次第に夕闇が迫ってきた。
ここは山間の平地だけに、西に日が沈む・・・と言うよりは太陽が山に隠れてしまい暗くなってしまうのが早い。
「じゃぁぼちぼち行きますか!」
自分の一声を待っていた二人の顔が思わずニンマリとしたのが印象的だった。
一つ懸念されるのがテントの狭さである。
どか雪ではないが終始降雪状態であり、外での夕食は無理と判断した。
嫌でもテント内での活動となってくる。
これは事前に「こうゆう状況になってしまったら男三人で一つのテントでの夕食になります。」と言っておいたので、狭いとわかっていてのこと。
かなり窮屈感は歪めないが、それはそれで楽しいものだ。
今夜のメニューは「海鮮鍋」+「海鮮雑炊」。
食材は予め自宅で切っておいたので手間は省ける。
味はTeさんのリクエストで塩海鮮なのだが、自分のもっているコッヘル(鍋)の大きさでは限界があり一気にすべての具材を投入することができない。
先ずは第一弾として野菜類と水餃子。
第二弾としてメインの海鮮類。
最後は〆の雑炊となっている。
それにしても男三人はやっぱり狭さを感じる。(笑)
へたをすれば膝が鍋にぶつかってひっくり返してしまう恐れがあった。
それだけは絶対に避けなければならない。
融雪した水を沸騰させ、鍋キューブを入れる。同時に野菜類と水餃子も投入した。
後はぐつぐつと煮れば終了だ。
外とテント内との気温差があり、カメラのレンズがすぐに曇ってしまうが、それよりは飯だ。
ものの5分程度も煮れば食べられよう。
第一弾、いただきます。
冷えた体、空腹の胃袋に温かさと美味さが同時にしみ込んでくる。
雪山テント泊ならではの体感だ。
三人とも異口同音に「あ~~美味い!」「たまんないですね~」
できあいの味付けに野菜を入れただけというシンプルな料理なのだが、雪を溶かして濾過した水を基にしているということが家で食べる鍋とはひと味違っている。(と、勝手に思っている)
第一弾はあっという間に終了した。
ではいよいよメインの第二弾と行こう。
味付けはそのままだが、汁が少なくなってきたので水と鍋キューブを追加した。
エビ、タラの切り身、ホタテ、イカ、つくねをありったけ入れた。
魚介類のいい香りが狭いテント内に充満してきた。
「僕、タラが大好きなんですよ。嬉しいです!」
と言ってくれたのはTsuさん。
第二弾はさすがに半生は恐いので、じっくりと煮えるまで待った。
本来であればここでビールを飲みながらと行きたいのだが、何せ狭い空間でありついうっかりビールを・・・とも限らない。
食事が終わるまで酒はやめておいた。
第二弾の出来上がり。
なんと、一人三杯もおかわりができてしまった。
〆の雑炊は味変をした。
またご飯を入れると同時に、生卵を二つ投入した。
「え~っ、たまごまで持ってきたんですか!」とTeさんの歓びの声。
「こんな時だからこそ、プチ贅沢がしたかったんですよ。」(笑)
何故かこの時、自分が発した言葉は「弾着 今!」
たまごが鍋に落ちると同時に言った。
所謂自衛隊用語の一つとだけ言っておこう。
やや辛めの味を、玉子が幾分マイルドにしてくれた。
これがまた美味かった。
そしてけっこう腹を満たしてくれた。
時刻はまだ19時前だが、翌日の朝を考えれば山の夜はあまりにも早い。
「それじゃやりますか。」
互いに持ち寄った酒と酒肴を取り出してささやかな宴が始まった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます