カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東海や近畿で激しい雨 今後は京都宇治で突風

2009-08-01 23:45:38 | インポート

①8月1日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月2日12時の近畿地方周辺雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用し加工

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③8月1日11時の京都府南部周辺のアメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用し加工

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8月1日明け方から昼過ぎにかけて、東海地方や近畿地方で、所によっては、1時間に50㎜を超す非常に激しい雨が降りました。

このカラクリですが、東海地方や近畿地方中心にして、南海上から暖湿流が大量に流れ込んできたところへ、上空には寒気が流れ込んで、大気が非常に不安定になったため と言うのが一応正解なのですが、暖湿流の流れ込み具合を更に詳しく見てみると、本州付近の上空1000m~1500mの風向は、北海道の東海上から千島近海ではおおむね北東風(このため、北日本の太平洋側では低温が続いています。)となっており、この北東風が、東北地方の地形的特性(東西に地形の鞍部が分布していますね)のため、東北地方の日本海沿岸では東より風となってしまい、日本海北部から中部では、おおむね北より風ですから、丁度、秋田沖上空あたりで低気圧性となってしまい、この低気圧製循環に向かって、南海上からは、暖湿流が南東風~南風(関東南海上)と南西風(四国沖)となって吹き込んで、丁度、東海地方や近畿地方付近で双方の異なる風向の暖湿流同士が収束したため、となるためです。

引用図①より、千島近海や日本海北部や中部に高気圧がある場合、南海上からの暖湿流が、決まって東海地方周辺で前記したように収束しやすくなりますから、注意が必要です。(こういうときは、地上天気図上では、秋田沖から佐渡沖には低圧部となっています。)

そして、8月1日11時ごろ、京都府南部の宇治市付近では、激しい突風が局地的に吹き、電柱がなぎ倒されたり、民家の屋根が吹き飛ばされたりする被害が発生しました。また、JR奈良線宇治市のJR奈良線宇治川橋りょうの風速計が運転規制値(風速25メートル)に達したため、午前11時4分から15分間、京都-木津間で運転を見合わせたりしました。

この激しい突風が宇治市付近に発生した時刻あたりには、引用図②③より宇治市のある京都府南部付近には、豆粒状にひときわ白く輝く雲があり、この雲の北東側(当該雲を取り巻く上空の南~南西風)に広がるようにして、全体的にはにんじん状に見えています。また、風向も宇治市付近を挟んで、北側の京都市方面では北より風、南側の奈良県境付近では南東風と、風向の不連続部分があります。

このように、豆粒状にひときわ白く輝き、雲を取り巻く風の風下側に広がるようにして、全体的にはにんじん状に見える雲が現れた場合(テーパリングクラウドなどども呼ばれていますが)、当該雲は、大変発達したもので、かつ、雲として活動の発達期(より一層発達している途上の状態)の雲ですが、こういう雲が現れている時に、地表付近で風向の不連続部分がある場合は、本ブログで本年7月27日の記事で紹介したように、竜巻等の激しい突風が発生しやすい状態であるわけです。