ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
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劔岳・再びの奉納 「前剱の門から平蔵の頭へ」

2023年11月08日 20時58分43秒 | Weblog
前剱を越えるとルート状況はある意味一変する。
いよいよここからは劔岳の名に相応しい難所が連続する。
もちろんそれなりにクサリやボルトは設置されてはいるが、基本である「三点支持」を疎かにしてしまえば・・・

危険箇所(区間)は先ず自分が通過し、スタンスポイントやホールドポイント、更には身体の向きなどを実際に見てもらってからUさんに付いてきてもらう形をとった。
時間はかかるが、初めての劔岳であれば当然のことだと思うし、安全に勝るものはない。

前剱山頂から少しトラバース気味に進むと「それ」は見えてきた。
前剱の門にかかる鉄の橋である。
何度も通ってはいるが、このポイントは風の通り道でもあり強風の時は身体を煽られ滑落しそうになる。
幸いに今日はほぼ無風であり、スリップさへしなければ問題はないだろう。


赤い○が鉄の橋であり、通過してすぐ右へと曲がる。
→に沿って岩肌にへばりつきながら岩峰を巻くように登って行く。

「ゆっくり進みますからよく見ていてくださいね。途中まで行ったら合図しますからスタートしてください。」
それだけを言い橋を渡り始めた。
途中で振り向いて「風は無いから大丈夫ですよ。」
と言いかけたのだが、目線が合ったのはUさんとではなくカメラのレンズだった。(笑)


こうして笑ってられるのも風が無いからに他ならない。

見られいることを意識してゆっくりと進んだ。
足場はあるのだが、特に危険なピンポイントは「ここね! ここしか置けないから。」と説明した。


Uさんが撮ってくれた通過(トラバース)中の画像。
怖さはないが、落ちれば一発でアウトになることは確実だろう。


この辺りで覚えていることは、スタンスポイントである足元にかなり細かな砂利のようなものがあったこと。
過去にそのような物があったことなど記憶にはないが、スリップの危険性が高いと感じた。
クサリにつかまりながら右足で砂利を払いのけた。

僅かに高いポイントまで来たところでGOサインを送った。


橋の上で一瞬だけポーズ。
うん、良い意味での余裕だと感じた。
これなら大丈夫だろう。


とにかくゆっくりマイペースで。


三点支持をきちんと守って進んでいる。

前剱の門を巻き終え、今度は下る。
クサリはあるが特に危険性は高くはない。
「どうでした、門は?」
「大丈夫でした。前もって○○さんの動きを見られたし。」
「まぁあまり参考にはならないかも・・・(笑)」

さて、次なる難所は「平蔵の頭(づこ)」である。
前剱の門を越え、少し下ったり登ったりをしながら進めば「づこ」は見えてくる。

今回、往路から見えてくる平蔵の頭の写真は撮らなかったが、頭が目視できるポイントまで来て「あれが平蔵の頭ですよ」と言った。
Uさんにとってはただの小さな岩峰にしか見えなかったようだが、事前に自分が作った写真付きの資料を熟読していただけに「ちょっとだけ登って大きく下るんですよね。」と予習の成果があった返事だった。
「あそこも先ず自分が先行します。途中でGOサインを出しますね。」

難所はまだまだ続く。