カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風26号は千葉県に再接近して三陸沖から北海道の南へ 伊豆大島では記録的豪雨

2013-10-16 17:18:43 | インポート

※記事内風速表示は毎秒値です。

①10月16日3時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月16日9時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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本年最強で最大勢力の台風26号ですが、勢力を維持しつつ、6日朝に千葉県に再接近し三陸沖を北上 16日15時には北海道南東海上へ進み、温帯低気圧に変わりました。

台風の接近通過に伴い、千葉県の銚子で46・1m 宮城県江ノ島で45・5m 伊豆諸島の八丈島で44・7mの最大瞬間風速を観測し、北海道~九州までの所々で、瞬間で30mを超す、大人でも立ってられず吹き飛ばされるような暴風を観測しました。

また、雨ですが、関東地方の沿岸部を中心に、あちこちで24時間雨量が200㎜を超え、中でも、伊豆諸島の大島では、周辺地域で北より風と、東~東南東風とが収束して、局地的に雨雲が非常に発達している状態が、15日深夜から16日明け方まで持続したため(引用図②)、24時間降水量が824ミリと、気象官署の中で観測史上最高となる記録的な豪雨となってしまいました。

このため、大島島内では、大規模な土石流が発生して、16日16時現在 亡くなった方16名 行方不明の方48名と言う惨事となってしまいました。

引用図②より、16日3時現在 千葉県から伊豆諸島大島へ線状に非常に発達した雨雲に伴う降水域が見られます。地上天気図上ではこの線状の降水域から北東側には、前線が描かれています。

この降水域を挟んで、北側の東京など関東平野の各地点では、おおむね、北よりの風向ですが、一方、引用図にはありませんが、南側では、銚子や勝浦など、千葉県太平洋沿岸の各地点では、東風、さらに、大島の南側にいちする新島や三宅島では、東風~東南東風となっており、同時に、南側に各地点の気温はおおむね23℃以上にたいし、北側ではおおむね18℃以下となっていました。

台風が本州南海上を北上あるいは東進する際に、関東平野が台風の北側に入る場合、関東平野東海上~関東平野を流れる北東から北より風の相対的に気温の低い気流と、台風の外縁を廻るようにして千葉県沿岸から伊豆諸島に流れ込む相対的に気温の高い気流とが、丁度、千葉県周辺から伊豆諸島大島付近で局地的に互いに収束しやすいことは、いわば定石 といえることですが、今回も、この定石通りである、局地的な気流の収束が発生し、双方の気流の温度差が大きい大島周辺でとりわけ雨雲が発達して、台風26号の進路の関係で、当該局地的な気流の収束が長時間維持されたこと が、今回の記録的豪雨の要因であると私は考えますね。