カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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地上天気図だけでは判らない 暖湿流の合流地域は大雨に警戒!!

2010-10-02 23:53:32 | インポート

①10月2日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月2日15時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③10月2日15時全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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10月2日は、低気圧や前線を含む気圧の谷が東シナ海へ進んできましたが、この気圧の谷の接近より一足先に、2日朝から四国沖で降水域がまとまり、九州南部の一部では大雨となりました。

宮崎県の高鍋では、2日22時までの24時間に150㎜を超す雨量を観測しています。

引用図①より、2日15時現在、本州付近は、千島近海と北海道の西に高気圧がありますが、引用図②より、本州の東海上から関東沖、東海道沖にかけて、水蒸気画像上で暗域となっており、これらの地域まで、前記した、千島近海に中心がある高気圧に広く覆われている様子が判ります。さらに南へ目を向けると、小笠原諸島付近から本州のはるか南海上にも水蒸気画像の暗域が見られます。この暗域は、この地域に高気圧があることを示すもので、この高気圧こそ、夏の太平洋高気圧の一部なのです。

一方、この、2つの高気圧の境目にあたる、a:伊豆諸島南海上から四国沖にかけてには、暖湿流が流れ込んでいる様子を示す白色域が帯状に分布し、さらに、b:小笠原諸島付近から本州のはるか南海上にある高気圧の縁を廻るようにして、暖湿流が南西諸島近海から九州南東沖に分布しています。

これら、aの暖湿流が東より風となって、また、bの暖湿流が、南東~南より風となって四国沖で収束して、当該暖湿流の収束箇所の四国沖で、降水域が非常に発達している様子が判りますね。(引用図②③)

この、九州の一部に大雨をもたらした、四国沖の非常に発達した降水域こそ、暖湿流が局地的に収束した賜物なのです。

このような、高気圧の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流同士が局地的に収束して発生する発達した降水域は、当該、高気圧の移動が遅いことが多いことから、同一地域に長時間局地的に暖湿流が収束することになり、狭い範囲に相当な大雨をもたらすことも少なくありません。

暖湿流の流れ込む具合や、暖湿流同士の収束箇所は、地上天気図だけでは判別不能で、水蒸気画像が大きな威力を発揮します。


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