ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

劔岳 奉納 「前剱の門:詳細」

2022年01月29日 22時41分20秒 | Weblog
初めての劔岳挑戦は単独だった。
それ故に、不安で心細くもありながらも何処か「孤高」的な気分も味わっていた。

「前剱の門」を初めて通過した時のことは今でもよく覚えている。
事前に画像などで十分に下調べをしたつもりであったが、いざ着いてみれば「なんじゃこれは・・・」と言葉を失いかけた。
それほど危険性を感じたポイントでもあった。

あの頃はこの岩壁にクサリだけでなくボルトも埋め込まれていた。
そのボルトが取り外されたのはつい数年前のこと。
理由は分からないが、慣れているつもりでも「はて、大丈夫だろうか・・・」と思ったものだ。

今回の危険箇所のトップはN君に任せてある。
彼ならもう心配ないという信頼感からだ。

先ずは数mの鉄橋を渡る。
そしてすぐに右へと曲がり、トラバースの後に壁を巻くようにして登って行く。
焦らず落ち着いてさへいれば大きな問題はない(と思っている)。
ただし、高所恐怖症の方は無理。
それなりの高さの岩壁だ。


幸いに風は殆ど無く、煽られることなしに橋を通過。
赤い矢印に沿って進む。


壁のほぼ全体画像。
進行方向に沿ってクサリは設置されているので補助的に用いれば問題はない。


両足を同時にスタンスできるようなポイントはないが、片足であれば十分安心して置ける。


恐いのはスリップだろうか。
ゆっくりとマイペースで進めばそれでOKだ。


少し引いた画像。
実際にはかなりの高さのポイントにいる。
もちろん滑落すれば命の保証は無い。


ほぼトラバース的に進み、ラストは巻きながら登る。

さて、今度は自分の番だ。


何度も通っているコースだが、この橋の上で立ち止まったことはまだ無い。
初めてここでポーズを取らせてもらった(笑)。


こうして改めて見ると、トラバース気味に進むとはいえ壁の斜度そのものはかなりあるのが分かる。


どことなく小走りっぽく見えるが、決して急いではいない。
たまたまそのような瞬間の画像となっただけ。


どうも軽く登ってるように見えるがそうではない。


前剱の門を下るポイント。
この先ややトラバース気味に進み、平蔵の頭へと着く。


この先にあるのが平蔵の頭。

それなりの回数をこなしていれば、別山ルートの殆どの状況は頭の中に刻み込まれている。
どのポイントに何番目のクサリがあって、長さはどれくらいで、補助的に利用するのはどの程度で、足を置くポイントは何処で・・・etc・・・etc。
目を閉じれば鮮明な画像となって思い浮かべることもできる。
それは安心感にも繋がってはいるのだが、一歩間違えば「慢心」となり自分に跳ね返ってくる。
それが心底恐い。

今回の劔岳においても、他人頼み的な登山者と出会った。
そう、毎回必ずそのような登山者と出会う・・・必ずだ。
何故地図を持ってこないのか。
何故こんなポイントでストックを用いるのか。
何故クサリに全体重を預けるのか。
何故仲間に引っ張り上げてもらってタテバイを登るのか。
数え上げればきりがないほど信じがたい行動をとる人たちをこのルートで見てきた。
それらは決してケアレスミスではなく、一歩間違えれば「死」に直結する過ちだ。
そりゃぁ自分とてミスは犯す。
だが、自分の登山レベルは冷静に、且つ客観的に見極めている。
散々怪我もしてきたが、幸いにまだ登り続けている。
自然が相手である山に立ち向かうには、自分が如何に非力で未熟であることを素直に認めることが大切だ。
何とかなるだろう・・・は何とかならない。
劔が相手なら尚のことそう思う。