより引用

10051609

②5月16日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

20100516090000

③5月16日9時気象庁発表のAXFE578図  日本気象予報士会HPより引用

44

④5月16日15時の天気図 気象庁HPより引用

10051615

⑤5月16日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

20100516150000

5月15日夜から沖縄本島中心に強い雨が降り続いて、16日16時30分までの24時間に、沖縄本島中部の宮城島では294・5㎜もの降水量を観測しています。

この大雨、下層の暖湿流が収束したところへ、500hpa(上空5500m付近)の正渦度の極大域が移動してきた(正渦度移流域)ため、上空3000m付近の上昇流が活発になったことで、下層の暖湿流をより一層上昇させしめて、強い雨雲を発生させたため と 私は考えますね。

引用図②と、③の下側をご覧いただきましょう。

16日9時現在、沖縄本島のすぐ南の海上には、上空1500m付近で15℃以上(引用図にはありませんが湿数3以下となっています)の暖湿流が、南西風と南東風とになって流入(収束していますね)しています。

さらに、引用図③の上側より、沖縄本島の北西には、正渦度極大域があり、沖縄本島付近へ接近しており、当該正渦度極大域では、引用図③の下側より、上空3000m付近での上昇流が顕著になっていて、前記、上空1500m付近の南西風と南東風との収束した部分では、とりわけ上昇流は強まっています。引用図②より、当該、上昇流の強まった区域で、帯状に強い降水域が見られます。

当該、強降水域に長時間入ってしまった沖縄本島(特に中部を中心に)、大雨となった訳です。

引用図①②と④⑤を比較すると、沖縄近海の梅雨前線の位置は殆ど変化ありませんが、強い降水域は、西から東へと移動しています。これは、500hpaの正渦度極大域の移動に伴い、正渦度移流域に対応する、上空3000m付近の顕著な上昇流域も東へと移動したためと考えられますね。

天気図(地上天気図)上の前線の位置ばかりに固執しては駄目!と言う所以が、今回の大雨の事例より解ると言うものです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。